スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

印象的な将棋⑦-6&第一部定理二八備考

2014-07-19 19:07:01 | ポカと妙手etc
 ⑦-5の第2図。反則を回避する必要がある先手は,▲4九銀と打ちました。
                         
 これはただ。△同とと,と金の方で取りました。▲2八龍と王手で引き,△3八香の合駒に▲2六角。△5七王の一手に▲3八龍。
                         
 先手は自玉の詰めろを消すことに成功。双方の玉が接近していて,下手な攻め方をすればかえって自らの玉を危なくしてしまうような局面。先手は手が開けば4四の金を取ることも可能ですし,4九のと金を取れれば危ないところもなくなります。なので観戦しているときは,先手がうまく打開して,簡単ではないながらも勝ちの局面を作ったのではないかと思っていました。

 今回の考察でも問題のひとつとした,媒介ということも,僕は僕の理解によって解釈します。当該の部分,第一部定理二八備考の冒頭部分にまた注目してみましょう。
 「ある種の物は神から直接的に産出されなければならぬ。神の絶対的本性から必然的に生起するものがすなわちそれである。また他の種の物はこの前者の媒介によって生起しなければならぬ」。
 ここでいわれている神の絶対的本性から必然的に生起するもののうちに,直接無限様態が含まれるということは,第一部定理二一から疑い得ないといえます。一方,他の種のもののうちに,個物res singularisが含まれるのかということ,また間接無限様態がどちらに含まれるのかということにはおそらく見解の相違が発生します。ここではこのテクストのうちに,res singularisが直接無限様態の媒介によって生起するという意味が含まれていると前提してみます。
 しかし仮にこのテクストがこのような意味であったとしても,そこに直接無限様態がres singularisの起成原因であるという意味は含まれていないと解釈するのが妥当だと僕は考えます。なぜなら,もしもそうした意味が含まれるのであれば,直接無限様態は,神とres singularisとの間の媒介原因であることになります。そしてそうであるなら,神はres singularisの最近原因ではなく,遠隔原因であるといわれなければなりません。しかし第一部定理二八備考の直後の部分では,神はres singularisの最近原因であるといわれています。そして第一部定理二八備考の後続の説明で,神はres singularisの遠隔原因ではないともいわれているからです。
 つまり,直接無限様態の媒介によってres singularisが生起するとしても,それは媒介原因ではないと解釈しなければ,その後の部分とは辻褄が合いません。したがって,この前提でテクストを理解するなら,ここで媒介ということばが意味しているものは,直接無限様態の存在がres singularisの存在に対して本性の上で「先立つ」ということなのであって,それ以上に何か特別の意味が含まれているわけではないと僕は考えています。
コメント
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