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脳動脈瘤 その32 脳血管内治療:その2 シースの挿入

2021年05月10日 | 動脈瘤
さて今回は、シースという管をどうやって動脈に入れるのか、紹介します。

私たちが脈をとる時に触れる手首の血管も動脈のひとつです。ちょっと触れてみて下さい。トクトクと脈打っていますよね?これは、心臓がぎゅっと縮んで全身に血液が送られる時に、圧力がかかっているからなのです。ですから、動脈に穴が空いたら大変です。すごい勢いで血が吹き出ます。
ではどうやったら、そんな圧力のかかった血管に管を入れられるのでしょうか?

まず動脈に挿入する管に特徴があります。針先が2重になったものが使われるのです。
これを動脈にゆっくりと慎重に刺して、先端がしっかり動脈の中に入ったら外の筒だけを残して、中の筒を抜きます。
そうすると血液がビュッと逆流してきます。その状態で細いワイヤーを慎重に入れます。
ワイヤーが十分奥まで入ったら、指で押さえながら外の筒を抜きます。そしてワイヤーに沿わせながらシースを入れます。
最後にワイヤーを抜けばOKです!

どうです、分かりましたでしょうか?この手順を丁寧に行うことで、安定してカテーテル検査ができるようになったのです。
このシースは足の付け根の動脈だけでなく、肘の内側の動脈や手首の動脈などにも入れることが出来ます。

ただし手順が理解できても、すぐに入れられるようになるわけではありません。何度も練習して、やっと一回で入れられるようになるのです。最近では練習するキットもあります。
若手の先生たちには、ぜひ頑張って欲しいと思います。

さて、次回はこのシースから入れたカテーテルを頚部まで進めていく方法を紹介します。楽しみにして下さいね!
コメント (4)
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