「頭にクリップが入っていますがMRIは受けられますか?」という質問もよく受けますので、ここでお答えしたいと思います。
30年以上前にはMRIができないクリップも使われていましたので、そのような場合には専門医に確認が必要ですが、その後はMRIが可能な金属に変わりましたし、最近のクリップはチタン製ですので、MRI検査は可能です。
しかし、チタンクリップを使っていても、通常のMRI撮影法ではクリップの周囲がよく見えないのです(図左)。矢印の部分で血管が見えなくなっているのがわかります。これはクリップの素材(金属)が邪魔をしているためです。医学的にはアーチファクトと言います。
このため、クリップ後は造影剤を使用したCT(CT血管撮影, CT angiography: CTA)を行うことが多いのです。クリップした部分の周囲がふくらんで再発することがありますので、治療後も検査が定期的に行われることが多いです。
しかし、CT検査は放射線被曝がありますし、造影剤を使用する場合には腎臓障害やアレルギーのリスクもあります。このような観点から毎年、あるいは半年ごとに検査を行うのは患者さんのリスクになります。ではどうしたらいいのでしょうか?
最近、開発された新しいMRI検査法、サイレントスキャンを行えば、クリップ後でも脳血管がきれいに見えることが多いのです(図右)。血管が良く見えていますね!私はこの検査結果を始めてみた時に大変驚きましたし、今でもクリップ後の血管がきれいに見えると「おー!」っと声を上げてしまいます。医学の進歩は凄いですね!
もちろん、他の検査法と同様、サイレントスキャンでもなぜか血管がうまく見えないこともあります。多くは、クリップを何本も使った治療を受けた場合に多いのですが、クリップの向きなども関係するようです。
従って、腎機能低下のある方、造影剤アレルギーのある方だけでなく、クリッピング術後には一度この検査を行ってみて、もし血管がうまく見えるのであればサイレントスキャンで定期検査を受けた方が安全だと考えています。
この検査法を希望される方は、下記までご連絡下さいね。
stroke_buster@mail.goo.ne.jp