なぎら健壱さんがお書きになった「日本フォーク私的大全」、読み進めていまして、
高石ともや、岡林信康、ときて、現在五つの赤い風船の章まで読み終えました。
結論から申し上げますと、大変おもしろいですわ。なぜ読んだことすら忘れてしまって
いたのかが不思議です。単に記憶力の衰えだけの問題だとすれば、またしばらくすると
本の存在自体を忘れてしまうんでしょうかね。
一緒に購入した嵐山光三郎さんの「不良定年」は読んだことは覚えていても、やはり
その内容をほとんど思い出せないので、次にすぐ読めるように手元に置いています。
現在わたくしも立派な「自主的不良定年者」ですし、もっと共感して読めるんじゃ
ないかなと思うのです。
日本フォーク~に話を戻すと、高石ともやさんは、昔々私が存在を知った際にはすでに
「好々爺」な印象で、物腰の柔らかい穏やかな人のイメージしかないのですが、
デビュー当時の若かりし頃は反骨精神旺盛なフォーク界の先駆者だったことが
わかりました。私が知った頃すでにバンド・ナターシャセブンを率いていたかと思いますが、
そのバンド名は、彼が移住していた福井県名田庄村からとった話には驚きです。
私個人的に、この頃名田庄にはけっこうお世話になってますもので。
岡林さんと五つの赤い風船の西岡たかしさんは、同業者となった今でもなぎらさん自身が
大ファンであることが文章からひしひしと伝わってきました。アルフィーの
坂崎幸之助さんなどもまさしくそうなのでしょうけど、元フォーク小僧が
同業者になってもそのまんまのノリでファン目線も失っていませんよね。
当時わんさかいただろう小僧連中の中から、憧れの先輩諸氏と肩を並べられるまでに
なるには、相当の実力や運が必要だったでしょうけどねえ。
岡林さんどいえば、私が唯一持っている彼のアルバム(ライブ盤)のコンサートにも
なぎらさんは出かけていたようで、アルバムではカットされてはいますけども、ここで
乱闘騒ぎがあったことを初めて知りました。執拗なヤジに怒った岡林さんがステージ上から
その観客に向かってダイブ! もみ合いになったそうです。岡林さん、学生時代
ボクシング部だったみたいなので、歯向かわないほうがよさげです。
私もこのあたり時代のことは、後付で断片的な知識は持ち合わせており、それにこうした
今まで知らなかった裏話的な話題やより深い(マニアックな)お話を伺うことによって、
その頃をもっとリアルに追体験できるような気がしてきました。重ね重ね、前回読んだ時の
記憶がほとんど残っていないのが不思議ではありますが、気持ちを新たに、もう一度このまま
最後の章まで楽しみたいと思います。
さて、話が長くなりついでにもう一席、このまま読み進めれば、最後のほうで「もんたよしのり」
の章が出てきます。この本にラインナップされている歌い手の中で、一番同時体験感のあるのが
もんたさんですが、私が知ったのは「もんた&ブラザーズ」としてロック寄りな活動を
されている頃で、おそらくこの本では、それ以前のフォーク歌手時代のエピソードなどが
紹介されているのだと思います。フォーク大全ですからねえ…
当時、某所某会場で、そのもんた&ブラザーズのコンサートの警備員アルバイトをしたことが
ありまして、その会場はちょっと変わったつくり、控室(楽屋)が外部への通用口と直結していて、
部外者が立ち入ろうとすればできなくはない構造だったんです。それで控室前にも警備員が
ひとり配置されることとなり、私が任命されたんですね。私は上背こそあるものの、眼光は鋭くないし、
どう見ても軟弱系、威圧感とは程遠く、無頼漢に立ち向かえそうな雰囲気をまるっきし
醸し出してはいなかったんですよねえ。
もんたさんもそんな頼りげない私に気がついて心配になったのでしょう、いよいよ本番となり
メンバー全員が控室を離れる際に、「しっかり見といてや!」と例のハスキーボイスで
活を入れられたのを今でもはっきり覚えています。
なぎらさんや坂崎さんには遠く及びはしないまでも、かなりなミーハーだった私の、昔々の
思い出話ですね。このコンサート会場でのアルバイトでは、もう少しネタを持ち合わせていますが、
それはまた、もっと酔っ払った時にでも披露するとしましょう。