第84回菊花賞。
発走後に前にいこうとしたのはパクスオトマニカとリビアングラスとドゥレッツァ。先手を取ったのはドゥレッツァで2番手にパクスオトマニカ。2馬身差の3番手にリビアングラスという隊列になって1周目の直線へ。この3頭の後ろはダノントルネードとノッキングポイントとハーツコンチェルトとファントムシーフの集団。2馬身差でタスティエーラとシーズンリッチとショウナンバシット。11番手にサトノグランツ。その後ろがサヴォーナとナイトインロンドンとソールオリエンスの3頭。15番手にマイネルラウレア。2馬身差でウインオーディン。発馬で2馬身ほどの不利があったトップナイフが最後尾。2周目の向正面にかけてパクスオトマニカがドゥレッツァに並び掛けていき,向正面に入ると単独の先頭に。そのまま4馬身くらいの差をつけていくと,リビアングラスがドゥレッツァに並んでいき,3コーナーまでにかなり外の方からパクスオトマニカに並び掛けていきました。最初の1000mは60秒4のスローペース。
3コーナーからはパクスオトマニカとリビアングラスの雁行の後ろにドゥレッツァとトップナイフとサヴォーナ。その後ろにダノントルネードとハーツコンチェルト。直線に入ると先頭に立ったリビアングラスのすぐ外からドゥレッツァがまた追い上げてきて先頭に。このまま抜け出すと後ろとの差を広げていって快勝。途中までは追ってきていたタスティエーラが最後は突き放されて3馬身半差で2着。大外から脚を伸ばしたソールオリエンスが1馬身半差で3着。
優勝したドゥレッツァはこれが重賞初挑戦での大レース制覇。昨年の11月に2戦目の未勝利を勝った後は出走取消を挟んで1勝クラス,2勝クラス,3勝クラスとすべて勝利。これで5連勝となりました。逃げてから道中で先頭を譲って勝つというのは簡単な芸当ではなく,ここは能力の高さと同時に騎手の手腕も大きかったと思います。2着馬がダービー馬で3着が皐月賞馬。その2頭をこれだけ突き放して勝ったわけですから,かなり高い評価が必要かと思います。父はドゥラメンテ。Durezzaは音楽用語で激しさ。
騎乗したクリストフ・ルメール騎手は宝塚記念以来の大レース制覇。第77回,79回に続き5年ぶりの菊花賞3勝目。管理している尾関知人調教師は2021年の香港ヴァーズ以来の大レース5勝目。国内では2017年のスプリンターズステークス以来。菊花賞は初勝利。
存在することがひとつの力potentiaなので,ホッブズThomas Hobbesがいっている自分自身の生命を維持するということは,自分自身の力を維持するということを同時に意味することになります。これはスピノザの場合にも該当するので,一致していることになります。そして,存在することが力を有しているということなのですから,そのふたつは本来は一致することになります。ところが,現実的に存在する人間は,時として存在するということと力を有するということ,あるいは存在するということと力を発揮するということが引き裂かれてしまう場合があるのです。これは例外的な事象とはいえるのですが,現実的にそうしたことが生じるのですから,その場合についても考えておかなければなりません。
最も分かりやすい例は,延命治療のために強烈な副作用が生じるという場合です。この場合,ホッブズのいい方だと,生命を維持するために力を用いるということが自然権jus naturaeであるとされていますので,たとえどのような副作用が生じようと延命治療を受けるということがその人間の自然権であるということになります。他面からいえば,副作用を回避するために延命治療を避けるということは自然権を放棄しているということになります。しかし,生命を維持するということが力でもあるとみるなら,このようにいうことはできません。なぜなら,強烈な副作用によってなし得たことがなし得なくなるとすれば,それはある力が無力impotentiaになるということを意味するのであって,これはむしろ生命という力を維持することを放棄するという意味になります。つまりこの場合には,延命治療を受けることが自然権を放棄することで,それを避けることが自然権を行使するということになるでしょう。
これについてはどちらが正しいということはないのです。つまり,副作用を忍耐して延命治療を受けるということも,延命治療は受けずに副作用を回避することも,同じように生命を維持するために力を維持しているということなのであって,スピノザの哲学でいえばそれぞれのコナトゥスconatusなのです。
このことはコナトゥスを個物res singularisの現実的本性actualis essentiaとしているスピノザの場合で考えると分かりやすいでしょう。
発走後に前にいこうとしたのはパクスオトマニカとリビアングラスとドゥレッツァ。先手を取ったのはドゥレッツァで2番手にパクスオトマニカ。2馬身差の3番手にリビアングラスという隊列になって1周目の直線へ。この3頭の後ろはダノントルネードとノッキングポイントとハーツコンチェルトとファントムシーフの集団。2馬身差でタスティエーラとシーズンリッチとショウナンバシット。11番手にサトノグランツ。その後ろがサヴォーナとナイトインロンドンとソールオリエンスの3頭。15番手にマイネルラウレア。2馬身差でウインオーディン。発馬で2馬身ほどの不利があったトップナイフが最後尾。2周目の向正面にかけてパクスオトマニカがドゥレッツァに並び掛けていき,向正面に入ると単独の先頭に。そのまま4馬身くらいの差をつけていくと,リビアングラスがドゥレッツァに並んでいき,3コーナーまでにかなり外の方からパクスオトマニカに並び掛けていきました。最初の1000mは60秒4のスローペース。
3コーナーからはパクスオトマニカとリビアングラスの雁行の後ろにドゥレッツァとトップナイフとサヴォーナ。その後ろにダノントルネードとハーツコンチェルト。直線に入ると先頭に立ったリビアングラスのすぐ外からドゥレッツァがまた追い上げてきて先頭に。このまま抜け出すと後ろとの差を広げていって快勝。途中までは追ってきていたタスティエーラが最後は突き放されて3馬身半差で2着。大外から脚を伸ばしたソールオリエンスが1馬身半差で3着。
優勝したドゥレッツァはこれが重賞初挑戦での大レース制覇。昨年の11月に2戦目の未勝利を勝った後は出走取消を挟んで1勝クラス,2勝クラス,3勝クラスとすべて勝利。これで5連勝となりました。逃げてから道中で先頭を譲って勝つというのは簡単な芸当ではなく,ここは能力の高さと同時に騎手の手腕も大きかったと思います。2着馬がダービー馬で3着が皐月賞馬。その2頭をこれだけ突き放して勝ったわけですから,かなり高い評価が必要かと思います。父はドゥラメンテ。Durezzaは音楽用語で激しさ。
騎乗したクリストフ・ルメール騎手は宝塚記念以来の大レース制覇。第77回,79回に続き5年ぶりの菊花賞3勝目。管理している尾関知人調教師は2021年の香港ヴァーズ以来の大レース5勝目。国内では2017年のスプリンターズステークス以来。菊花賞は初勝利。
存在することがひとつの力potentiaなので,ホッブズThomas Hobbesがいっている自分自身の生命を維持するということは,自分自身の力を維持するということを同時に意味することになります。これはスピノザの場合にも該当するので,一致していることになります。そして,存在することが力を有しているということなのですから,そのふたつは本来は一致することになります。ところが,現実的に存在する人間は,時として存在するということと力を有するということ,あるいは存在するということと力を発揮するということが引き裂かれてしまう場合があるのです。これは例外的な事象とはいえるのですが,現実的にそうしたことが生じるのですから,その場合についても考えておかなければなりません。
最も分かりやすい例は,延命治療のために強烈な副作用が生じるという場合です。この場合,ホッブズのいい方だと,生命を維持するために力を用いるということが自然権jus naturaeであるとされていますので,たとえどのような副作用が生じようと延命治療を受けるということがその人間の自然権であるということになります。他面からいえば,副作用を回避するために延命治療を避けるということは自然権を放棄しているということになります。しかし,生命を維持するということが力でもあるとみるなら,このようにいうことはできません。なぜなら,強烈な副作用によってなし得たことがなし得なくなるとすれば,それはある力が無力impotentiaになるということを意味するのであって,これはむしろ生命という力を維持することを放棄するという意味になります。つまりこの場合には,延命治療を受けることが自然権を放棄することで,それを避けることが自然権を行使するということになるでしょう。
これについてはどちらが正しいということはないのです。つまり,副作用を忍耐して延命治療を受けるということも,延命治療は受けずに副作用を回避することも,同じように生命を維持するために力を維持しているということなのであって,スピノザの哲学でいえばそれぞれのコナトゥスconatusなのです。
このことはコナトゥスを個物res singularisの現実的本性actualis essentiaとしているスピノザの場合で考えると分かりやすいでしょう。