小学校六年生の時に、楽しい図工の先生が赴任してきた。 縁あって、今でも連絡を取っている。 先生は、いつの間にか書道を始めていて、発表会のたびに葉書をくれる。 数年前、見に行った時には、甲骨千字文を書いていた。 甲骨文字で千字文を、一気に書いたという作品だ。 当時は「へー」だが、今の私にはその意味が分かる。 甲骨文字とは。 なんの知識も無くても、見ていて楽しい。 象形文字から漢字へと一歩踏み出し . . . 本文を読む
褚遂良(ちょすいりょう 596-658)の
『雁塔聖教序(がんとうしょうぎょうじょ)』を
ひと月くらい前から、ちびちびと臨書している。
特徴的な字だ。
しかしそれはひとくちにまとめられるものではない。
一画一画に、いちいち様々な筆法が用いられている。
ようだ、としか言えない。だって初心者なんだものー。
初心者なりに、こいつはあれこれやってて難しいや、ということだけは分かる。
三蔵法師は『西遊記 . . . 本文を読む
[あらすじ] 敬遠してきた毛筆の書を10月に始めた。
楷行草隷篆さらに金文、甲骨と遡る中、隷書を習得したいと志す。
今は木簡の臨書を中心にしている。
師走と言う。
鍼灸師なので師が付くが、走っていない。
どうしたことか。
中学の同級生が書道の先生をやっている。
師走は忙しい、と言う。
そういうもんかと思って聞き流しかけたが、なるほど、
「書初めの指導でてんてこまいよ」ということだ。
※
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[あらすじ] 漢の時代に公式文書に使われていた隷書(れいしょ)を習う。
石碑の拓本がお手本だったが、20世紀に入って、大量の木簡が発掘された。
筆で書いた活き活きとした隷書が出現して、書道の、少なくとも隷書の世界は
変わった。
それから百年くらい経ち、良い資料も出てきているので、
隷書の世界で木簡をお手本にすることは常識になってきている。
ということらしい。
なんせ、書き始めて3ヶ月の私にとっ . . . 本文を読む
[あらすじ] 漢字の書体の歴史を遡るかのように、練習してきた。 http://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/3a519cf903caf369bb7e3354d243ac7d 篆書も時代によって、新しい小篆、より古い大篆とある。 その前の時代は青銅器に文字を鋳造した金文、 さらにその前には動物の骨に占いの記録を刻んだ甲骨文字がある。 そこいらへんもちょろちょろと齧って、 隷 . . . 本文を読む
[あらすじ] 草書を理解するためには、その元である隷書をやらねば。
書いてみたらとても性に合う。
隷書も時代が下って来ると、楷書のような筆遣いがそこここに見られるようになる。
また、楷書の古いものを臨書していると、中に隷書の名残りのような筆遣いが見つかることもある。
書体の変遷史が一文字の中に表れているかのようだ。
こういうことがあるということは、隷書を知るためにはその元である篆書を
書いて . . . 本文を読む
[あらすじ] 動物の骨に占いの結果を刻んだ甲骨文、青銅器に文字を入れた金文、 その後、漢字は篆書-隷書-草書-行書-楷書、という順に発展してきた。 書体の変遷が、思っていたのと逆で驚いた。 http://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/43112d66284d41cf52c0696fa68c085e 現代人はすっかり楷書に慣れている。 行書も憶えるルールがいっぱい、草書の道 . . . 本文を読む
ふと毛筆を練習し始めた、10月のはじめにこんなことを書いた。 http://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/19a15094bfe54ca6b559cdf4555278ea 虞世南(ぐせいなん 558-638)の孔子廟堂碑を臨書したお手本の、 「顯」の字の偏の点が、4つではなく5つあるのだ。 先生、勢い余って余計に打ったものか、と その時は思った。 その後、漢字の成り立ち . . . 本文を読む
[あらすじ] 書の独習を始めてひと月あまり。
行書草書はてっきり楷書をくずしたものだと思っていたら、
隷書を速く書くために発達したものなのだということを知った。
なんてこった。
楷書が成立したのは、後漢の時代頃のようだ。
西暦で言えば200年の頃だ。
その後、西暦400年頃になって、楷書が国の正式の文字として定められる。
じゃあそれまでは何が国家の正字だったかと言うと、隷書なのだ。
ところ . . . 本文を読む
[あらすじ] 毛筆を練習し始めてひと月あまり。
楷行草隷を数日ずつで駆け抜ける中、
今まで漢字のルールだと思っていたいくつもの事が
楷書のルールだと気付く。
中でも驚いたのが、隷書での筆使いだ。
楷書の特徴のひとつは、横画にある。
ちょいと右上がりの平行四辺形、といった形である。
斜めに置いた筆を、スッと右少し上に送って、しっかり止める。
すると、ああいった横画の形になる。
これは、楷書独特の . . . 本文を読む
[あらすじ] 毛筆を独習し始めてひと月あまり。
楷書、行書、草書、隷書を駆け抜けた。
今まで、漢字のルールだと思ってきたものの多くは、
実は楷書のルールに過ぎないのだ、ということを知った。
ひとつが、行書のところで触れた、書き順だ。
書き順は正しくしなければいけない。
美しく整った形に字を書くためにも、正しい書き順で書く必要がある。
と、刷り込まれていた。
もちろん、書き順どおりに書くこと . . . 本文を読む
[あらすじ] 楷書を5日、行書を5日といった調子で
どんどん食い散らかしてゆくよ。
草書が読めない。
異なる形もくずすと同じになったり、
とっても似た形だけれど違うものだったり。
おぼえきれない。
子どもの頃、母が言っていたことを思い出す。
草書は書くためのもので、読むためのものじゃないから。
そうは言っても、なぜ書き記して遺すかと言ったらやっぱり後で読むためだろう。
読めなきゃ書いても意味無 . . . 本文を読む
毛筆の書を独習し始めて、ひと月あまりになる。
何をしてきたか、ちょいと振り返ってみよう。
お手本はひたすら図書館から借りてきた。
図書館のその手の本は、どれもよくページを開いてあり、
ところどころ墨で汚れているものも多い。
墨で汚すと、手本の字が見えなくなるので、気を付けたい。
まず文字通り手はじめに、一人で学ぶ小筆入門とかなんとかいった本を借りた。
楷書と行書とかな、手紙やのし袋の書き方な . . . 本文を読む
[あらすじ] 毛筆を独習し始めたよ。
なんせ始めたばかりというのは楽しいもので、
毎日書きまくっておる。
墨をおろす。
しばらくすると、香りが立ち上り
同時に水に粘りが出てくる。
液が少し減ったような感じがして、しっかりトロみが付いたら
良い色が出る証拠だ。
というのも、教わったわけではなく、
毎日やってみておぼえた感覚でしかない。
子どもの頃は、どばーと硯に水をためて、色が出るまで墨をする . . . 本文を読む
[あらすじ] 書の独習をはじめた。
小楷をきちんと書けるようになりたい。
毛筆を始めてみて3週間。
小筆にも慣れてきた。
子どもの頃、とめ、はね、はらいの形がうまくいかなかった。
一本の画の、始まりも終わりも、途中も形が整わなかった。
お手本のような形にならない。
教科書に、筆の運び方が図示してある。
そのとおりに筆を使うと、お手本どおりの形ができあがる。
その手前には、筆の持ち方や、筆をど . . . 本文を読む