旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

20231019 北海道晩秋編⑤ 殺戮にいたる病 東川町

2023-10-19 10:19:01 | 旅鴉の唄



10月19日(木) 雨時々曇り

結局、このあと数日悪天続き、予報のいい十勝側へ行ってみたりとやや
慌しい導入部になってしまったが、こちら側にいる際には、静養を兼ね、
外出に適さない天候をいいことに、数日で一気に読んでしまったのがこの本だ。
風邪薬が効いたのと、暖かい図書館へ入り浸ったことで、最悪だった体調は
どうにか持ち直したようだ。

「殺戮にいたる病/我孫子武丸著」を選んだのは、新刊本コーナーにあったのが
たまたま目について、「推理小説みたいだから」と思い、読んでみようかとなった
のがきっかけで、初版発行は1992年と30年ほど前に遡り、今回新装版で
文庫本化、再出版されたものらしい。30年前といえば、バブル期、あるいは、
それが弾けた直後くらいの時期で、作中には、「酔客がタクシーを拾えない」
「景気がいい」等々の記述があるなど、今では考えられないくらい世の中が
盛況だったことが伺える一方で、携帯、パソコン(ネットやSNS)、あるいは
防犯カメラなどは一切登場せず、ビデオ規格はアナログの8mmと、バブル期
ってついこの前だったような気がするのに、現在とはずいぶん暮らしぶりが
違うことを痛感させられたし、それを踏まえた時代背景を考慮しつつ読み進め
なければとも思った。

いきなり「エピローグ」、犯人逮捕の場面から始まるこの物語は、推理小説
というよりはサスペンス小説、「刑事コロンボ」みたいな倒叙ジャンルの
感覚で楽しむべき作品なのかもなと、最初は気軽に読み始めた。しかし、
進むにつれ殺人シーンがいよいよエスカレートし、しかもあまりにグロくて、
さすがに読むのを止そうかと途中何度か挫折しかけた。それでも我慢して
読み進めると、最終盤緊迫度が急上昇、土壇場でどんでん返しが待っていた。

そこまで持ちこたえられる方々だけが面白さを味わえる、マニアックな一品。

コメント
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