今日は早朝から、田舎の墓掃除に出かけた。
集落総出の墓掃除は、荒天で二度の延期の後今日が最後のチャンスだった。
昨夜のうちに草刈り機や掃除用具は全て車に準備済みだった。
相方が墓も洗おうと言い出したので、水やスポンジ・バケツと装備はドンドン増えた。
8時に集合だったのだが、20分くらい早めに到着した。
ヤレヤレと思ったら、殆どみんな作業を始めていた。
草もあまり伸びていないし、動力で吹飛ばす近代装備もあって作業は1時間もかからなかった。
ところが、誰かが枯れ草や桜の倒木などを集めたものに火をつけてしまった。
大きな木の枝もあるので、燃え尽きるのは何時のことか判らなくなった。
共用箇所の掃除が終わったので、三々五々の帰宅が始まった。
墓の拭き掃除を始めた私達二人に、火の勢いがある間、暫く様子を見ていて欲しいと言い残して責任者も帰ってしまった。
夕方には一度火の確認には来るらしいが、このご都合態勢は以前は住んだことのある者としては驚かない。
相方と二人残されて、火を見たり墓を見たり、そして桜を見上げたり。
そこで、幸い桜は満開だし、弁当と飲み物を買ってきてお墓で花見をやっちゃえという話になった。
近くの道の駅付近にある弁当屋で弁当を仕入れ、ついでに最後の火消し用の水を汲んで墓に戻った。
持参したポリタンク2つと満タンのバケツで何とかなると見積もった。
車は、墓の直ぐ横に移動させトランクから敷物を出して、完全な花見モードに突入した。
多分、ご先祖も何事かと驚きはしたものの、子孫のささやかな宴を見守ってくれたと都合良く解釈した。
桜は、一見ほぼ満開だが少しの風にも花びらが散らないところをみると8分咲き程度か。
そう言えば、梶井基次郎の短編「櫻の木の下には」では、”櫻の木の下には屍体が埋まっている”で始まる。
異様な場の設定だが、お墓に桜は子供の頃から見慣れた風景だし、屍体が埋まっているのはお墓だから当然だ。
今でこそ火葬が当たり前で、骨壺で納骨されているが昔はほぼ100%土葬だった。
ここの墓所も半数くらいの墓は、お参りに訪れる者もない土葬の無縁墓。
墓石までもが、地面の下に埋もれそうなものもある。
この墓所で言うなら、「櫻の木の下には墓石が、更にその下には骨が埋まっている」が正確な描写。
な~んて、花見には似合わぬ話題で相方と盛上がっていたら、火の勢いが衰えてきた。
さすがの大きな丸太も、燃え尽きたようだ。
朝7時20分に家を出て、午前中が終わろうとしている。
盛大に水をかけて鎮火を確認して帰路についた。
「母を乗せ未だ還らぬ花筏」・・・しろ猫
「石段の隙間に咲いたホトケノザ」・・・しろ猫
「古里に残るは山と川ばかり」・・・しろ猫
そう言えば桜餅も旨かった。