スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ヒューリック杯白玲戦&使いにくい牌

2021-10-22 19:01:08 | 将棋
 16日に奈良で指された第1期白玲戦七番勝負第四局。
 渡部愛女流三段の先手で後手の西山朋佳女流三冠のノーマル三間飛車。先手は銀冠に組み,中盤まではいい勝負が続きました。
                                        
 後手が4五にいた銀を引いた局面。これは☗5五馬と引かれるのを防いだ手です。
 ここで☗4九香と打ちましたが,この手はここでは悠長すぎました。
 ☖8五歩☗同歩と桂馬を取られて☖5三角。玉頭を狙われたので☗7五歩と突いたものの☖同歩と取られて☗8四歩に☖7四桂と打たれました。
                                        
 第2図となっては玉頭を制圧している後手が必勝に近い形になっています。第1図はもっと直接的な狙いを秘めた手を指さなければならなかった局面。緩手が出たために一遍に差が開いてしまったという一局でした。
 西山三冠が4連勝で初代の白玲に就位。8つのタイトルを4つずつふたりで分け合う状況になりました。

 瑞原の目から見ると,7萬はあと1枚しかありません。その1枚がフェニックスの手の中にあり,かつフェニックスが9萬を合わせて持っている場合にのみ,8萬はチーされることになるのです。この場合は実際にそうなっていましたが,可能性としていえばこれは小さいので,この点からいっても,瑞原からしてみれば,8萬はチーされにくいと思える牌だったことになります。
 ただし,厳密には次のことはいえます。
 あるプレイヤーが,7を3枚持っているなら,8と9はほかのプレイヤーにとって使いにくい牌になります。使えない牌は捨てられることになりますから,8と9は捨てられやすい牌であるといえます。このとき,9萬はアベマズによって1枚捨てられていましたが,8萬はだれも捨てていませんでした。こういう場合は,ほかのプレイヤーが8萬を2枚持っている可能性が少し高くなります。したがってその可能性が高くなる分だけ,8萬をポンされるリスクというのは高まります。ですから,単に副露したプレイヤーの手を進捗させることを防ぐということだけを目的として打つのであれば,この場合はまだ8萬は捨てない方がよく,もし自分がもう1枚引いてくるとか,だれかが1枚捨てるとかした後に捨てる方が万全です。この局ではアベマズの手の中に2枚あり,アベマズがそれをポンしたわけですが,フェニックスが捨てている牌の情報からは,フェニックスの手の中に2枚の8萬があるということを否定するようなものはありません。いい換えれば,フェニックスの手の中に2枚の8萬があって,それをポンすることでフェニックスがテンパイするあるいはテンパイに近付くという可能性が,僅かながらでも高まっているのですから,この時点では手の中に残しておいた方がよいのです。ただしこのときの瑞原は,単にフェニックスの手が進むのを防ぐということを目的として打っているわけではありませんから,8萬を捨てたことが間違っているというわけではありません。
 いずれにしてもこれは瑞原以外の3人のプレイヤーからは分からないことです。フェニックスが5萬を捨てているので,8萬を捨てたことはおかしいとは思わないのです。
コメント
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