スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典JBCクラシック&一般的な自然権

2024-11-07 19:19:03 | 地方競馬
 佐賀競馬場の2000mで行われた4日の第24回JBCクラシック
 ウィリアムバローズの逃げとなり2番手にヒロイックテイルとノットゥルノ。2馬身差でガルボマンボとキリンジとメイショウハリオ。2馬身差でウィルソンテソーロ。2馬身差でアンブロジオ。2馬身差でダイモーン。1馬身差でシルトプレ。3馬身差の最後尾にシンコーマーチャンで発馬後の向正面を通過。正面に入って2番手がガルボマンボとヒロイックテイルとノットゥルノの3頭併走となり,単独の5番手にウィルソンテソーロ。直後にメイショウハリオ。2馬身差でキリンジという隊列に。さらに2周目の向正面に入るとウィルソンテソーロとガルボマンボで2番手併走という形に。スローペースでした。
 3コーナーを回ると内からウィルソンテソーロが先頭に。逃げたウィリアムバローズの外からメイショウハリオが上がって2番手は併走。先頭のまま直線に向かったウィリアムバローズはそのまま危なげなく抜け出して快勝。外を回ったメイショウハリオが4馬身差で2着。さらに外を追い込んだキリンジが3馬身差の3着で大外急襲のシルトプレが半馬身差で4着。
 優勝したウィルソンテソーロは昨年の白山大賞典以来の勝利。重賞4勝目で大レースは初制覇。大レースでの2着が3度もあった馬。ここはメンバーがやや楽だったので順当な優勝といっていいと思います。これまで勝てなかった馬がすべて出走していませんでしたので,その域まで追いついたとはいえないかもしれませんが,安定して能力を発揮する馬ですから,これからも大きく崩れることはないだろうと思います。父はキタサンブラック
                            
 騎乗した川田将雅騎手NHKマイルカップ以来の大レース45勝目。第19回,20回に続いて4年ぶりのJBCクラシック3勝目。管理している小手川準調教師は開業から4年7ヶ月で大レース初勝利。

 自己の有esseに固執するperseverare力potentiaを自然権jus naturaeとみなす考え方は,スピノザの思想においては,特別な意味を持つことになります。これは現在の考察とは直接的には関係しないのですが,無視することはできない点です。
 第三部定理七は,現実的に存在するすべての個物res singularisに妥当する定理Propositioです。したがって,自己の有に固執する力を自然権とみなすのであれば,スピノザの思想においては,人間だけが自然権を有するわけでなく,現実的に存在するすべての個物が自然権を有していることになります。もちろん僕たちは政治論を検討するときには,人間の政治論について検討するわけですから,その文脈で自然権を考える場合はとくにこのことを考慮しなくても大丈夫です。しかし哲学的な文脈ではそういうわけにはいきません。フロムErich Seligmann Frommは『人間における自由Man for Himself』の中で,スピノザが到達した徳virtusの概念notioは,一般的な規範を人間に対して適用したものにすぎないといっていますが,これが自然権の場合も当て嵌まるのであって,スピノザの哲学における自然権とは,一般的な自然権を人間に適用したものにすぎないのです。
 僕はスピノザが自然権という概念についてはホッブズThomas Hobbesからヒントを得たということを否定しません。つまり第三部定理七から直接的に自然権という概念を抽出したというわけではないと思います。しかしそれをスピノザの哲学の中で訴えるのであれば,第三部定理七でいわれている現実的本性actualis essentiaをそのまま自然権と結び付けているというほかないのであって,そうであれば自然権というのは現実的に存在するすべての個物に付与された権利なのであって,自然Naturaのうちで人間だけが特有に有する権利であると考えることはできません。実際にホッブズは自然状態において個々の人間がなし得る力についてそれを自然権と規定しているのですから,スピノザがそうした力についてそれを自然権とみなそうとすれば,第三部定理七に訴えるほかなかったとみるべきなのであり,自然権の着想をホッブズから得たスピノザにとって,自然権は現実的に存在するすべての個物に付与されている権利であり,それが現実的に存在する人間にも適用されるというのは,必然的なnecessarius結論であったといえます。

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