ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

まもなく平成が終わると知った日も

2021-02-27 18:31:11 | 
まもなく平成が終わるという
パニック障害の名も知らぬ頃から
おれが闘い、転落し、もがき続けた平成が

好き好んで戦い始めたわけじゃない
でも、この世で生きる限りは
まだ、この世で生きたいと思うならば
日々、次々と流れてくる訳の分からぬと怪物と向き合うしかなかった

平成が素晴らしい時代だった人々も、たくさんいるのだろうな
おれはまだ闘い、転落し、もがき続けている
まもなく平成が終わることを知ったこの日も

平成も疲れたのだろう
おれも少し疲れた
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未来なんかを語ってた

2021-02-27 16:40:00 | 
電車のドアが開き、ホームへ降りたとき
束の間の開放感を味わう
春の風は香っているのだろうか?
薬を貰わないと生きてゆけない
だからそれを取りにいかないと

あの冬の僕はまだ少年で
そのことを前日まで知らされず
未来なんかを語ってた
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まだ生きているよ

2021-02-27 16:30:31 | 
生きていくのは大変なことだね
それを10歳で知る人もいれば、年老いて知る人もいるだろう
僕は18の真冬に思い知らされた

何も分からないまま死ねたらどれだけ幸せだろう
ただ知ってしまった以上、それを抱えて生きていくしかないのだ

もう重さに耐えられない
荷物を降ろしてしまいたい
しかし、もはや僕の荷物は体の一部になってしまった
背負ったまま生きてゆき、背負ったまま死んでゆくのだ

僕はまだ生きているよ
果てしない広がりを見せる空の下で
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漂流

2021-02-27 13:51:51 | 
容赦ない光を浴びた街は色褪せ、それとなく古びた
諦めがメガホンで限りなく広がり
音量をまともに受けたせいか
体が縛り付けられたように動かない

秒針はあんなに重かったのに
あっけないほどに時代は過ぎて
次々と幕は閉じられてゆく

無理矢理に青春を思い出しても
前を歩く青春の眩しさに恥ずかしくなり
8月の暑さを理由に溶けて消えていった
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柱にかかる時計

2021-02-27 10:16:48 | 
夜だった
自宅で多くの心が殺された
ドップラー効果の白い箱車が迎えに来る
朝方、帰ってきた頃には
柱にかかる時計は数時間進んでいた

俺は生き残った心たちと外に出た
心が立てなくなっている
立ち上がろうとしても恐ろしく
すぐに手をついてしまう
這いつくばって帰ると柱時計は一回りしていた

四つ足の俺は世の中のスピードについていけず
後ろから次々と足音が聞こえ、すぐにその背中は遠ざかっていく
もう何周遅れなのだろう

家は帰るたびに少しずつ廃墟となり
時計だけが1年、10年、30年と秒針を響かせて進んでいる
単4の電池ひとつで
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