スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

霧島酒造杯女流王将戦&アベマズのポン

2021-10-16 19:05:12 | 将棋
 9日に霧島ファクトリーガーデンで指された第43期女流王将戦三番勝負第一局。対戦成績は西山朋佳女流王将が14勝,里見香奈女流名人が10勝。これはNHK杯の予選の3局を含んでいます。
 霧島酒造の社長による振駒は歩が5枚出て西山王将の先手。先手の中飛車に後手の里見名人が向飛車に振っての相振飛車。先手が後手に攻めさせる展開となり,その攻めが続くかどうかが焦点になりました。
                                        
 後手が4四の銀で5五の歩を取り,先手の飛車が5六から逃げた局面。後手は歩が二枚になったことを生かして☖1四歩☗同歩☖1五歩☗同香☖1四香と攻めていきました。
                                        
 先手は第1図で☗1六歩と受けたのですが,☖1五香☗同歩に☖4二香と打たれました。ここから☗2六歩☖4六銀☗2五歩☖4七銀不成☗2四歩☖3六銀成と一直線の駒の取り合いに。
                                        
 第3図まで進んでしまうと後手の成銀と香車の働きが強すぎ,先手がかなりの劣勢となっています。なので第2図では,☗同香☖同飛と進め,先手を取って受けなければいけなかったということになるでしょう。
 里見名人が先勝。第二局は19日に指される予定です。

 10巡目にパイレーツが8萬という牌を捨てると,アベマズがポンの発声とともに手の内にあった2枚の8萬と合わせて3枚の8萬を副露しました。
 すでにフェニックスは2つの副露を入れています。実際はテンパイしているわけではありませんが,他のプレイヤーは,テンパイしていると推測しておかしくありません。そしてその手が,アベマズを逆転するだけの材料になっていると他のプレイヤーが認識していることは,すでに説明した通りです。そのフェニックスが得点を獲得すれば,フェニックスが1位でアベマズは2位で試合終了です。ですからアベマズはフェニックスが得点を獲得する前に,自身が得点を獲得して,南4局1本場に向わなければなりません。事前にいっておいたように,アベマズはこの局は最低でもテンパイに向かわなければならないのですが,この状況はすでにテンパイだけでは十分でなく,フェニックスより先に得点を獲得しなければならなくなっているのです。ですから副露して得点の獲得を目指しにいくのは当然の選択です。
 このとき,フェニックスの手の中には,7萬と9萬がありました。したがってもしアベマズがポンをしていなければ,フェニックスはこの8萬をチーしてテンパイしていました。フェニックスの手は,8萬をチーしてテンパイをするより,7萬か9萬を引いてきてテンパイする方がいいのですが,それでも,チーすることができる牌をポンされてテンパイすることができなかったのは,フェニックスにとって痛手であったことは間違いないといえるでしょう。
 これはここでの考察と無関係な補足ですが,近藤はチーという発声はしていません。しかしそれはチーする気がなかったからではないと思われます。ポンとチーが同時に発声されると,ポンが優先されるので,その発声がないことを確かめた上でチーという発声をしようとしていたのだと思われます。もしそこでタイミングをずらさずに発声してしまうと,自身の手の中が,8萬をチーできる状態になっているということ,つまり6萬と7萬を持っているか,7萬と9萬を持っているということが他のプレイヤーに分かってしまい,著しく不利になるからです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

農林水産大臣賞典報知新聞社杯エーデルワイス賞&手の内の材料

2021-10-15 19:13:50 | 地方競馬
 昨晩の第24回エーデルワイス賞。ギンガレールウェイは石川倭騎手から山本咲希到騎手に変更。
 発馬後のダッシュがよかったのはスティールノーヴァ。それを内からナックドロップスが追い抜いての逃げ。控えたスティールノーヴァにヒストリックノヴァも追い上げてきて,3頭の先行集団。すぐ後ろにブッシュガーデンとギンガレールウェイが併走し,6番手のスティールルージュと7番手のエイシンヌプリまでが一団。2馬身差でヒノカミカグラとスピーディキック。10番手にレディーアーサー。11番手にアマクミナイデヨ。12番手がヒノクニで13番手にラッキーミーティア。2馬身差の最後尾にスカーレットピースという隊列。前半の600mは33秒9の超ハイペース。
 3コーナーを回るとナックドロップスにヒストリックノヴァが並び掛けていき,スティールノーヴァは後退。直線の手前ではヒストリックノヴァがナックドロップスの前に出ましたが,ナックドロップスもここから抵抗。ヒストリックノヴァの外から伸びてきたのがブッシュガーデンとエイシンヌプリでこの4頭の競り合いに。ここからヒストリックノヴァとエイシンヌプリが抜け出て,2頭の競り合いになったところ,ナックドロップスとヒストリックノヴァの間を突いたスピーディキックの追い込みが炸裂。内から2頭を差し切って優勝。競り合いを制したヒストリックノヴァがクビ差で2着。エイシンヌプリがアタマ差で3着。ブッシュガーデンが1馬身差の4着でナックドロップスはハナ差で5着。
 優勝した北海道のスピーディキックは前走のリリ―カップからの連勝で重賞制覇。リリ―カップの上位馬は例年このレースでも好走しますので,有力候補とみていました。リリーカップのときも後方からの追い込みで勝ったのですが,そのときは外を回りました。ここはこの着差ですから,内から追い込んできた騎手の判断と,それに応えた馬の根性が最大の勝因といえそうです。父は2012年にクラスターカップJBCスプリント,2013年に東京盃を勝ったタイセイレジェンドでその父はキングカメハメハ。母の父は2003年にシンザン記念と武蔵野ステークス,2007年に佐賀記念を勝ったサイレントディール
 騎乗した北海道の岩橋勇二騎手はデビューから20年で重賞初勝利。管理している北海道の石本孝博調教師は開業から17年半で重賞初勝利。

 フェニックスが4巡目に發をポンした後,巡目が進み,8巡目にパイレーツが7索という牌を捨てると,フェニックスがチーの発声をします。フェニックスの手には8索と9索がありましたので,7,8,9という3つの横並びができますので,この牌はチーすることができるのです。
                                        
 フェニックスはアベマズとの差が1600点でした。發をポンした時点では,必ずそれを逆転することができるテンパイになるということが約束されていたわけではなかったのですが,この間に白という字牌を引いてくることにより,それが3枚になりましたので,だれの責任で得点を獲得することになっても,最低でも2600点の獲得になることは決まっていました。すなわちアベマズを逆転するだけの材料が,7索をチーしたときのフェニックスの手の内にはあったことになります。
 それが具体的に何点であるかは分からなくとも,少なくともフェニックスの手の内の材料が,アベマズを逆転するだけのものになっているということは,おそらくほかのチームの3人のプレイヤーも理解していたものと思われます。それはフェニックスがその前の巡目に發を捨てていることと関係します。發はフェニックスがポンしている牌で,ポンしている牌を引いてきた場合は,カンという発声でそれを晒すことができます。晒すことで獲得できる点数が上昇します。よってフェニックスの手の内の材料が,アベマズを逆転するに至っていなかったとすれば,フェニックスはそれをカンするのが自然です。ところがそれを捨てたのですから,すでに手の内だけでアベマズを逆転するだけの材料が揃っているという結論になるのです。つまりこうしたことは論理的な認識,第二種の認識cognitio secundi generisによって認識するcognoscereことができる事柄ですから,ほかのチームの3人のプレイヤーもそう認識したと解しておくのが妥当です。
 フェニックスは7索をポンした後,5萬という牌を捨てました。このときに5萬を捨てたことが,この後の展開にやや影響を与えます。また9巡目にサクラナイツが7筒という牌を捨てていますが,そのときにプレイヤーである内川は,少し考えています。このときに何を考えていたかは,後で推測します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スポーツニッポン賞鎌倉記念&同時の発声

2021-10-14 19:15:51 | 地方競馬
 北海道から2頭が遠征してきた全日本2歳優駿トライアルの昨晩の第20回鎌倉記念。ゲートに各馬が入り始めた後に,アークティアラの身体の検査が行われましたが,異常はなく,そのまま出走となりました。
                                        
 先手を奪ったのはノブレスノア。メンタイマヨ,カイル,シルトプレの3頭が2番手。5番手にママママカロニで6番手にプリサイスニードル。7番手にタツノエクスプレスとイライジャ。アークティアラだけが5馬身くらい離されました。ハイペース。
 向正面に入るとノブレスノア,カイル,シルトプレの3頭が雁行。その後ろもメンタイマヨとママママカロニで併走。そこへプリサイスニードルが外から追い上げてきてペースアップ。カイルは脱落してノブレスノアとシルトプレの2頭の雁行に。脚を使ったプリサイスニードルは最終コーナーで一杯になり,その内からママママカロニが単独の3番手に。前の2頭の競り合いは直線でシルトプレが決着をつけ,抜け出すとそのまま優勝。ママママカロニは最終コーナーでだいぶ外に膨れましたが直線でも脚を使い,一杯となったノブレスノアは差して1馬身差で2着。ノブレスノアが1馬身半差で3着。
 優勝した北海道のシルトプレはここまで4戦して3勝。北海道は2歳戦のレベルは高く,前走で1500mのレースも勝っていましたから,左回りをこなせれば優勝争いに加われる馬だろうとみていました。川崎コースはカーブが急なので,経験が少ない馬が対応するのは大変な面がありますが,この馬は問題なくこなせたことによっての優勝。逃げたのはこのレースのトライアルを勝っていた馬で,その馬を自ら潰しにいっての優勝ですから,能力面でも他を上回っていたとみていいと思います。父は2012年にきさらぎ賞,2014年にマイラーズカップを勝ったワールドエースで,その父はディープインパクト。母のひとつ下の半弟に2008年にステイヤーズステークスを勝ったエアジパング。S'il Te Plaitはフランス語でお願いします。
 騎乗した大井の笹川翼騎手は京浜盃以来の南関東重賞12勝目。鎌倉記念は初勝利。管理している北海道の桜井拓章調教師は南関東重賞初勝利。

 チーは自分の前の順のプレイヤーからしかできません。ですから複数のプレイヤーが同時にチーの発声をすることもありません。しかし,ポンとチーの発声が同時に発生するということはあり得ます。
 これもまたA,B,C,Dの4人で説明します。この4人がこの順でプレイすると仮定します。そして,Aが2の牌を捨てたとしましょう。このとき,Bが1と3を持っていると,その牌をチーすることができます。一方,Cがその2を2枚持っていたなら,その牌をポンすることができます。こうしたことは実際に生じ得ますし,この局でもその状況が発生しました。この場合は,ポンが優先されます。つまりこの例でいえば,Bは2をチーすることはできず,Cが2をポンすることになります。すでにいったように,ポンは字牌でも数牌でもできますが,チーは数牌でしかできません。したがって,ポンの発声とチーの発声が同時に生じ得る状況というのは,だれかが数牌を捨てたときに限られることになります。
 なお副露は,必ずしなければならないというものではありません。してもよいししなくてもよいのであり,その判断はプレイヤーに任されます。副露をすることにはメリットもあればデメリットもあります。分かりやすいメリットは,少なくともテンパイまでの速度が速くなるということです。分かりやすいデメリットはふたつあって,ひとつは獲得することができる得点の減少が生じることです。もうひとつは副露すると自分がもっている牌の一部をすべてのプレイヤーに晒すことになりますから,副露しなければ確実なものとして与えないですむ情報を,確実な情報として他のプレイヤーに与えてしまうという点です。もうひとつ,副露した牌は捨てることができませんので,捨てることができる牌はその分だけ減少します。したがって,失点をしないことだけを目指す場合は,副露は基本的に損になります。とはいえこのときのフェニックスは,加点だけを目指しているといってもいい状況なのであり,かつ2000点を獲得するだけで十分なのですから,こうしたデメリットは関係ありません。よってメリットである,テンパイへの速度を重視することになるのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竜王戦&副露のルール

2021-10-13 19:08:01 | 将棋
 8日と9日にセルリアンタワー能楽堂で指された第34期竜王戦七番勝負第一局。対戦成績は豊島将之竜王が9勝,藤井聡太三冠が8勝。
 野村ホールディングスの副社長による振駒で藤井三冠が先手となり,相掛かり。終盤まで難解な将棋が続いていましたが,急に終ってしまうという内容になりました。
                                        
 先手が歩を取り込んで王手を掛けたところ。ここで☖2二玉と逃げれば後手玉は最も安定します。それに対しては☗4一龍とするのが最善でAIの判断では先手が優勢ですが,後手がすぐに負けるというような局面ではありません。
 実戦は☖3四同王と取りました。これにも☗4一龍。☖3三桂と跳ねるのが狙いだったようですが,これには☗3六玉と取られ,☖3五歩に☗4七玉。
                                        
 第2図となっては双方の玉の危険度に違いがありすぎるため,一遍に先手の勝勢となりました。豊島竜王としては☖2二王としてもその後の道筋が描けなかったのかもしれませんが,仮に同じように負けるのであったとしても,最後まで相手を苦しめた上で負けるのでなければいけなかったように思います。
 藤井三冠が先勝。第二局は22日と23日に指される予定です。

 副露の基本的なルールは理解しておく必要があります。
 4巡目に近藤が発声したポンという副露は,同じ牌を3枚晒す副露でした。したがって,自身の手の中に2枚の同じ牌があり,ほかの3人のプレイヤーのだれかがその牌を捨てたときに可能となる副露です。これはどのような牌でもできますし,自分以外の3人のだれからでも可能な副露です。
 チーという副露は,横並びの数の牌を3枚晒す副露です。ですから,4巡目に近藤がポンをした發のような牌は,チーの対象にはなりません。麻雀の牌は大きく分けて二種類あり,そのうちのひとつが發のような字牌といわれる牌です。つまり字牌はチーの対象になりません。チーすることができるのは,数牌といわれる牌に限定されます。
 横並びの3枚を晒すのには,大きく分けてふたつの仕方があります。ひとつはたとえば3と4を持っているときに,2や5をチーして晒す方法です。もうひとつは,2と4を持っていて,3をチーして晒す方法です。なお,1と2と3を持っていて,4をチーすることは可能ですが,そのときに1を捨てることは,許されないとされるルールが多いです。
 チーにはもうひとつルールの制約があります。それは,ポンがだれからでもできるのに対して,チーは自分の前の順番の人からしかできないというものです。この局でいえば,パイレーツはアベマズから,フェニックスはパイレーツから,サクラナイツはフェニックスから,アベマズはサクラナイツからのみチーをすることができます。この点は意外に重要です。たとえば各チームがどういう規準で打つかを説明したときに,場合によってはパイレーツはフェニックスに協力することがあるといいましたが,フェニックスはパイレーツからはチーすることができますから,この座り順はその協力がしやすくなっているのです。同様にサクラナイツも,次のチャンスを待つためにはアベマズに協力する余地があるのですが,やはり同じように協力がしやすい座り順となっています。
 麻雀は同じ牌が4枚で構成されています。ですからふたりが同じ牌にポンの発声をすることはあり得ません。同じ牌が5枚ないとそれは生じないからです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

王座戦&副露

2021-10-12 18:54:38 | 将棋
 5日に神戸で指された第69期王座戦五番勝負第四局。
 木村一基九段の先手で相掛かり。中盤から終盤にかけてずっと難解な将棋でしたが,最後は後手の永瀬拓矢王座が妙手順を繰り出して抜け出しました。
                                        
 第1図から☖8八と☗6九銀☖5五桂☗5八銀と進めます。
 妙手順が出るのはここから。まず飛車取りに☖6五角。☗7三飛成に☖8七角成とするのではなく,☖3八角成と銀を取ります。☗同金の一手に☖8二銀打。
                                        
 すぐに角を切るのではなく,いったん停車して飛車を成らせておいたので,この手が龍と飛車の両取りになっています。先手玉を寄せるためには飛車を入手するのが最も早いとみての妙手順でした。
 3勝1敗で永瀬王座が防衛第67期,68期に続いての三連覇で3期目の王座です。

 アベマズは順位が2位に落ちてしまうリスクはあるものの,得点を獲得することを目指します。少なくともテンパイを果たすことは必須といって過言ではありません。
 フェニックスは順位を落とす可能性が最も低く,アベマズとの1600点差を逆転してゲームを終了させることを主眼において目指します。
 パイレーツは,大量得点をして2位以上に上がれることが見込めるなら,それを目指します。ですがその見込みが立たない場合は,3位でゲームを終了させることを目指します。したがって,失点を回避することに最も重きを置いて打つことになります。そしてその場合,アベマズとサクラナイツには厳しく打たなければなりませんが,フェニックスに対しては甘く打つ,フェニックスが得点を獲得することに協力的に打つことになります。
 サクラナイツは最下位なので,順位をひとつでも上げることが最大の目標です。しかしそれが難しい場合はふたつの選択肢があります。ひとつはこれ以上の失点を防ぐために,4位を受け入れてこのままゲームを終了させることです。この場合は,アベマズに対してはほかのチームに対してよりも厳しく打つことになります。もうひとつは,次のチャンスを待つということです。そのためにはアベマズの親が継続しなければなりません。よってこの場合は,自身が失点しない範囲で,アベマズに対しては協力的に打つことになるのです。
 この点を踏まえて,近藤が自ら解説しているの内容を検証していきます。
 麻雀は親から順番に打っていきます。この局の親はアベマズですから,アベマズ,パイレーツ,フェニックス,サクラナイツの順です。4巡目にアベマズが發という牌を捨てると,近藤が発声してその牌を晒しました。このように牌を晒すことを副露といいます。読み方はフーロです。他者の打った牌を副露するのにはみっつのパターンがありますが,ここではふたつのパターンを説明しておきます。それは,3枚の同じ牌を副露するパターンと,3枚の横並びの数の牌を副露する場合です。前者はポンという名称の副露で,後者はチーという名称の副露です。このふたつの副露はどちらもこの局の中で生じます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

農林水産大臣賞典マイルチャンピオンシップ南部杯&ふたつの選択肢

2021-10-11 19:35:09 | 地方競馬
 第34回南部杯
 発馬後に鞭を入れていたワークアンドラブがハナへ。しかしヒロシゲゴールドはほぼ外に並んでのレース。3番手がアルクトスで4番手にワイドファラオ。5番手のサンライズノヴァとソリストサンダーまでの6頭は一団。2馬身差でエアスピネル。8番手にパンプキンズ。2馬身差でインティ。4馬身差でドラセナ。2馬身差でステーロ。12番手がリリーモントルー。13番手にユノートルベル。2馬身差でシゲノブ。15番手がチスジで最後尾にレールガンという隊列。前半の800mは46秒7のミドルペース。
 3コーナーを回るとヒロシゲゴールドがワークアンドラブの前に出て先頭。ワークアンドラブは一杯。ヒロシゲゴールドの外からアルクトスが上がってきて,直線に入るとアルクトスが先頭に立って抜け出し,快勝。内からエアスピネル,ヒロシゲゴールドとアルクトスの間からワイドファラオとソリストサンダー。アルクトスの外からはインティが脚を伸ばしてきましたが,ヒロシゲゴールドががそのままフィニッシュまで粘り,2馬身半差の2着。最も迫ったソリストサンダーがアタマ差で3着。
 優勝したアルクトスさきたま杯からの連勝で重賞4勝目。南部杯は第33回からの連覇で大レース2勝目。このレースは絶対能力だけでいうと必ずしもアルクトスがトップとはいえない面がありましたが,盛岡のコースは得意ということが分かっていましたので,最有力候補ではないかとみていました。2着のヒロシゲゴールドも盛岡コースで実績を残している馬で,コース適性が各馬の明暗を分けた面が大きかったように思います。父は2007年にシンザン記念と弥生賞,2008年に京都記念を勝ったアドマイヤオーラ。その父がアグネスタキオンで母がビワハイジ。母の父はシンボリクリスエス。Arctosはギリシア語で北斗七星。
 騎乗した田辺裕信騎手は昨年の南部杯以来の大レース9勝目。第29回,30回,33回に続く連覇で南部杯4勝目。管理している栗田徹調教師は昨年の南部杯以来の大レース2勝目。

 サクラナイツのもうひとつの考え方は,あくまでも順位の上昇を目指すため,次のチャンスを待つということです。このふたつの考え方は,そのときの事情によってどちらかが選択されます。なぜなら,両方を選択することができないからです。どちらの選択をするかによって,打ち方が変わってくるのです。
                                        
 もしサクラナイツが,4位を受け入れるという選択をする場合,他の3チームが得点を獲得することを防ぐことに重きを置いて打つのですが,とくにアベマズが加点することを防ぐことになります。なぜなら,アベマズが加点すると親が継続する条件を満たすので,少なくとももう1局やらなければならないからです。同様に,アベマズがテンパイを果たしてももう1局やらなければならないので,それを阻止することにも重きを置くことになります。つまり,3チームに対して厳しく打つのですが,とくにアベマズに対しては厳しく打つということになります。
 一方,次のチャンスを待つのであれば,次の局が存在するのでなければなりません。要するに親の継続が必要です。それに対して,パイレーツかフェニックスが得点を獲得してしまうとそれでゲームが終了してしまいますから,それは阻止しなければなりません。よって,アベマズに対しては,自身が失点をしない範囲では甘くあるいは協力的に打つことになりますが,パイレーツとフェニックスに対しては厳しく打つことになります。どちらの選択肢もある,すなわちどちらの選択肢もそれなりに合理性があるのであって,それは実際に打っている選手,この場合でいえば内川幸太郎が判断することになります。
 これで4チームがこの局で何を目指してどのように打つのかということは分かりました。実際に卓を囲んでいる4人はプロですから,僕がここまで長々と書いてきたことについては,そのすべてを理解した上でプレイしていると考えなければなりません。というか,そのことを前提としていないと,近藤がいっている事柄を正しく理解するということはできないといわなければなりません。なので最後に,各々のチームについて理解しておくべき事柄を,それぞれ簡潔にまとめておくことにします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「火の国杯争奪戦」IN久留米&サクラナイツの事情

2021-10-10 18:57:02 | 競輪
 久留米競輪場で争われた熊本記念の決勝。並びは平原‐諸橋-磯田の関東,松浦に佐藤,北津留‐嘉永-瓜生の九州で谷口は単騎。
 嘉永がスタートを取って北津留の前受け。4番手に平原,7番手に松浦,最後尾に谷口で周回。残り3周のバックから松浦が上昇。バックの出口で北津留の外に並びました。しかし北津留は引かず,ホームに入って残り2周となり,誘導が退避したところから突っ張りました。松浦が引き,バックでうまく4番手に。6番手に平原,最後尾に谷口という一列棒状となって打鐘から北津留が本格的に先行。バックから松浦が捲りにいきましたが,嘉永が番手から発進。平原も外から捲り上げてきました。直線は番手捲りの嘉永が抜け出して優勝。嘉永マークの瓜生は直線で松浦の内に進路を取った佐藤と接触。この影響で佐藤と松浦が落車したものの,失格にはならず,1車身差の2着に続いて九州のワンツー。松浦の外から捲り追い込んだ平原が4分の3車輪差で3着。
 優勝した熊本の嘉永泰斗選手は6月の武雄のFⅠで完全優勝して以来の優勝。記念競輪は初制覇。この選手はFⅠでも決勝進出を逃すことの方が多いくらいの完全に格下の選手。ただここは久留米競輪場が舞台とはいえ熊本記念ということで,先輩で福岡の北津留が前を回ることになりました。前受けをしてそのまま突っ張って先行となった上,抑えるために脚を使った松浦が4番手に入ったので,展開面では有利になりました。それを生かしての優勝。ただ僕はまだ23歳の若い選手がこういう形で記念競輪を優勝しても,あまり高くは評価できません。

 パイレーツはゲームをしている4チームの中で,最も失点を防ぐことに重きを置く打ち方をするといいました。しかし,単に失点を防ぐといっても,それはどのチームに対しても一様ではないということが分かります。すなわち,自身の責任による失点で逆転を許してしまうかもしれない4位のサクラナイツと,得点を獲得すると親が継続することになるアベマズに対して失点することを防ぐほどには,フェニックスに対しての失点を防がなくてもよいのです。実際にそうするわけではありませんが,分かりやすくいえば,アベマズとサクラナイツに対しては厳しく打つけれども,フェニックスに対しては甘く打ってもよいということです。いい換えれば,アベマズとサクラナイツが得点を獲得することは徹底的に防ぐのですが,フェニックスが得点を獲得することについては,ある程度まで協力する余地があるということです。この点は近藤が示しているについてはとても重要なので,よく覚えておいてください。
                                        
 4位はサクラナイツに所属する内川幸太郎です。最大の目標は分かりやすく,ひとつでも順位を上げることです。3位のパイレーツとの差は11000点差です。なので順位をひとつ上げる条件は,よく出る点数でいえば,6400点か8000点の手をパイレーツから獲得するか,そうでなければ12000点以上の手を自力でも他力でも獲得することです。
 ただし,この条件は容易な条件ではありません。とくに,パイレーツはサクラナイツに対する失点を防ぐことに重きを置いて打つでしょうから,パイレーツの責任で得点を獲得することは簡単ではないと予測されます。一方,このMリーグのルールでは,8000点の手を作るのはそれほど困難ではない面があるのですが,12000点の手を作るのはそれほど容易ではありません。なので,それができなかった場合にどう立ち回るかということも考えておかなければなりません。
 一般的にはその場合はふたつの考え方があります。ひとつは,もうこれ以上の失点を防ぐため,このゲームの4位は受け入れて,少しでも加点をするか,そうでなければ失点を防いでゲーム自体を終了させるということです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新人王戦&よい結果と悪い結果

2021-10-09 19:02:43 | 将棋
 4日に指された第52回新人王戦決勝三番勝負第一局。伊藤匠四段と古賀悠聖四段は公式戦初対局。
 振駒で伊藤四段の先手となり,相掛かり。後手の古賀四段の引き飛車に先手の浮飛車。後手が右玉に組む将棋になりました。
                                        
 第1図から☖5四角と打ちましたが,☗5六歩と突かれて苦しくなったという後手の感想が残っています。
 その後の進展は☖8六歩☗9二角☖8二飛☗7四歩☖9二飛☗7三歩成☖同玉☗5五歩。
                                        
 ☖8六歩が☖5四角の継続手とみなせば,それ以外の手順は後手に変化のしようがありません。ですが第2図となっては見るからに後手が苦戦で,大きな差がついていそうです。第1図では先手の攻めに備えておかなければなりませんでした。
 伊藤四段が先勝。第二局は11日に指される予定です。

 最高の結果と最悪の結果がありますが,麻雀ですから当然ながらそれ以外の結果が出ることもあります。そのうち,パイレーツにとって,よりよい結果とより悪い結果があるのです。この事情も理解しておかなければなりません。
 パイレーツにとって最悪なのは,4位に落ちてしまうことでした。最悪ではないとしてもかなり悪い結果といえるのは,着順を落とすほどの点ではないけれど,自身の責任でアベマズに対して失点してしまうことです。これとは逆に,自身の責任での失点であるとしても,着順を落とす点数でないなら,フェニックスに対して失点するのは,パイレーツにとってはそこまで悪い結果ではありません。なぜそういえるかを具体的に説明します。
 パイレーツがフェニックスに対して2000点を失点したとしましょう。すると,フェニックスが1位でアベマズが2位になって試合が終了します。パイレーツは2000点を失いますが,3位のまま試合終了です。2位との点差より4位との点差の方が少ない,つまり順位が上がるよりも下がる可能性の方が高いパイレーツにとって,3位のまま試合が終了するのはそれほど悪い結果ではありません。なのでこのケースはパイレーツにとって,歓迎とはいえないまでもよりましな結果ではあるのです。
 パイレーツがアベマズに対して1500点の失点をしたとします。この場合はアベマズとフェニックスとの差が1600点差から3100点差に広がります。しかしアベマズの加点はアベマズの親が継続する条件を満たすので,南4局1本場に移行することになります。つまりパイレーツにとっては,2位との点差が1500点広がり,4位との差は1500点縮まってもう一局ということになるのですから,南4局1本場は,順位を上げる可能性は1500点分だけ減少し,4位に落ちてしまう可能性がその分だけ増加するのです。ですから,たとえフェニックスに対する支払いよりも少ない点数であったとしても,アベマズに対する失点は,パイレーツにとってはあまりよい結果ではない,むしろかなり悪い部類の結果だといえるのです。
 ですからパイレーツは全チームに一様に打つのではありません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

農林水産大臣賞典レディスプレリュード&パイレーツの事情

2021-10-08 19:05:52 | 地方競馬
 昨晩の第18回レディスプレリュード
 逃げたのがクリスティで2番手にレーヌブランシュ。向正面に入るあたりでこの2頭が後ろに4馬身ほどの差をつけました。3番手にはウェルドーン。4番手にグランデストラーダとダイアナブライト。6番手にテオレーマ。7番手はラインカリーナとコーラルツッキー。最後尾をサルサレイアとロカマドールで併走という隊列。最初の800mは51秒1の超スローペース。
 3コーナーを回るとレーヌブランシュがクリスティの前に出ました。クリスティも食い下がりはしたものの一杯に。追ってきたのはグランデストラーダ,ウェルドーン,テオレーマの3頭。先頭で直線に入ってきたレーヌブランシュにはまだ余裕があり,そのまま後ろを引き離していって圧勝。一旦はウェルドーンが単独の2番手に上がりましたが,外から差したテオレーマが2馬身半差で2着。ウェルドーンが1馬身差で3着。
 優勝したレーヌブランシュは昨年の関東オークス以来の勝利で重賞2勝目。ここはマルシュロレーヌが不在のメンバーになりましたので,上位の3頭が距離適性と能力面では上位。超スローペースであったにも関わらず,3番手と差のある2番手からのレースとなったことで,展開面での恩恵をかなり受けることになりました。着差ほどの能力差が各馬にあるというわけではなく,レーヌブランシュの圧勝になったのはやはりペースと位置取りの差が大きかったからだと思います。父はクロフネ。母の父はアグネスタキオン。母の5つ上の半姉に2007年にファンタジーステークスを勝ったオディール。Reine Blancheはフランス語で白い女王。
 騎乗した松山弘平騎手と管理している橋口慎介調教師はレディスプレリュード初勝利。

 アベマズにとって,加点だけを目指して打つことにリスクがあるのは確かです。しかし1位でゲームを終了させるためには,加点を目指す方が優ります。よってアベマズもここでは基本的に得点の獲得を目指して打つことになるのです。
                                        
 このことは一般的にいえるので,以下のような説明を加えておきます。もし自身がトップで,2位との差が1600点で南4局に入ったとします。このとき,子であれば,立場としては有利ではあります。それでも自身がテンパイできず,2位の選手がテンパイしていれば逆転されてしまうので,1位という立場の有利性は,テンパイすることができなくても逆転を許すことがない場合ほどはありません。それが親という立場になると,親のデメリットが発動する可能性があるので,その有利性がさらに弱まるのです。なので,1600点差のトップで南4局の親という立場は,実際には2位であるのと大差ないのです。よってこの場合の親は,一般的に加点を目指して打つことになります。
 このようにして,フェニックスとアベマズは,失点を防ぐことよりも加点を目指して打ちます。麻雀は4人で打つものですから,ほかのチームの事情も勘案しておく必要があります。
 3位のパイレーツに所属する瑞原明奈は,4チームの中で最も失点を防ぐことに重きを置いた打ち方をします。これは2位との差が19900点で,4位との差が11000点であることに由来します。この点差から分かるように,パイレーツは順位を上げる可能性よりも,順位を下げてしまう可能性の方が高いからです。こういう場合は一般的に失点を防ぐことに重きを置いて打ち,もし自身が加点して南4局を終わらせることができるのであれば,順位は上がらない加点であっても,その得点を獲得してゲームの終了を目指します。つまり,順位を上げることが困難なので,3位を確保してゲームを終了させることを目指すということです。
 もうひとつだけ重要な点があります。パイレーツにとってこの局の最高の結果は,大量に得点して順位を上げることです。これはとくに説明するまでもないでしょう。対して最悪の結果は,4位に着順を落としてしまうことです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

農林水産大臣賞典東京盃&1本場

2021-10-07 19:06:49 | 地方競馬
 昨晩の第55回東京盃
 好発はサイクロトロン。内から追い抜いてクルセイズスピリツの逃げとなり,サイクロトロンは2番手。3番手はリュウノユキナとニシノレオニダス。5番手にサクセスエナジー。6番手はフランシスコダイゴ,コパノキッキング,ブルミラコロ,ワールドリングの4頭。10番手にレッドルゼル。11番手にドーヴァーで,その後ろをサブノジュニアとヴァルラームで併走という隊列。前半の600mは34秒1のハイペース。
 3コーナーではクルセイズスピリツ,サイクロトロン,サクセスエナジーの3頭が併走に。ここから直線で抜け出したのがサクセスエナジー。内からリュウノユキナ,外からレッドルゼルが追ってきたものの届かず,早めに抜け出したサクセスエナジーの優勝。内のリュウノユキナが4分の3馬身差で2着。外のレッドルゼルがクビ差で3着。
 優勝したサクセスエナジー兵庫ゴールドトロフィー以来の勝利で重賞6勝目。これまでの重賞5勝はいずれもコースを1周する1400mのレースでしたし,対戦相手のレベルもやや劣っていましたので,僕はここでは軽視していました。馬群で包まれるということを極度に嫌う馬で,ここは外目からスムーズな追走になったことが最大の勝因でしょう。そういうレースができさえすれば,現時点でもこれくらいのメンバーを相手に勝ち負けをするだけの能力にあるということなのだと思います。父はキンシャサノキセキ。母の父はジャングルポケット。母の8つ上の半姉に2002年にフィリーズレビューを勝ったサクセスビューティ
 騎乗した松山弘平騎手と管理してる北出成人調教師は東京盃初勝利。

 テンパイは得点を獲得することができる状態のことをいうのですから,得点を獲得するためには必ずテンパイという状態を経過することになります。したがって,テンパイを目指すということと,得点の獲得を目指すということは,意味の上ではそんなに大差はないと考えて間違いありません。
                                        
 さらに次の要素もあります。
 親は一定の条件を満たすとそれを継続することができるといいました。テンパイという状態はその条件を満たします。このとき,親は自身の意志によって親の継続を拒否することはできません。できるルールもありますが,この試合のルールではできません。なので,アベマズがテンパイで局が終了すると,アベマズの親が継続します。つまり南4局1本場になります。このとき,フェニックスがテンパイをしていないと,アベマズとフェニックスとの得点差は開きますが,フェニックスもテンパイしていると,同じ点差で1本場が始まります。そして1本場というのは,獲得できる点数が少し増えるのです。1600点くらいの差しかないと,その増量の分が大きな意味をもちます。たとえば南4局でフェニックスが1600点の手をアベマズ以外の2チームのどちらかから獲得すると,アベマズとフェニックスの得点が同点となり,2チームが1着で試合終了です。1本場でフェニックスが同じように得点を獲得すると,300点が増加されて1900点の獲得となり,単独1位で試合が終了します。つまり,フェニックスがアベマズを逆転することが,1本場になるとより容易になります。つまりアベマズとしては,単にテンパイすることを目指すのではなく,得点を獲得し,フェニックスとの得点差を広げることが,1位でゲームを終了させるための最善の策であることになります。
 だからアベマズも得点の獲得だけを目指せばよいものではないのも確かです。たとえばアベマズにとって最悪なのは,フェニックス以外の2チームにたとえば2000点を責任で支払って試合が終了し,フェニックスに逆転されてしまうということであろうからです。ただそのリスクよりは,得点を獲得することのメリットの方が大きいのが,この局だといえるのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒューリック杯白玲戦&テンパイ

2021-10-06 19:05:51 | 将棋
 2日に指宿白水館で指された第1期白玲戦七番勝負第三局。
 西山朋佳女流三冠の先手で5筋位取り中飛車。後手の渡部愛女流三段は居飛車穴熊。後手が松尾穴熊に組むような手順からその銀を前に出すという構想を披露しました。ただ手順が掛かったことが影響して,先手の作戦勝ちになったように思えます。
                                        
 第1図で後手は☖4五歩と突っ掛けていきました。☗同歩は後手の角筋が通るので先手は☗同桂。後手は☖4四銀と上がって先手は☗5八金左と引き締めました。
 ここから後手は☖8六歩☗同歩の突き捨てを入れておいて☖4五銀。これは☗同歩の一手で後手は☖7九角成。先手はそこで☗5四歩と突きました。
                                        
 第2図が先手の手番なら☗2二角成~☗7九飛で必勝です。なので後手は馬の処置をする必要がありますが,ここは☖8九馬とできなければいけません。しかし実戦は☖2四馬。ただこれは後手が積極的に主張するところがない手ですから,駒得の分だけ先手が有利でしょう。第2図で☖2四馬でも指せるみていたのなら大局観がおかしかったということになるでしょうし,そうでないのなら第1図からの仕掛け方に読みの精度を欠いていたということになるでしょう。
 西山三冠が3連勝。第四局は16日に指される予定です。

 トップであるアベマズは,2着のフェニックスとの差が1600点しかないのでした。このために,親のデメリットによって,自動的に2着になってしまう可能性があります。すなわち,アベマズとフェニックス以外の2チームのどちらかが,8000点を自力で獲得すると,アベマズはそのチームに4000点を支払わなければならないのに対して,フェニックスは2000点を支払うだけで済むので,400点差でフェニックスがトップで試合が終了してしまうのです。したがってアベマズは単に自身の失点を防ぐことに重きを置いて打っているだけでは,フェニックスが得点を獲得するという以外の方法でも,2位になってしまう可能性があるのです。
 さらに,次のような事情が加えられます。
 麻雀は,ここまで示してきたような方法で得点が移動するほかに,細かい点数の移動というのがあります。それは,だれも自力でも他の責任でも得点を獲得することができずに局が終了すると,手が得点を獲得できる状態になっているか否かということで,得点が移動するというルールです。得点を獲得できる状況のことはテンパイといわれます。つまりテンパイしているかしていないかで得点の移動があるのです。これは親でも子でも点数は同じですので,親であるか子であるかは無視して,またA,B,C,Dの4人で説明します。
 全員がテンパイしている場合と,だれもテンパイしていない場合には得点は移動しません。Aだけがテンパイしている場合には,B,C,Dの3人がAに1000点を支払い,Aは3000点を獲得します。AとBがテンパイしている場合は,CとDは1500点を支払い,AとBが1500点を獲得します。AとBとCがテンパイしている場合は,Dが3000点を支払い,AとBとCが1000点を獲得します。
 これでみれば分かるように,もしDが1位でAが2位で,その差が1600点であるという場合,だれも得点を獲得しないで局が終了したときに,AがテンパイしてDがテンパイしていないと,AとDの得点は逆転します。つまり順位が入れ替わります。なのでアベマズは,少なくともテンパイには向かわなければなりません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湘南ダービー&親のデメリット

2021-10-05 19:12:56 | 競輪
 二次予選が行われた2日目が台風の影響で順延されたため,昨日が決勝となった平塚記念。並びは新田‐小松崎の福島,郡司‐松坂の神奈川,古性‐稲川の大阪,清水‐小倉の中四国で野田は単騎。
 新田と小松崎がスタートを取りにいって新田の前受け。3番手に郡司,5番手に清水,7番手に古性,最後尾に野田で周回。残り3周のバックを出ると古性が上昇を開始。野田も続きました。残り2周のホームで古性が新田を抑えにいくと,新田は誘導を斬らずに引いたので古性が誘導の後ろに。今度は清水が上昇。すぐに古性を叩いて,バックに入るところでは先頭に。3番手に古性,5番手に野田,少し開いた6番手に郡司,また少し開いた8番手に新田というやや縦長の一列棒状になって打鐘。だれも動かなかったので清水の成り行き先行のような形に。このままの隊列でバックまで進むと新田が発進。さらに合わせて最終コーナー手前から郡司も発進。清水は直線に入ると一杯。マークの小倉の外から古性が一旦は先頭に立ちましたが,さらに外の郡司の伸び脚が優って両者を差し切って優勝。古性が4分の1車輪差で2着。小倉が4分の3車輪差で3着。
 優勝した神奈川の郡司浩平選手は4月の川崎記念以来の優勝で記念競輪11勝目。平塚記念は初優勝。このレースは開催前から有力と思われた選手がすべて決勝に進出してきたこともあってか,レース中に互いが互いを牽制し合うような内容となりました。展開面では古性が有利になったのですが,それを外から捻じ伏せましたので,郡司が力で上回っていたという見方をするべきでしょう。郡司にとっていいレースであったといえるかは微妙なところですが,立ち回りの過程で新田を後方に置くことに成功したのが大きかったとはいえそうです。

 フェニックスとパイレーツの差は19900点です。麻雀は大量に得点することも可能なゲームですので,絶対に逆転が不可能な差ではありません。しかし大量に得点を獲得するのは簡単なことではないので,難易度でみればパイレーツがフェニックスを逆転することは困難です。したがってフェニックスは,3位以下になってしまうことをそれほど心配する必要がありません。よって,麻雀の本質として示したふたつのこと,すなわち自身の得点を獲得を目指すことと,自身の失点を防ぐことというふたつの本質のうち,フェニックスは自身の得点の獲得を目指すことだけに重きを置きやすい状況にあるのです。
                                        
 ではトップであるアベマズはどうでしょうか。アベマズはこのままの状況で試合が終了すれば,トップを獲得することができます。なので失点を防止することに重きを置く状況にあるのかというと,そうでもないのです。それは,フェニックスとの差が1600点しかないからです。それがなぜ影響するかということについては,次の点に注意する必要があります。
 僕は最初に,細かい点数のやり取りを除くと,麻雀の点数のやり取りは,ひとりが点数を獲得して残りの3人が失点する場合と,ひとりが得点を獲得してひとりが失点する場合があるといいました。それは,得点の獲得の方法にふたつの場合があるからです。ここでもA,B,C,Dの4人で説明します。得点を獲得したのはAとしましょう。このとき,Aが自力で得点を獲得すると,残りの3人が失点します。しかしAの得点の獲得がBの責任で発生すると,Bだけが失点するのです。Aが親の場合,Aが自力で12000点を獲得すれば,BとCとDが4000点ずつを支払います。しかしAの12000点の獲得がBの責任で発生すると,Bがひとりで12000点をAに支払うのです。
 Aが子であった場合は異なります。Aが8000点をBの責任で獲得すると,BがAに8000点を支払うのは同じです。しかしAが自力で8000点を獲得すると,そのときの親,たとえばBは4000点,子であるCとDは2000点をAに支払います。これが親であることのデメリットのひとつです、
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

凱旋門賞・オペラ賞・フォレ賞&南4局

2021-10-04 19:11:57 | 海外競馬
 日本時間で昨日の深夜から今日の未明にかけてフランスのパリロンシャン競馬場で行われた開催に,4頭の日本馬が出走しました。
                                        
 凱旋門賞GⅠ芝2400m。ディープボンドは後ろから4頭目から5頭目の外目。クロノジェネシスは発馬後は1頭だけ馬群から離れた大外を追走。馬群に近付いたときには2番手の外になりました。ディープボンドは直線の入口の前から進出を開始。しかし前の方まで追いつかないうちに一杯となってしまい,最後は追うのをやめて勝ち馬から40馬身以上離れた最下位。クロノジェネシスは直線に入ったところではまだ手応えがありそうでしたが,直線の途中で一杯となり,勝ち馬から約5馬身差の7着でした。ディープボンドは前走のような競馬ができなかったうえに,馬場状態が前走とは大きく異なっていて,それが影響したのでしょう。クロノジェネシスは,レースの内容だけでいえば距離が長いように感じました。
 オペラ賞GⅠ芝2000m。イカットは少しばかり立ち上がるような発馬。最後尾の内を追走。その位置でじっとしていて,その位置からはそれなりに伸びて13着という結果でした。この馬はクロノジェネシスの帯同馬で,日本では3勝クラスに在籍している馬ですから,その能力の通りの結果だったといえそうです。
 フォレ賞GⅠ芝1400m。エントシャイデンは大外枠からの発馬で前の3頭が横並びの外の位置から。そのままいい手応えで直線に入ってきて,勝つかもしれないと思わせる内容。大外から鋭く伸びた馬が優勝し,結果的にすぐ内にいた馬にも追いつけずの3着でした。この馬は日本では重賞を勝っていない馬ですから,最後まで優勝争いに加わっての3着なら上々の結果でしょう。前走もそれなりに走っていたように,パリロンシャン競馬場の馬場に対しては適性があるようです。

 A,B,C,Dの4人でプレイする東南戦は,東1局から始まります。それがAの親であるとします。親は一定の条件を満たすと継続できるのはすでにいった通りです。そこでAが親を継続した場合,次の局は東1局1本場という名称になります。Aの親が終了すると,Bの親が始まります。これが東2局です。このようにしてDの親が東4局になります。この親が終るとまたAの親になるのですが,それが南1局です。このためにこのルールは東南戦といわれているわけです。そして南4局はDの親です。Dは一定の条件を満たせば親を継続することになりますが,それを満たさなければそこでゲームが終了です。つまり南4局というのは,そこですべてのゲームが終了する可能性がある局であることになります。この点は非常に重要です。というのは,麻雀は得点を争うゲームですが,実際には得点による順位を争うゲームですから,それですべてのゲームが終了するかもしれないという場面では,その時点で獲得している得点によって,その局で何を目指すかということが変わってくるからです。
 近藤が説明している局でDにあたる立場は,アベマズに所属している日向藍子です。この時点でアベマズは38900点を獲得していて,1位です。著者である近藤はフェニックスに所属していて,この時点で2位です。獲得している得点は,37300点です。したがってアベマズとフェニックスの差は1600点ということになります。1600点という差は,麻雀では大きな差ではありません。麻雀で獲得することができる最低の得点は1000点で,フェニックスが1000点をほかのチームから獲得しただけではトップになってゲームを終了させることができるわけではありませんが,2000点ならばそれができます。そしてこのMリーグのルールでは,2000点を獲得することを目指すだけであれば,さほど難しくありません。したがって,フェニックスは得点の獲得を目指します。
 さらにフェニックスにはそれを目指しやすい状況があります。この時点で3位はパイレーツの瑞原明奈ですが,獲得している得点は17400点で,フェニックスと差があるからです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スプリンターズステークス&東南戦

2021-10-03 19:31:00 | 中央競馬
 第55回スプリンターズステークス
 大外からモズスーパーフレアがハナへ。2番手にはビアンフェ。3番手にピクシーナイトとレシステンシア。5番手にシヴァージとダノンスマッシュ。7番手にファストフォースとクリノガウディー。9番手にミッキーブリランテとジャンダルムとロードアクアとメイケイエール。13番手にラヴィングアンサー。2馬身差でアウィルアウェイ。後方2番手にエイティーンガール。2馬身差の最後尾にタイセイビジョン。前半の600mは33秒3のミドルペース。
 直線に入るところでモズスーパーフレアのリードは1馬身ほど。2番手で追い掛けていたビアンフェと逃げるモズスーパーフレアの間をこじ開けたピクシーナイトがモズスーパーフレアを差して先頭に立つと,そのまま抜け出して快勝。最内を回って直線でピクシーナイトの外に出てきたシヴァージと,外から伸びてきたレシステンシアの2着争いとなり,外のレシステンシアが2馬身差で2着。シヴァージがアタマ差で3着。
 優勝したピクシーナイトはシンザン記念以来の勝利。重賞2勝目で大レース初制覇。NHKマイルカップで大敗してからスプリント戦に移行。古馬相手の重賞で連続で2着になっていました。このレースはペースがそこまで速くならなかったことが影響したのかもしれませんが,総じて内を回った馬の方が有利になりました。レシステンシアやダノンスマッシュが外枠に入っていたのに対し,内枠だったことが有利に働いた面がありそうです。父はJRA賞で2015年に年度代表馬,2016年に特別賞を受賞したモーリスでその父がスクリーンヒーロー。母の父はキングヘイロー。祖母の父は第27回と28回を連覇したサクラバクシンオー。祖母のひとつ上の半兄が2004年に名古屋グランプリを勝ったワイルドソルジャー,4つ下の半弟が2014年に名古屋大賞典を勝ったダノンカモン,6つ下の半妹が2012年に阪神牝馬ステークスを勝ったクィーンズバーン
 騎乗した福永祐一騎手はダービー以来の大レース40勝目。スプリンターズステークスは初勝利。管理している音無秀孝調教師は昨年のJBCクラシック以来の大レース19勝目。スプリンターズステークスは初勝利。

 麻雀は3人または4人でプレイするゲームですが,近藤の著書で示されているのはいずれも4人でプレイするゲームでした。さらにそれらのゲームには,時間無制限の東南戦という共通点があります。このうち,時間無制限が何を意味するかは説明するまでもないでしょう。東南戦というのはおおよそ次のことを意味します。
                                        
 4人で打つ麻雀は,ひとりが親,残りの3人が子という立場でプレイされます。親であることにはメリットもあればデメリットもあります。このことは後で説明することになります。東南戦というのは,4人のプレイヤーが少なくとも2度は親という立場でゲームをするというルールです。つまり,A,B,C,Dの4人でゲームをするとき,最初にAが親なら次にB,C,Dと進んでいき,Dの親が終了するとまたAの親になり,同じ順番でDの親が終了した時点で,獲得している得点に応じて順位が決定されるということです。したがって,少なくとも8回のゲームが必ず行われることになります。麻雀は各々のゲームを局で数えますので,東南戦の4人でのゲームは,最小でも8局が行われるということです。
 親は一定の条件を満たせば継続することができます。その継続の回数には制限がありません。よって時間無制限の東南戦というのは,現実的にはそれはあり得ないといっていいですが,ルール上は無際限にゲームが継続していき得るゲームであることになります。すなわち,最低では8局ですが,親が継続すると局数は増加していくので,最大で何局になるかは決まっていません。
 まずここまでのことを理解した上で,近藤が具体的に理論と直感について,とくに自身が失点を防ぐことを目指すときの理論と直感について著書の中で具体的に説明している一局を紹介します。これは2019年の6月16日に,Mリーグというチーム対抗戦の中でのゲームです。このゲームでの近藤のプレイは視聴者からの反響も大きく,公式動画が残っています。
 まず注目してほしいのは画面の左上に,南4局とある点です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山名人杯倉敷藤花戦&別の蓄積

2021-10-02 19:05:08 | 将棋
 9月27日に指された第29期倉敷藤花戦挑戦者決定戦。加藤桃子女流三段と野原未蘭女流初段は公式戦初対局。
 振駒で野原初段の先手となり,初手☗4八銀から相居飛車の力戦に。先手が銀損の攻めを敢行。それがうまくいって優位に立ちました。
                                        
 第1図では☗2五龍と引くのも有力。もし☖3四歩☗同龍と進むなら,実戦の☗3四龍より先手は一歩を得することができました。ただ必ずそう進むとは限らず,先手はどうしても2五に桂馬を跳ねたいので,単に☗3四龍としたのだと思います。☖4四銀に☗2五桂と跳ねました。
 ここから☖3三銀と取って☗同桂成☖同角とするのは後手としては仕方がない手順です。後手の銀得から桂得になりました。
                                        
 第2図で☗7五歩と突いて☖7六桂と打たせたのが,後手が挽回する契機になったように思います。第2図は平凡に☗2四銀と打ってかなり厳しいようにみえるのですが,それではだめだったのでしょうか。
 加藤三段が勝って挑戦者に。倉敷藤花戦三番勝負には初出場。第一局は来月1日に指される予定です。

 近藤がいいたいのは,自分の失点を回避することを目指すことに関しては,経験値で劣るので,直感すなわち第三種の認識cognitio tertii generisがあまり有効ではないということです。つまり,自分が得点を獲得することを目指すことと,ほかのプレイヤーが得点を獲得することを阻止することとを単純に比較して,前者の場合には直感が有効で後者の場合には直感が無効だといっているのではありません。前者の場合でも,経験値がそれほど高くない場合には直感はあまり有効ではないので,理論的な考察を基にして打つべきですし,後者の場合にも,もしも一定の経験値さえあるならば,直感に基づいて打った方がよいという場合も出てくるでしょう。近藤はそのように明言しているわけではありませんが,近藤のいわんとしている主旨を汲み取るなら,そのような結論になる筈ですし,それを近藤が否定するということもないと思います。なお,この経験値が意味するところは,すでにいったように,それについて考えた経験値というのを意味すると思われます。約束したようにそのことは後で詳しく説明しますが,ここで僕がいっていることの理解の上でも注意しておいてください。
 失点を回避するときに,直感があまり有効ではないということは,必ずしも直感は無効であるということを意味するわけではありません。僕が示したように,情報非共有型のゲームという性質を麻雀はもっているために,そのための第二種の認識cognitio secundi generisが蓄積されにくいというのは事実ですが,別の種類の第二種の認識の蓄積によって,直感すなわち第三種の認識が働くということはあるからです。近藤自身がいっているように,ある一打について,それが理論の一打であるか直感の一打であるかを決定することは無意味なのですが,失点を回避する場合にも確かに直感が働くことがあるということを,近藤は著書の中で説明しています。なので経験値が意味するところよりも先に,こちらの方を検討していきます。
 麻雀というゲームは統一されたルールがないということは最初にいっておきました。しかし著書で触れられているゲームのすべてに共通しているルールがあります。まずそのことを説明しなければなりません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする