秋田市営バスの行き先表示(方向幕)。前面に続いて、中ドア付近にある側面の表示器編。
※ここでは、共通の仕様で使われていた中型バス・大型バスの表示器について取り上げています。小型バスについてはまた別なので。
前面の表示器が小さかった頃の車両は、側面の表示器も小型(横長)で、ドアの上部に飛び出すように付いていた車両が多かったはず。内容は、当初は正面・後部と同じ内容だったかと思う(あまり記憶にないのですが…)。
【10月27日訂正】小型表示器だった当時の写真(昭和40年代など)を見ると、既に側面には複数の経由地を表示していることが確認できたので、訂正します。(ただし、矢印で結んでいたか、上り下りで内容が異なっていたか等詳細は不明)
1980年代に正面の表示が大きくなって以降は、側面の表示器も縦方向が倍ほどに拡大され、中ドアの右側に設置されるようになった。
(再掲)ドアの右に大きな行き先表示
表示内容も大きく変わり、始発といくつかの経由地と終点を順に左から右へ縦書きで並べて矢印で結んだものとなり、分かりやすく・見やすくなった。
秋田駅発交通局行きの場合、下の画像のような感じだったと記憶している。
※当初の側面表示のイメージ(書体、表示される地名等は実際と異なります)
そして、おそらく1988年頃、前と後ろの表示内容が見直され、旧型表示器と新型間で統一されたわけだが、その時に側面の表示も見直された。
駅発交通局線(記事冒頭の写真の再掲)
以前の大型表示器からの変更点は、「◯◯経由」と左端に主要経由地を示して枠で囲んだこと、始発の停留所名(上の交通局線では「秋田駅」)を表示しなくなったこと。
これにより、まず、終点が同じで経由地が違うものが識別しやすくなった。現在のLED式表示器でも、上部に横書きで経由地などを表示できるようになっているので、それに通じる思想ではないだろうか。
そして、考えてみれば、始発停留所名を経由地・行き先表示に示すことは意味がないことであり、それを省いて、他の経由地を表示するスペースをより多く確保できるわけで、合理的。また、新国道経由飯島北行きのように、始発点が複数ある(秋田駅、新屋案内所、新屋高校、南高校、商業高校)場合、従来はそれぞれにコマを作成しなければならなかったが、始発を表示しない新表示では中央郵便局前以降のバス停を矢印で結ぶことによって1つのコマを共通で使えるようになったはずで、コマ数の節約もできたと思われる。
この表示は、旧来の小型幕の車両にもセットされ(もちろん文字は小さい)たし、交通局最終日まで使われた。
話を戻して市営バスの経由地を枠で囲った側面表示には、前面と同じく、微妙に違う2つのタイプが存在した。
新屋西線のノーマルな秋田駅行き(前と後ろは「県庁市役所 秋田駅」)で比較。
266号車(2002年4月)
231号車(2001年3月)
欲を言えば、県営住宅経由と区別できるように「栗田神社前」などを入れるべきだと思うが、作成時期や書き換え費用を考えると、仕方ないのか。
どちらも、書いてあることは同じ。違いはお分かりでしょうか?
まず、「県庁」と「市役所」の間の「・」の有無。これは県庁を通る系統だけで見られる違い。
そして、「川尻」と「秋田駅」の文字の形が違う。266号車では正方形(正体)なのに対し、231号車では縦長(長体)になっている。枠の中の「経由」だけはどちらも縦長。
前面の青い文字で2文字の経由地の文字が横長(平体)だったのと同じような現象だ。
他のコマでも、
291号車の西口発明田経由桜ガ丘行き。1文字から4文字まで揃う(2002年4月)
縦長になる表示では、3文字以下が縦長で、4文字だと正方形となるようだ。
したがって、側面では[「経由」以外の文字がすべて正方形]と[矢印間の3文字以下が縦長]の2種類があったことになる。
前面同様、縦長文字があるほうが新しい幕かと思う(これについては根拠があります。後日紹介します→続きの記事の「朝日町」参照)が、使い回しなどが行われていたようで、車両の新旧などとの法則性はなかったようだ。
ちなみに、上の西口発桜ガ丘線では枠の中に「秋田駅経由」とある。これは、本来は交通局始発で駅に立ち寄るつもりで作成したのだろう。
このような、他所始発が前提で「秋田駅経由」とあるコマを秋田駅始発の系統にも流用する例は、手形山団地線などでも見られた。(一方で、県庁経由交通局線は、駅始発とそうでない駅経由のコマが両方用意されていた)
5文字以上の場合。
256号車の商業高校経由割山行き。縦長文字あり(2002年3月)
縦長文字があるほうの経由地の枠内の「商業高校」は4文字でも縦長になるようだ。5文字の「免許センター」は扁平な文字。
次の2つの正方形だけの表示は、「秋田八丈」塗装のワンロマ車で2002年3月撮影。(回転途中を撮影したのでズレています)
とてもレアな系統
今は完全に廃止された「県庁・茨島経由御野場団地線」というのがあり、その中に「山王新町経由」という系統があった。山王新町経由は移管前の1995年春に廃止されており、撮影当時で既に使っていないコマだったことになる。
少なくとも1988年度以降は、上り片道だけで、御野場→南高校前→卸センター入口→茨島→山王新町→県立体育館→県庁→秋田駅という経路。要は13号線をずっと走り、臨海十字路の手前で曲がって山王大通りに出る。
平日に1本だけの運行で、御野場発が朝の10時頃で、いまいち存在意義が分からない系統だった。
側面表示は、山王大通り以降のバス停が表示されていて、末端に偏っていて、分かりにくい。「茨島」くらいあってもよかったのではないだろうか。
文字は、枠内の「山王新町」が4文字だけど正方形、しかも小さい。「県庁・市役所」は扁平。
これは今もあります
イオン秋田中央店(当時は秋田サティ、バス停名は「若草団地前」)前を通る「有楽町・柳原経由御野場団地線」。
枠内の「有楽町・柳原」は正方形。矢印間の「卸センター入口」「牛島駅入口」は扁平。
ちなみに逆方向の縦長版。
294号車(2002年3月撮影)
この表示は、イオン秋田中央店前以降が同ルートとなる、卸センター経由新屋線の上りと兼用できる。
ということで、以上が側面幕の概要でした。
まだ続きがありまして、さらにマニアックな話になります。
※ここでは、共通の仕様で使われていた中型バス・大型バスの表示器について取り上げています。小型バスについてはまた別なので。
前面の表示器が小さかった頃の車両は、側面の表示器も小型(横長)で、ドアの上部に飛び出すように付いていた車両が多かったはず。内容は、
【10月27日訂正】小型表示器だった当時の写真(昭和40年代など)を見ると、既に側面には複数の経由地を表示していることが確認できたので、訂正します。(ただし、矢印で結んでいたか、上り下りで内容が異なっていたか等詳細は不明)
1980年代に正面の表示が大きくなって以降は、側面の表示器も縦方向が倍ほどに拡大され、中ドアの右側に設置されるようになった。
(再掲)ドアの右に大きな行き先表示
表示内容も
秋田駅発交通局行きの場合、下の画像のような感じだったと記憶している。
※当初の側面表示のイメージ(書体、表示される地名等は実際と異なります)
そして、おそらく1988年頃、前と後ろの表示内容が見直され、旧型表示器と新型間で統一されたわけだが、その時に側面の表示も見直された。
駅発交通局線(記事冒頭の写真の再掲)
以前の大型表示器からの変更点は、「◯◯経由」と左端に主要経由地を示して枠で囲んだこと、始発の停留所名(上の交通局線では「秋田駅」)を表示しなくなったこと。
これにより、まず、終点が同じで経由地が違うものが識別しやすくなった。現在のLED式表示器でも、上部に横書きで経由地などを表示できるようになっているので、それに通じる思想ではないだろうか。
そして、考えてみれば、始発停留所名を経由地・行き先表示に示すことは意味がないことであり、それを省いて、他の経由地を表示するスペースをより多く確保できるわけで、合理的。また、新国道経由飯島北行きのように、始発点が複数ある(秋田駅、新屋案内所、新屋高校、南高校、商業高校)場合、従来はそれぞれにコマを作成しなければならなかったが、始発を表示しない新表示では中央郵便局前以降のバス停を矢印で結ぶことによって1つのコマを共通で使えるようになったはずで、コマ数の節約もできたと思われる。
この表示は、旧来の小型幕の車両にもセットされ(もちろん文字は小さい)たし、交通局最終日まで使われた。
なお、秋田中央交通では、市営バスに触発されたのか、ごく一時期(昭和50年代後半?)の導入車両において大型表示器・矢印表示を採用していたものの、基本的には小型幕で正面・後部と同じ内容を表示していた。
矢印表示が本格的に登場するのは、市営バスの移管が始まった2000年代から(ただし新車でも小型表示器)、表示器のサイズが大きくなるのはLED化されるまで待たなければならなかった。
小型の幕の跡に大型のLEDを設置することは難しいため、中央交通で途中でLED化された車両は強引な取り付け方(前のほうに取り付けられたり、窓枠や戸袋窓と重なるなど)がされた車両もある。
矢印表示が本格的に登場するのは、市営バスの移管が始まった2000年代から(ただし新車でも小型表示器)、表示器のサイズが大きくなるのはLED化されるまで待たなければならなかった。
小型の幕の跡に大型のLEDを設置することは難しいため、中央交通で途中でLED化された車両は強引な取り付け方(前のほうに取り付けられたり、窓枠や戸袋窓と重なるなど)がされた車両もある。
話を戻して市営バスの経由地を枠で囲った側面表示には、前面と同じく、微妙に違う2つのタイプが存在した。
新屋西線のノーマルな秋田駅行き(前と後ろは「県庁市役所 秋田駅」)で比較。
266号車(2002年4月)
231号車(2001年3月)
欲を言えば、県営住宅経由と区別できるように「栗田神社前」などを入れるべきだと思うが、作成時期や書き換え費用を考えると、仕方ないのか。
どちらも、書いてあることは同じ。違いはお分かりでしょうか?
まず、「県庁」と「市役所」の間の「・」の有無。これは県庁を通る系統だけで見られる違い。
そして、「川尻」と「秋田駅」の文字の形が違う。266号車では正方形(正体)なのに対し、231号車では縦長(長体)になっている。枠の中の「経由」だけはどちらも縦長。
前面の青い文字で2文字の経由地の文字が横長(平体)だったのと同じような現象だ。
他のコマでも、
291号車の西口発明田経由桜ガ丘行き。1文字から4文字まで揃う(2002年4月)
縦長になる表示では、3文字以下が縦長で、4文字だと正方形となるようだ。
したがって、側面では[「経由」以外の文字がすべて正方形]と[矢印間の3文字以下が縦長]の2種類があったことになる。
前面同様、縦長文字があるほうが新しい幕かと思う(これについては根拠があります。後日紹介します→続きの記事の「朝日町」参照)が、使い回しなどが行われていたようで、車両の新旧などとの法則性はなかったようだ。
ちなみに、上の西口発桜ガ丘線では枠の中に「秋田駅経由」とある。これは、本来は交通局始発で駅に立ち寄るつもりで作成したのだろう。
このような、他所始発が前提で「秋田駅経由」とあるコマを秋田駅始発の系統にも流用する例は、手形山団地線などでも見られた。(一方で、県庁経由交通局線は、駅始発とそうでない駅経由のコマが両方用意されていた)
5文字以上の場合。
256号車の商業高校経由割山行き。縦長文字あり(2002年3月)
縦長文字があるほうの経由地の枠内の「商業高校」は4文字でも縦長になるようだ。5文字の「免許センター」は扁平な文字。
次の2つの正方形だけの表示は、「秋田八丈」塗装のワンロマ車で2002年3月撮影。(回転途中を撮影したのでズレています)
とてもレアな系統
今は完全に廃止された「県庁・茨島経由御野場団地線」というのがあり、その中に「山王新町経由」という系統があった。山王新町経由は移管前の1995年春に廃止されており、撮影当時で既に使っていないコマだったことになる。
少なくとも1988年度以降は、上り片道だけで、御野場→南高校前→卸センター入口→茨島→山王新町→県立体育館→県庁→秋田駅という経路。要は13号線をずっと走り、臨海十字路の手前で曲がって山王大通りに出る。
平日に1本だけの運行で、御野場発が朝の10時頃で、いまいち存在意義が分からない系統だった。
側面表示は、山王大通り以降のバス停が表示されていて、末端に偏っていて、分かりにくい。「茨島」くらいあってもよかったのではないだろうか。
文字は、枠内の「山王新町」が4文字だけど正方形、しかも小さい。「県庁・市役所」は扁平。
これは今もあります
イオン秋田中央店(当時は秋田サティ、バス停名は「若草団地前」)前を通る「有楽町・柳原経由御野場団地線」。
枠内の「有楽町・柳原」は正方形。矢印間の「卸センター入口」「牛島駅入口」は扁平。
ちなみに逆方向の縦長版。
294号車(2002年3月撮影)
この表示は、イオン秋田中央店前以降が同ルートとなる、卸センター経由新屋線の上りと兼用できる。
ということで、以上が側面幕の概要でした。
まだ続きがありまして、さらにマニアックな話になります。