スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

谷津嘉章&隠れた前提

2014-07-27 18:41:46 | NOAH
 1987年のピンチの後,全日本プロレスを活性化すべく天龍源一郎ジャンボ・鶴田と戦う道を選びました。当然ながら両者のタッグはここで解消。新しく鶴田のパートナーになったのは谷津嘉章でした。
 谷津は新日本デビュー。デビュー直後から期待はされていたものの,なかなかトップクラスまでは上れませんでした。頭角を現わしたといえるのは長州力の維新軍に加入し,そこで猪木や藤波と闘うようになってから。自然の成り行きでジャパンプロレスに加入。全日本で仕事をするようになりました。新日本時代は,アニマル・浜口との位置付けにはまだ微妙なところがありましたが,体格は浜口に優っていたためでしょう,全日本で長州の正パートナといえる地位を確保。タッグのチャンピオンにもなっています。
 長州は新日本に戻りましたが,谷津は残りました。インタビューを読むと分かりますが,組んでいたとはいえ,長州と谷津の間にはプロレス観に違いがあったようです。すぐに鶴田のパートナーになったわけではなく,少しの時間が置かれていますが,結果的にいえば,谷津が全日本に残ったのは賢明な選択であったと思います。
 基本的に強く自己主張をするタイプではなく,周囲をみて仕事をする選手であったと僕は思っています。長州とブロディの試合が何とかプロレスの一戦として終ることができたのは,途中から谷津が必死にブロディを抑え込んだからでした。また,天龍が全日本を離脱した直後の東京都体育館の試合で,タイガーマスクが三沢になったとき,不自然にならなかったのは,試合中に谷津が執拗にマスクを剥がそうとする行為に出ていたからです。
 この直後に谷津も全日本を離脱しました。若手を伸ばしていくのに自分は邪魔だったからと谷津は語っています。三沢についていえば,たぶん谷津が残留していてもトップまでいったでしょう。ただこのために鶴田は田上明をパートナーにしたという側面があり,田上のキャリアアップに関しては,このときの谷津と,その後のカブキの離脱は大きかったと僕は考えています。

 第三部定義三の後半部分で,スピノザが何を前提として「私は解する」といっているのかということは,一見した限りでは簡単だと思えます。いうまでもなくそれは第三部定義二です。
 第三部定義三では,単に「解するintelligere」という形式を用いて,感情affectusが定義されます。それは人間の身体humanum corpusの活動能力agendi potentiaと関係するような身体の刺激状態のことであり,またその刺激状態の観念idea,このブログでいうところの身体の変状affectiones corporisです。一方,第三部定義二では,原因causaの十全性と能動actioとの間に相関関係があるということが,「私はいう」という形式で定義されています。このことから,ある人間の身体の活動能力に関係する刺激状態が,その人間の身体が十全な原因causa adaequataとなって生じるなら,その感情は能動であることになります。しかしもしもそうした刺激状態に対して,その人間の身体が十全な原因ではないなら,いい換えれば部分的原因causa partialisであるなら,その感情は受動passioであるということになります。つまりこの点に関しては,スピノザは「私は解する」といっているのですが,その実,だれが解したとしても同一の結論になることは間違いありません。よってそこでスピノザが「私は解する」といっている事柄の内容は真理veritasであると断定して問題ないことになります。
 ただし,僕はスピノザがこの部分で前提していることは,このことだけであるとは考えていないのです。というのは,この部分は能動的感情と受動的感情の定義Definitioであるからです。これはスピノザの哲学に限らず,一般的に公理系で何らかの事物が定義されるならば,その事物は存在するものとして定義されます。他面からいうなら,定義される事物にはある実在性realitasが含まれます。ところが第三部定義三のうちにも,またそこでスピノザが「私は解する」という内容を論理的に帰結させる前提となっている第三部定義二のうちにも,能動的感情と受動的感情,より正確にいうなら,人間の能動的感情と人間の受動的感情が,確実に存在するものであるということ,つまりそれらが実在性を有するあるものであるということが含まれているとはいえません。したがって僕はここの部分には,スピノザによる,いわば隠れた前提とでもいうべき事柄が含まれていると理解しなければならないと思うのです。
コメント
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