被ばく死 最悪1.8万人 原発攻撃被害 84年に極秘研究(東京新聞)から
国内の原発が戦争やテロなどで攻撃を受けた場合の被害予測を、外務省が一九八四(昭和五十九)年、極秘に研究していたことが分かった。原子炉格納容器が破壊され、大量の放射性物質が漏れ出した場合、最悪のシナリオとして急性被ばくで一万八千人が亡くなり、原発の約八十六キロ圏が居住不能になると試算していた。研究では東京電力福島第一原発事故と同じ全電源喪失も想定していたが、反原発運動が広がることを懸念し公表されなかった。 続き⇒
原発への攻撃、極秘に被害予測 1984年に外務省(朝日新聞)
報告書は(1)送電線や原発内の電気系統を破壊され、全電源を喪失(2)格納容器が大型爆弾で爆撃され、全電源や冷却機能を喪失(3)命中精度の高い誘導型爆弾で格納容器だけでなく原子炉自体が破壊――の3段階に分けて研究。特定の原発は想定せず、日本の原発周辺の人口分布とよく似た米国の原発安全性評価リポートを参考に、(2)のケースについて放射性物質の放出量を今回の事故の100倍以上大きく想定。様々な気象条件のもとで死者や患者数などの被害予測を算出した。
緊急避難しなければ平均3600人、最大1万8千人が急性死亡すると予測。住めなくなる地域は平均で周囲30キロ圏内、最大で87キロ圏内とした。(3)の場合は「さらに過酷な事態になる恐れが大きい」と記した。
ところが、外務省の担当課長は報告書に「反原発運動への影響を勘案」するとして部外秘扱いにすると明記。50部限定で省内のみに配り、首相官邸や原子力委員会にも提出せず、原発施設の改善や警備の強化に活用されることはなかった。
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