アスファルトの真ん中で
仰向けで動かない蝉
それは真夏の死の表現者
美しい人はいる
美しい人間はいるだろう
美しい人生はあるのだろうか
真夏の死の表現者よ、教えてほしい
この世に幸せはあるだろうか
おそらくないと僕は思う
探せば探すほど絶望するだけ
そして最後に訪れる死の苦しみ
その後の話だろう幸せは
仰向けに転がる蝉は
あの世で幸せを手に入れ
この世で真夏の死の表現者となった
君は偉大だ
遠いジーンズがひと夏を駆ける
僕はうつむきながら少しだけ笑う
いつか彼にも訪れるのだろう
生きる難しさを思う日が
街の憤りや息苦しさを包むような黄昏
僕は少しだけ足を緩める
いつか人は今日を忘れるだろう
巻き戻しの利かない交差点で
前を向くことに絶望し
さりとて今を生き抜くのも疲れ果て
僕は少しだけ立ち止まり、期待して振り向く
建ち並ぶ化石の家々、人々、ありとあらゆる風景
強い光を浴び、それらは白々とスカスカに輝いていた
僕はうつむきながら少しだけ笑う
いつか彼にも訪れるのだろう
生きる難しさを思う日が
街の憤りや息苦しさを包むような黄昏
僕は少しだけ足を緩める
いつか人は今日を忘れるだろう
巻き戻しの利かない交差点で
前を向くことに絶望し
さりとて今を生き抜くのも疲れ果て
僕は少しだけ立ち止まり、期待して振り向く
建ち並ぶ化石の家々、人々、ありとあらゆる風景
強い光を浴び、それらは白々とスカスカに輝いていた
この土の中を掘り起こせば、色々なものが出るだろう
骨となったペットや
15年前の未来への手紙や
揺りかごで眠る赤ん坊の穏やかな寝息が
さらに掘り続ければ、やがて出会うだろう
江戸庶民の語らいや
戦国足軽の嗚咽や
平安貴族の熱血に
耳を澄ませば聞こえてくるのだ
語らいや嗚咽や熱血が
さらに奥へ耳を凝らせば、かすかに聞こえてくる
大仏建立のための人々の息遣いや
高床式倉庫開発までの企画会議や
縄文土器職人の寡黙が
骨となったペットや
15年前の未来への手紙や
揺りかごで眠る赤ん坊の穏やかな寝息が
さらに掘り続ければ、やがて出会うだろう
江戸庶民の語らいや
戦国足軽の嗚咽や
平安貴族の熱血に
耳を澄ませば聞こえてくるのだ
語らいや嗚咽や熱血が
さらに奥へ耳を凝らせば、かすかに聞こえてくる
大仏建立のための人々の息遣いや
高床式倉庫開発までの企画会議や
縄文土器職人の寡黙が
天使の嘆きという名の酒場を出て、外気に触れる
足元をふらつかせ、虐げられた街を彷徨う
帰る家が無い訳ではないけど
ベッドに横たわれば、すぐ朝がやってくる
明日という日は見えないから怖いよ
路上深夜に座り込み、「まだこの夜が明けないように」と祈りを捧げる
いやいや生きた今日をこんなにも愛していたなんて
だから明日に対してか弱き抵抗を試みているんだ
大きな力に運ばれることは分かっているよ
それでも路上に寝転び、身を挺して世界を止めてみたいんだ
足元をふらつかせ、虐げられた街を彷徨う
帰る家が無い訳ではないけど
ベッドに横たわれば、すぐ朝がやってくる
明日という日は見えないから怖いよ
路上深夜に座り込み、「まだこの夜が明けないように」と祈りを捧げる
いやいや生きた今日をこんなにも愛していたなんて
だから明日に対してか弱き抵抗を試みているんだ
大きな力に運ばれることは分かっているよ
それでも路上に寝転び、身を挺して世界を止めてみたいんだ
絞り出された言葉がおかしい
だから言葉をピンセットでつまんだ
「あ」が歪んでる。「ら」が震えてる
もう病院へ行くしかない
手土産に少々の薬をもらう
震えを止める薬、歪みを正す薬
それを病的な言葉たちに塗りこむ
わずかな回復ともいえない回復
薬がなくなり、また病院へ行った
そこで目にしたのは、リハビリに励む言葉たち
外は雨が強く地を叩いていた
言葉たちのうめき声をかき消すように
だから言葉をピンセットでつまんだ
「あ」が歪んでる。「ら」が震えてる
もう病院へ行くしかない
手土産に少々の薬をもらう
震えを止める薬、歪みを正す薬
それを病的な言葉たちに塗りこむ
わずかな回復ともいえない回復
薬がなくなり、また病院へ行った
そこで目にしたのは、リハビリに励む言葉たち
外は雨が強く地を叩いていた
言葉たちのうめき声をかき消すように