オーストラリアのコーフィールド競馬場で行われたコーフィールドカップGⅠ芝2400m。
メールドグラースは17番枠からの発馬ということもあり,無理せずに控え,後方2番手を追走。最後尾に控えた1頭を除く17頭はほぼ一団のレースで,先頭からの差は概ね12馬身くらい。最後の直線に入る前のコーナーで外から漸進。前を射程圏に入れて外から2頭目に出しました。この時点で手応えがよかったので伸びてくるだろうと思えました。その見た目通りに末脚を発揮。残り200m付近で先頭に立つと抜け出し,最後は差を詰められる形とはなったものの危なげなく2着馬に1馬身の差をつけて優勝しました。
優勝したメールドグラースはこれが大レース初挑戦での勝利。今年に入って本格化したのか5連勝で重賞3連勝中。底をみせていませんのでここでも勝つ可能性はあるとみていました。距離への対応は不安要素でしたが,オセアニアの競馬は基本的に距離が伸びるほどレベルが下がる傾向なので,相手関係はその分だけ有利となっている筈で,そこで相殺できるかもしれないというのが僕の見立て。レース全体のレベルがいかほどのものであったのかは不明ですが,これで6連勝となったわけですから,今後の活躍も大いに楽しみです。父はルーラーシップ。母のふたつ上の半兄に2005年に福島記念を勝ったグラスボンバー。Mer de Glaceはフランス語で直訳すれば氷の海。フランス最大の氷河の名前。
日本馬の海外での大レース制覇はナッソーステークス以来。オーストラリアでは2015年のジョージライダーステークス以来。コーフィールドカップは2014年以来。騎乗したオーストラリアのダミアン・レーン騎手は帝王賞以来となる日本馬に騎乗しての大レース4勝目。海外では初勝利。管理している清水久詞調教師は一昨年の有馬記念以来の大レース8勝目。海外重賞は初勝利。
誤謬errorを犯していてもそれは無力impotentiaではなく力potentiaではあるということに注意を促すのは,この考察の契機となった部分に関係します。スピノザの哲学では何事かを肯定する意志作用volitioが存在しないということは,ふたつの意味,すなわち,ある観念ideaが存在してそれを肯定する意志作用がない,あるいは同じことですが,ある観念はあってそれを否定する意志作用があるという場合と,観念そのものがないというふたつの意味に解することが可能でした。これは第二部定理四九系にあるように,スピノザの哲学では意志voluntasと知性intellectus,すなわち個別の意志作用と個別の観念は同じものになっているからです。

ですが僕たちが一般に意志がないという場合には,前者の場合のことをいうのであって,後者の場合には意志がないとはいわずに,能力potentiaがない,力がないというのです。そして僕たちがこのように使い分けることも,スピノザの哲学に照らして,不条理であるわけではないということが,この考察の中心でした。混乱した観念idea inadaequataにも十全な観念idea adaequataと同じように意志作用が備わっています。これはペガサスについての馬と翼の関係に言及している第二部定理四九備考から明白です。このとき,そのペガサスの観念が混乱した観念であると気付いていればこれは単なる虚偽falsitasで,それに気付いていない,つまりペガサスが現実的に存在していると思うなら誤謬errorですが,虚偽の場合でも誤謬の場合でも,ペガサスの観念と馬に対して翼を肯定する意志作用の関係は同一です。だからペガサスの観念がある人間の精神mens humanaのうちにあるとすれば,それはその人間のペガサスを認識するcognoscere力だと解さねばなりません。これに対して,いかなる意志作用をもってしても,ペガサスを認識することができない知性を仮定するとしたら,この知性はペガサスに関する虚偽の認識をしないがためにペガサスに関する誤謬に陥ることもないのですが,ペガサスを認識する力は欠如している,完全な意味で欠如しているとみなされなければならず,これはたとえ誤謬に陥るのであっても,虚偽を認識する力に対しては,無力なのです。
このように,誤謬は認識の不足ではあっても欠如ではないので,無力というわけではなく力ではあります。
メールドグラースは17番枠からの発馬ということもあり,無理せずに控え,後方2番手を追走。最後尾に控えた1頭を除く17頭はほぼ一団のレースで,先頭からの差は概ね12馬身くらい。最後の直線に入る前のコーナーで外から漸進。前を射程圏に入れて外から2頭目に出しました。この時点で手応えがよかったので伸びてくるだろうと思えました。その見た目通りに末脚を発揮。残り200m付近で先頭に立つと抜け出し,最後は差を詰められる形とはなったものの危なげなく2着馬に1馬身の差をつけて優勝しました。
優勝したメールドグラースはこれが大レース初挑戦での勝利。今年に入って本格化したのか5連勝で重賞3連勝中。底をみせていませんのでここでも勝つ可能性はあるとみていました。距離への対応は不安要素でしたが,オセアニアの競馬は基本的に距離が伸びるほどレベルが下がる傾向なので,相手関係はその分だけ有利となっている筈で,そこで相殺できるかもしれないというのが僕の見立て。レース全体のレベルがいかほどのものであったのかは不明ですが,これで6連勝となったわけですから,今後の活躍も大いに楽しみです。父はルーラーシップ。母のふたつ上の半兄に2005年に福島記念を勝ったグラスボンバー。Mer de Glaceはフランス語で直訳すれば氷の海。フランス最大の氷河の名前。
日本馬の海外での大レース制覇はナッソーステークス以来。オーストラリアでは2015年のジョージライダーステークス以来。コーフィールドカップは2014年以来。騎乗したオーストラリアのダミアン・レーン騎手は帝王賞以来となる日本馬に騎乗しての大レース4勝目。海外では初勝利。管理している清水久詞調教師は一昨年の有馬記念以来の大レース8勝目。海外重賞は初勝利。
誤謬errorを犯していてもそれは無力impotentiaではなく力potentiaではあるということに注意を促すのは,この考察の契機となった部分に関係します。スピノザの哲学では何事かを肯定する意志作用volitioが存在しないということは,ふたつの意味,すなわち,ある観念ideaが存在してそれを肯定する意志作用がない,あるいは同じことですが,ある観念はあってそれを否定する意志作用があるという場合と,観念そのものがないというふたつの意味に解することが可能でした。これは第二部定理四九系にあるように,スピノザの哲学では意志voluntasと知性intellectus,すなわち個別の意志作用と個別の観念は同じものになっているからです。

ですが僕たちが一般に意志がないという場合には,前者の場合のことをいうのであって,後者の場合には意志がないとはいわずに,能力potentiaがない,力がないというのです。そして僕たちがこのように使い分けることも,スピノザの哲学に照らして,不条理であるわけではないということが,この考察の中心でした。混乱した観念idea inadaequataにも十全な観念idea adaequataと同じように意志作用が備わっています。これはペガサスについての馬と翼の関係に言及している第二部定理四九備考から明白です。このとき,そのペガサスの観念が混乱した観念であると気付いていればこれは単なる虚偽falsitasで,それに気付いていない,つまりペガサスが現実的に存在していると思うなら誤謬errorですが,虚偽の場合でも誤謬の場合でも,ペガサスの観念と馬に対して翼を肯定する意志作用の関係は同一です。だからペガサスの観念がある人間の精神mens humanaのうちにあるとすれば,それはその人間のペガサスを認識するcognoscere力だと解さねばなりません。これに対して,いかなる意志作用をもってしても,ペガサスを認識することができない知性を仮定するとしたら,この知性はペガサスに関する虚偽の認識をしないがためにペガサスに関する誤謬に陥ることもないのですが,ペガサスを認識する力は欠如している,完全な意味で欠如しているとみなされなければならず,これはたとえ誤謬に陥るのであっても,虚偽を認識する力に対しては,無力なのです。
このように,誤謬は認識の不足ではあっても欠如ではないので,無力というわけではなく力ではあります。