ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

7月のカラフル

2021-02-15 21:55:54 | 
黄色いカブトムシが汗まみれに飛び回った挙句、向日葵と同化した
砂浜の前でどこまでも広がる青い塩アイス
富士山を見て、チビでみすぼらしい色した山がいたたまれなくなり、引っ越していった
勝ち誇った蝉が泥臭さを残した茶色い声で鳴き散らす

青い果実が頬を赤く染めている
浴衣姿の白い首筋に光る一粒の汗玉
花火が反射し、あらゆる色を映し出した

7月の朝の光が街を白々と揺らし
酷暑に降った雪のようだった
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青春

2021-02-15 18:12:46 | 
小さなプライドを割らないよう恐る恐る歩く僕に
ぬるい風が運んだ初夏の匂い

想い続けた人
語り合った夢
早く大人になりたくて背伸びした
ずっと子供でいたい気分隠して

笑いあった
憎しみあった
翌日には何もなかったように澄ましていた
僅かばかりの気恥ずかしさを残して

遠くを見つめた少年
頬を染めた少女
いつまでも膝を抱えていたかった
狭くて寂れた暖かな場所で
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戯言

2021-02-15 16:04:54 | 
終わったことは戻らない訳で
あれこれ悔やんでも始まらないのは分かっているけれど

死んだ人は生き返らない訳で
あの人も、そしてあの人も
未だに帰って来やしない

過ぎてしまった時は戻らない訳で
平昌当たりならまだ戻れそうな気がするけど
決して戻れないんだね

投了直前に心を整えるため、席を立つ勝負師の背中には哀愁がある訳で
僕はただ、その人の後姿を見つめながら
彼の美学について考えていた

割れたガラスは復元しない訳で
壊れた心のまま時の過ぎるのを
ただ茫然と見送るのは辛いです
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疾走

2021-02-15 14:37:19 | 

最後に疾走したのはいつだったろうか
気まぐれに外出したら
太陽に冷やされ
風に刺され
星に撃たれた

家に帰り、傷口が気になり
シャツを脱ぎ、心を確かめた
触れてみると、氷のように冷たく
出血していて、無数の穴が開いていた

とりあえず傷の手当てをして
痛み止めの薬を飲み
明日はもう一枚重ね着すると決め、眠りについた

日ごとに服は重くなり
もう二度と疾走することはないだろう

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地獄の1丁目1番地

2021-02-15 13:20:02 | 
ここは地獄の1丁目1番地

僕は親友のレキソタンを飲み、この場所からの脱出を試みる
しかし、いつもの通り
歩けども歩けども
電柱の案内には地獄1-1とある

僕はここに30年近く前から住んでいるのだが
地獄の街並みも随分変わったようだ
昔は見るからに落ち込んだ人が多かったが
最近は見た目が普通の人が増えてきた

人の入れ替わりもあり、僕はかなり古い住人となった
子供の頃に引っ越してくる人もいれば
年老いて、最期の地として流されてくる人もいる

僕は今日も地獄の1丁目2番地を探し続けている
生きているうちに、そこへ引っ越したいのだ
どんなに素晴らしい街なのか知りたいのだ
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孤独だろうか、宇宙は

2021-02-15 12:07:09 | 

18の時、自分が壊れ
やがて、生活や人間関係が壊れ
何もかもが壊れていった
今は時も随分流れ、自然に壊れていくものも絶えない

生きていくには、騙していくしかなかった
数え切れぬほど、自分を騙してきた
今は「苦しみや試練を重ねるほど、自らの力となる」と誤魔化している
自分もうまく誤魔化されるよう努めている
こうした建前はどうしても僕には必要なのだ

本音は宇宙のひとかけらを借り、漂っていたい
一人分の酸素と一輪の枯れない花
それだけあればいい
たった一人
孤独だろうか?
人々が何十億と暮す星だから孤独なのではないか?

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人生の朝に

2021-02-15 10:33:42 | 
人生の朝に、大切なものをなくしてしまった
僕は運命を呪い
そして慌てた
慌てふためいた
一部だけでも見つからないかと、なくしたものを探し続けた
太陽はあざ笑うように高く上っていく
探している間に、別な大切なものをなくしてしまい
再び僕は運命を呪った
時間がたつにつれ、多くのものを次々なくしてしまう
日は次第に下降していく


光が弱まる中、僕がなくしたものたちを探していると
向かい側から少女が歩いてきた
涼しげな視線は、明らかに朝を見つめていた

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