スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ニエユ賞・フォワ賞&第一部定理二五備考

2011-09-15 18:37:00 | 海外競馬
 現地時間来月2日の凱旋門賞を目指して今年も日本馬が渡仏。前哨戦が現地時間の11日に一気に行われ,そのうちの2レースに計3頭の日本馬が出走しました。
 まず3歳馬によるニエユ賞GⅡ芝2400mに今年の共同通信杯を勝ったナカヤマナイト。発走が悪く後方から。最後尾で直線に向うと馬群から徐々に置かれ出しそのまま差のある6頭立ての6着。
 見所がまったくなかったといっていいようなレース内容で,力の差が大きかったといった印象です。陣営は距離も長かったと判断したようで,凱旋門賞は目指さず,前日のドラール賞GⅡに向う意向とのことです。
 4歳以上のフォワ賞GⅡ芝2400mには昨年のJRA賞最優秀4歳以上牡馬のナカヤマフェスタと今年の天皇賞(春)を勝ったヒルノダムールの2頭。ここは4頭で日本の2頭が好発。そのままナカヤマフェスタが後ろを少し離しての逃げ。ヒルノダムールは3番手となり,4頭が縦一列に並ぶような競馬。直線に入るところで2番手にいたSt Nichoras Abbeyがナカヤマフェスタの外へ。2頭が競り合う外にヒルノダムールが出てきて先頭に。しかしすぐ内をSarafinaに掬われる形となり僅差の2着。ナカヤマフェスタは最後は力尽き,差はなかったものの4着。
 ヒルノダムールは上々の内容といえるかと思います。ロンシャン競馬場の馬場も問題にしなかったのは収穫のひとつ。勝ち馬は本番でも1番人気になると思われ,いい競馬が期待できるのではないでしょうか。
 ナカヤマフェスタはここが10ヶ月ぶりのレースで,最後に息切れしたのは仕方がないところ。こちらはすでに馬場の適性は証明済みですので,体調の回復次第では今年もいいレースができるかもしれません。

 そこで次の課題は,なぜスピノザが定義Definitioは定義された事物の発生を含まなければならないと主張するとき,その発生というのを,個物res singularisの場合にも直接的なものに限ってよいと考えることができたのかということを解明するということになります。Aが発生するためにBが必要であり,そのBが発生するためにCが不可欠であるとしたら,Aの発生にはCが必要であると考える方が,むしろ自然であるように思われるからです。
 僕はスピノザがこのように考えた要因は,ふたつあると思っています。そこでまずはそれを順に示していくことにします。第一のものはスピノザが第一部定理二五備考で述べている以下の一文です。
 「一言で言えば,神が自己原因と言われるその意味において,神はまたすべてのものの原因であると言われなければならぬ(eo sensu, quo Deus dicitur causa sui, etiam omnium rerum causa dicendus est)」。
 この一文は,おそらくは実在性realitas,すなわち力potentiaという観点から考えた方が明瞭に理解できるのではないかと思います。すなわちここでスピノザがいっていることは,神Deusが自己原因causa suiによって実在する力と,無限に多くのものomnium rerumが実在する,あるいは発生する力というのは,異なった力なのではなく,同一の力であると考えなければならないということだと思います。
 産出するproducereということばは,どこかしらそこに意志voluntasが介在するようなニュアンスが僕には感じられます。しかし神は本性naturaの必然性necessitasによって働くagereものであり,意志によって作用するものではありませんから,産出ということばをこういう場合に用いることを僕はあまり好みませんが,この点に注意してこのことばをあえて使用すれば,神は自らが存在するのと同一の力によって,無限に多くのものを産出するということになります。したがって,第一部定理一一で示されていることと,第一部定理一六で示されていることは,実は同じ力によって生じるのです。そしてその力は,神ないし絶対に無限な実体substantiaの本性を表現するexprimere力です。いい換えれば実はこれらふたつの定理Propositioはどちらも,第一部定義六から必然的にnecessario帰結するのだといえることになります。
 このように考えたとき,原因と結果effectusという概念notioそのものに,大仰にいえばコペルニクス的転換が生じます。そしてそのことが,スピノザの発生の理解に関連していると僕は考えるのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする