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文化施設の場所/新駅の場所

2015-08-29 20:31:53 | 秋田の地理
いずれも秋田市にある秋田県民会館と秋田市文化会館を統合して、新たな大型文化施設を建設する計画が、2013年2月ににわかに持ち上がった。※以前の記事はこちらこちら
両会館の老朽化、機能が重複する施設を集約する効率化、演者や客から上がっていたホールの規模や音響など設備への不満に対応するのが目的。

後に報道などで「複合文化施設」などと呼ばれるようになり、議会で議題になり、文化関係者を集めた会議や県民からの意見募集も行われていたものの、建設場所はまだ決まっていなかった。場所は今年9月に示されるとか聞いていた。
先週から今週始めにかけて、秋田商工会議所と2つの文化団体が「秋田市中心部に建設してほしい」という趣旨の要望をそれぞれ県や市に提出した。千秋公園入口の秋田県民会館の位置に建ててほしいと具体的に場所を指定した要望もあった。
その段階で佐竹秋田県知事は、建設候補地は「今の秋田県民会館の場所を含めて4カ所ある」と話していた。他の3か所は民有地もあるとして明言しなかった。(25日付秋田魁新報等)

それから3日後の28日。
秋田県民会館跡地に建てることが決まったと、複数のマスコミが報道した。※「方針を固めた」「内定」という言い回しでの報道。
※県民会館自体はまだあるんだから「跡地」という表現はどことなくしっくりこない。もちろん、「今の県民会館を解体した跡地」という意味です。
9月の議会で説明して、建設に関する調査に移っていく。

一般市民・県民としては、まだ最終的に詰めている段階っぽかったのに、急に場所が決まったと知らされた形。数日前に要望したばかりの関係者は、願いがかなって喜んでいるだろうけど、拍子抜けしているかも。
現状の県民会館では、自前の駐車場がないことと、大きなコンサートなどの終了時に送迎車で渋滞することがあり、若干混沌とするものの、他には大きな問題はなさそう。土地の取得も不要だし、無難に収めたなという印象。


ところで、2年前にこの構想が明らかになった当時は、
「中心市街地の商業ビル跡地など複数の候補地が見込まれている。」
「「秋田ニューシティ」跡地の約7千平方メートルを建設候補地としている。(略)県と市は地権者らを交えた協議を本格化させる。」
などと報道され、大町二丁目の秋田ニューシティ(かつてダイエー秋田店があったビル。2011年解体)跡地が有力視、いや解体終了直後の時期でもあり「ニューシティ跡地への建設ありき」で話が出てきたように思えなくもなかった。
ただし、「ニューシティ跡地では計画に対して狭すぎる」という声は当時からあった。ちなみにニューシティ跡地は約7000平方メートル、県民会館は1万3225平方メートル。

一方で、県民会館跡地は「風致地区で新たな建築が制限され」るとも報道された。
※これは新施設がどこにできるかに関わらず、用済みになる県民会館を解体した後の使用法としての文脈だったけど。
知事は「整備する場所は秋田市の一街区全体を巻き込んだ形にまで派生するかもしれない」とも言っていた。

それが結局、単なる「県民会館の建て替え(と文化会館の廃止)」にトーンダウンしてしまう気がしなくもないけれど、このくらいが妥当かもしれない。
(再掲)左~中央奥が県民会館


その結果、ニューシティ跡地は本件とは無関係となった。
ひょっとしたら、ニューシティ跡地の所有者である辻さんは、文化施設ができることを見越して、あまり手を付けずにイベント会場と貸し駐車場として使っていたのかも。その目論見は外れてしまった。
駐車場は128区画もあるのに、あまり大々的に宣伝しておらず(看板は小さく、駐車場名称も賃貸料の表示もない)、埋めるつもりがなさそうにも見えていたけれど、今は、
「現在 満車」
近くのオフィス関係者の需要だろうか。北側の一角は、区画は普通自動車サイズながら近隣ホテルへ来た観光バスの駐車場として使っているようで、空いていることが多い。

埋まっているからいいのかもしれないけど、往時のにぎわいを知る者といてはこの場所をこんなことに使うのはもったいない。何か人を集められるものを作ったほうがいいのではないでしょうか。

【9月1日追記+2日さらに追記】9月1日に正式に発表された。早ければ2021年オープン。
報道によれば、県民会館向かいの今は空き屋の旧・県立美術館は、美術大学のアート体感(?)【2日補足・秋田市に移管し、美大の作品展示や市民の文化活動施設】関連施設になり、ニューシティ跡地は複合文化施設の駐車場となる見込みだそう。
やっぱり駐車場はもったいないと思うし、そもそも県民会館とニューシティはお堀や川があってやや遠回りになり、車社会で歩かない秋田の人にとっては必ずしも近くはない距離。【9月11日補足・ニューシティを駐車場とする際、土地を借用するか買い取るかは未定とのこと】
同日に、県、市、JR東日本秋田支社が連携協定を結んだ。秋田駅西口隣接の秋田支社の建物を現在より南側(明田地下道側)に建設し、現在の建物の跡に何らかの施設を造る。東口側にケア付き高齢者移住施設を造る構想も。
ちなみに、現・秋田支社の建物(旧・国鉄秋田鉄道管理局)は1958~59年に建設。新・支社は5階建てで2016年1月着工、2017年春使用開始予定。【2日補足・現支社は3棟に分かれ、敷地面積は約5千平方メートル。新支社は約7千平方メートルの敷地に鉄骨造延べ床面積6250平方メートル】

【9月18日追記】秋田魁新報によれば、9月16日の県議会一般質問で「(比較的近い広小路沿いの百貨店)木内の駐車場の利活用も検討すべきだ」と指摘。知事は「(文化施設駐車場には)狭く、車が出入りする道路も少ない」と難色を示したものの、「金融機関を介して木内側とも交渉したい」と結んだ。
なるほど。その手があったか。たしかに狭い一方通行路からしか出入りできないのはネックだが、それなりの収容台数は確保できると思う。どうせ普段は満杯にはならないのだし、ニューシティよりは近いし、選択肢の1つにはなる。その交渉が「金融機関を介して」なのは不思議。どうして直接じゃないの?
【9月26日追記】議会では、駐車場として産業会館跡地や県民会館隣接の堀の一部を埋める案も示されたとのこと。さすがに堀埋め立ては提示段階で非現実的とされたようで、産業会館跡地も道路配置からして駐車場は難しそう。

【9月2日追記】秋田魁新報の報道の中に、ひっそりと「市の構想には、大町のサンパティオ裏手にある市有地に民間が商業施設を整備するのを支援することも含まれている。」ともあった。2012年に明るみになってそれっきり動きがなかった構想が動き出すのかもしれない。
【11月13日追記】サンパティオ裏の商業施設計画の続報。
2015年11月10日付秋田魁新報 秋田市地域面で「店舗兼住宅 伝統とモダンさ 大町に「秋田町屋」を」として、具体的な構想が報道された。
・「大町商店街振興組合の有志ら」が計画。
・土地は市から「借り受け」る。
・11月中にも「まちづくり会社を設立」。商業者や市民から「出資を募る」。
・秋田杉を活用した店舗兼住宅。
具体的な着工・オープン時期等は言及されていない。

※2016年6月。ニューシティ跡地を駐車場にすることについて、動きが。



もう1つ。仮称「泉・外旭川新駅」について。※以前の記事
秋田市中央部と北部の境目、JR奥羽本線の秋田-土崎間・秋田貨物駅近辺に新しい旅客駅を造る構想。秋田市が費用を負担する。
個人的には、秋田駅から建設予定地周辺までの現行の路線バスと比較して、運賃と所要時間が格段に軽減される(バスは高齢者以外は300円超、時間は15分ほどだが冬は渋滞に巻き込まれる。列車なら200円未満、5分未満で済むはず)から、駅建設のメリットは大きいと思う。市民全員が恩恵を受けるわけではないが、例えばこれまで道路建設に投じてきた費用に比べれば小規模駅の建設などたかが知れている。

新駅の話は昭和末期からあったが進展しなかった。2008年頃に再浮上し、当初はJR東日本側が乗り気だったのに、その頃の秋田市側はそれほどでもなかったようだ。
その後、JRのやる気は薄れていったように感じられたが、今の秋田市長が選挙公約にしていたことから、当選後に今度は秋田市が乗り気になって動き出し、建設の是非、需要や具体的な場所などの調査検討がされている。

8月21日付「あきた市議会だより」No.159に、一般質問での駅に関する質疑の一部が掲載されていた。
結論としては「まだまだ検討中」だけど、方向としては前向きのようだ。分かったことを抜粋。
菅野地下道閉鎖の影響(が駅建設に伴う課題の1つ)
※菅野地下道は車も通る市道のアンダーパスのこと。
以前から複数の候補地がある中、菅野地下道付近が有力ではあったが、やっぱりそうなったのか。
地下道閉鎖が検討されるほど、具体的な位置が決まりつつあるのだろうか。
(再掲)菅野地下道
ちなみにそこに駅ができたとすれば、イオンタウン建設計画地とも、秋田市長の親族が経営する病院とも、若干遠く、徒歩で行く人は少なそう。バスが乗り入れるとすれば、周辺は住宅地の細い道なので、その対応も必要になる。
地理院地図に加筆
JR東日本の調査においても、市の需要予測を上回る駅利用者が見込まれるとされています。
JRのやる気がなくなって秋田市だけが先走っているような印象だったけれど、今もJRは駅建設にやぶさかではなさそうだ。
JRがうんと言わなきゃ実現しないのだから、見込みありということか。

JR東日本から、菅野地下道を連絡通路として、上下線の内側にそれぞれホームを設置し、待合室を線路敷地内中央に1カ所とするなどの計画案が示されており
菅野地下道の廃止は、これを踏まえてなんだろうか。要するに、現在の羽越本線・羽後牛島駅に近い構造か。
Googleマップ航空写真より八幡田地下道付近
ここは旧機関区跡地がある関係で、上下線がJR敷地の南北に離れて通っている。今はほぼ遊休地となっているその間を駅舎として有効活用するようだ。羽後牛島よりもスペースは広く、余裕がありそう。
既存のアンダーパスを駅舎やホームへのアクセス通路に転用すれば、跨線橋建設の費用が浮く。
羽後牛島のように、地下通路を南北自由通路として開放し、改札口もホーム上に設ければ、歩行者の線路横断は今後も確保されるし、駅業務や乗客の動線も合理的。
「計画案」だから、他の案のあるのかもしれないし、どうなるか分からないけれど。

航空写真で見てみると、上下線が離れすぎている感じもするし、線路の角度も上下が平行していない。どんなホーム配置になるのか興味深い。

【2017年9月6日追記】2017年9月5日、秋田市長が「2021年春に新駅を開業する方針」を示した。春の定例ダイヤ改正に間に合わせたいとのこと。
秋田市の調べでは、1日当たりの乗客数は2118人(降車は除くってことだとすれば、土崎駅とほぼ同数)。費用対効果を示す「費用便益比」は採算ライン1.0を上回る2.46と試算している。
※その後、2019年に駅設置が認可された。(以上追記)



関係があるのか分からないが、28日付でJR東日本秋田支社から、泉地区の旧・秋田運転支所跡地内に太陽光発電設備を設置することが発表された。9月以降着工・今年度末使用開始。(既にソーラーパネルを置いてなかったっけ?)
その場所は、菅野地下道よりも秋田駅寄り~天徳寺地下道の上辺りにかけての線路の間。上の航空写真で建物が建っている付近から右下方向。菅野地下道の上は新駅用に空けておくということかな?
※太陽光発電についての続きはこの記事後半にて。
コメント (9)
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