ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

シャッター街

2021-02-10 21:51:58 | 
シャッター街のイルミネーションが暗闇に映える
僕はささやかながら煌びやかなそれに目を奪われた
その視線に力はなかったけれど

ポケットをまさぐっているのだが、心が足りないのだ
どこで落としてしまったのか思い出せない
諦めがつかない僕はその場にしゃがみ
心が落ちていないか、アスファルトに手を撫でて探した

冷たい雨が降ってきた
僕は数年前に潰れた店の軒下に避難し、またしゃがんだ
さらに心が減ってしまって、立ち上がる力が沸かない
シャッターの中に入りたい
彼らと同化してしまいたい
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スローペース

2021-02-10 18:35:06 | 
こんなペースじゃ間に合わない
だけど、こんなペースでしか進めない

どこで急ぎすぎたのか
どこから苦しくなったのか
動かなくなった足を少しずつ前へ出して考える
しかし、それはもうどうしようもないことだ

暗闇に一筋の光が射すのを
心の海底で微かに信じながら
僕はスローペースの前進を止めない
頬に伝うのが汗なのか、涙なのかも分からずに
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

手記「僕とパニック障害の30年」

2021-02-10 15:45:36 | 
目を覚ますと、ここ数日、久しぶりに布団の中から「死にたい」の繰り返しが聞こえてくる
滑舌は意外にはっきりしていた
僕は決して口を動かしていない
鬱に加え、何日か前から風邪をひいたのが原因だろう
体をようやく起こすと、その声は消えてくれる

僕の鬱はパニック障害から生まれた
医者の言葉を継ぎはぎすれば、パニック障害の残遺症状
普段は自宅と店を歩いて15分の往復の繰り返し
自分には「健康のため」と言い訳しているが
実際には夜の自転車に不安があるからだ

休みの日はほとんど家にいて、電車はせいぜい2、3駅
永らく小さな生活を強いられた僕は、世の中から周回遅れとなり
今ではどこに世の中があるのか分からない

「それで生きていて楽しい?」と問われれば
「楽しいだけが人生じゃない」と答えるだろう
心の底では苦しみのみで死んでゆく自分に震えながら
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少しばかり可笑しく

2021-02-10 14:32:28 | 
万物を暖める光は日向であれば
むしろ暑い程の力を残している
しかし、かつてのような日陰にまで恩恵を与えるゆとりはない
白昼のピアノから、呑気なボヘミアンラプソディーが流れてきた
少しばかり可笑しい

生まれた時から
いや、18からでもいい
どれだけの日々を重ねてきたのだろう
僕は未だに少しばかり可笑しく生きる術を
身に着けられないでいる

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

迫りくる日々

2021-02-10 11:48:04 | 
太陽の存在しない絶望的な坂道の途中で
歯を食いしばって笑ってみる
気まぐれで神様に忖度しても
新しい試練をいただくだけ

頼りなく美しい季節は
すぐにでも逞しい白の季節に押し潰されてゆく
僕は何を探していたのかも分からなくなり
通過していく時を呆然と見送っている

様々なものがぼやけていくように感じながら
最後には負の集合体のような黒が僕を覆いつくすのだろう
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする