長期旅行中に読めずにストックされたままだった朝日新聞土曜別刷り版beを
今ようやく読むことができていて、遡ること11月13日版「今こそ!読みたい」
コーナーで取り上げられていたのが「金田一耕助」でした。個人的にはタイムリーな
記事なんですね。
読者の投票によるランキングには、第1位「犬神家の一族」2位「八つ墓村」3位
「悪魔が来りて笛を吹く」等々映像化された有名作品が上位にずらりと並び、ある程度
順当な結果でないかと思われます。先般私が読み返したばかりの「本陣殺人事件」は
第6位にランクインされていました。
横溝正史自身は、ミステリー研究者・田中潤司氏が選んだベスト5「獄門島」「本陣~」
「犬神家~」「悪魔の手毬唄」「八つ墓村」をいたって順当と評価していたそうで、
多少順番は違えど、今回のベスト10内作品と重なっています。上位ランク作だけみると
よく知られた作品が並ぶ一方、調査でのベスト10圏外ともなると、「白と黒」「壺中美人」
「スペードの女王」「迷路荘の惨劇」等々、あまり一般的ではない、ある一定以上の金田一
ファン以外には知られていないような作品が顔を出し始めるのがおもしろいところです。
それら作品群のほぼすべてが手元にあるので、今後読み直しを楽しみにしたいと思います。
記事中、ミステリー評論家の新保博久氏に上位ランク作以外のお薦めを尋ねており、氏は
短編で「黒猫亭事件」、長編では「夜歩く」を掲げておられます。黒猫亭~はつい先日
私も面白さを再認識したばかりでした。夜歩くは犯人があまりにも意外過ぎて、それが逆に
強く印象に残り過ぎているのが気になり、読み返すのをためらっていたんですが、氏の
お薦めということもあり、近いうち旅のお供に加えてみたいと考えています。
そういえば、柏書房から出版されている復刻シリーズに「横溝正史少年小説コレクション」
(全7巻)が新たに加わったようです。先日図書館で見つけましたが第1巻が貸し出し中
だったこともあり、その際には手を出しませんでした。手元にも数冊少年向けシリーズを
所蔵していますが、むろんその一部に過ぎないでしょうから、今回はすべてを読み通せる
いい機会でしょう。江戸川乱歩の少年探偵団シリーズほど知られてはいない横溝版少年もの、
意外な掘り出し作品が見つかるといいですね。
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