秋田市内の秋田中央交通の一般路線バスダイヤ改正が、今年も2023年10月1日に実施される。
公式ホームページには、昨年より遅い9月9日、土曜日の朝という意表を突いた掲載。昨年同様、「路線バスの廃止について(2023.9.30)」「2023年10月1日ダイヤ改正について(2023.10.1)」「路線バスの運行系統の変更について(2023.10.1)」の3つに分けている。
昨2022年の改正(この記事など参照)では、本数が少ない系統の廃止、秋田駅経由車庫発着系統の駅止め化、秋田営業所担当路線を中心として減便も目立った。
今回も、昨年同様、改正を「乗務員不足の解消と乗務員の労働負担軽減のために実施いたします。」としていて、傾向は似ているようだが、昨年ほどは減便はないようにも見える(後述の通り、細部をじっくり見ていない段階ですが)。
これまでの改正では、路線ごとの時刻表に、変更点を朱書きしてくれたりくれなかったり、年によってまちまちだったが、2023年は残念ながら朱書きなし。したがって、詳細な分析には時間を要するので後回し【リンクはこの記事末尾】にして、今回の記事は路線・系統の廃止と経路変更についてのみまとめます。※廃止や区間変更の理由、さらに廃止したかったのに廃止されなかった路線について、新たな情報が分かったので別記事にしました。
※以下、掲載順、路線名、バス停名は、運行事業者による告知とは異なるものがあります。
※利用の際は、各自、公式な情報で充分に確認してください。
系統番号610 楢山大回り線廃止
平日のみ片方向 秋田駅西口7:15→築地下丁7:19(170円)→楢山本町7:20(200円)→牛島橋7:23(200円 ※有楽町経由では260円)→刈穂橋7:25(230円)→大町五丁目7:28(230円)→大町西交差点前7:31(260円)→菊谷小路7:33(300円)→北高校前7:37(340円)→東中学校前7:43(340円)→秋田大学前7:45(350円)→手形山崎7:47(350円)→秋田駅西口7:58(350円)
秋田市営バス時代から存在し、秋田市の環状バス路線の草分けであった大回り線がなくなる。
昭和末~平成初期頃までは、反対方向の「手形回り」も存在し、昼や夕方にもそこそこの本数が運行されていた。昭和末頃までは、縮小版の「手形小回り線」も存在したかと思う。
(再掲)1988年の大回り線時刻表
その後、約30年、朝の楢山回りだけが細々と、しぶとく存続していた。
廃止されないからには、一定の需要、すなわち保戸野・千秋地区の各学校への通学需要があるのではないかと推測していた。2021年や2022年にはバス停の表示板が新しくされていた。
それが突然の廃止。
市街地だから、乗り継いだり多少歩いたりで、何とかなる場合が多そうではあるが、利用者(がいるとすれば)が困ってしまわないのだろうか。
廃止の一因としては、千秋地区での一方通行の逆走区間、狭い坂道、横断歩道と重なる北の丸バス停、踏切での運行を回避する目的もあると考えられる(上記、2021年の表示板更新の記事参照)。後述のように、秋田高校スクール線でも、同区間で経路変更が実施されるので。
(再掲)保戸野新橋東側の一方通行入口には「路線バスを除く」の補助標識
冒頭では駅からの運賃をカッコ内に示したが、その他の区間をいくつか示しておく。
牛島橋~大町五丁目から 大町五丁目170、菊谷小路190、北高230、手形山崎320、西口340
菊谷小路から 北高170、手形山崎250、西口300
北高から 手形山崎210、西口250
また、大回り線の廃止により、明田地下道西交差点から秋田南中学校前にかけての区間を、路線バスが通らなくなる。かつては築地経由として小型バスが多く通っていた(徐々に減って2018年まで)のだが。
111 新国道・土崎経由 秋田厚生医療センター線廃止
平日のみ 秋田駅西口~新国道~土崎の旧道~虎毛山踏切~相染七区~秋田高専前~サンパーク入口~秋田厚生医療センター前
駅発 6:50、7:35、9:00、14:40、17:35 所要29分
医療センター発 7:55、8:40、9:55、15:45
(再掲)秋田組合総合病院だった当時の行き先表示
(再掲)2014年に名称変更後
医療センターは2000年4月に、土崎から飯島へ移転(当時は秋田組合総合病院)した。
秋田駅からの路線バスは、ルートがまったく異なる3路線が乗り入れ。神田線(関連記事)と県庁・寺内経由将軍野サンパーク線は、既存路線の延伸。この新国道経由は、新規路線として設定されたかと思う【12日コメントいただき訂正・新国道経由医療センター線は、元は中央交通の路線「上新城線」だったとのこと。医療センターより先にある、上新城地区の愛染、保多野、上小又を経由または終点としていた。組合病院移転により経由するようになったものの、2008年3月で上新城線が廃止(組合病院を起点とする秋田市マイ・タウンバス化)、それ以降、組合病院止まりとなっていた。したがって、踏切~高専~サンパーク入口は長年バスが走ってきた道であり、そこをバスが通らなくなることになる】。
【14日追記・今回の廃止区間のバス停を、旧上新城線の廃止代替である秋田市マイ・タウンバス北部線 上新城コースが引き継ぐことになっていた。予約式ワゴン車で新国道・秋田駅方面へは行かないが、いちおう存続。】
駅→医療センターの所要時間と運賃は、神田線35分・480円、サンパーク線39分・520円、新国道経由38分・600円。
港北~飯島にかけては貴重な路線バスかに見えるが、サンパーク線や市民生協入口発着将軍野線沿線も遠くはなく、本数もいくぶん多い。また、秋田工業高等専門学校の通学には、ほぼ使われなかったと思われる【12日補足・上記追記のように、かつては同じ経路で上新城線が一定の本数運行されていた。その当時は、もしかしたら通学に使われていたかも】。
2021年秋までは土日祝日にも運行があった。
2022年秋までは、朝にサンパーク団地へ立ち寄る112系統もあった。
バスが通らなくなる、虎毛山踏切~高専~サンパーク入口の区間は、2018年までは天王グリーンランド~飯島~医療センターの追分線の1系統が、2010年から2014年までは「土崎循環線」も通っていた。
117 土崎・東口線廃止
平日のみ片方向 飯島北7:00→土崎→新国道→高陽幸町交差点前(旧・幸町交番前)→附属校園前7:21→鷹匠橋→千秋トンネル→手形陸橋→大学病院7:34→南団地→秋田駅東口7:48
「土崎・ノースアジア大学線」を2015年に片方向化・行き先変更したもの。
片道になってしまっては、帰りのことがあるし、あまり利用されていなかったのか。秋田市北部方面から秋田大学教育文化学部附属各学校への通学は、本数がある新国道の高陽幸町交差点での乗降が主流のようだし、大学病院へ通院する人もそんなにいないのかもしれない。
ちなみに運賃は、
飯島北から附属500円、大学病院620円、東口710円(西口行きだと580円)。
自衛隊入口から附属290円、大学病院440円、東口530円(西口370円)。
すわ町から大学病院230円、東口340円(西口170円)。
118 新国道・北部市民サービスセンター経由 土崎線廃止
秋田駅西口~飯島北の新国道経由土崎線のうち、秋田市北部市民サービスセンター「キタスカ」へ立ち寄る系統。
キタスカが2011年春に開所した際、土崎循環線、県庁・寺内経由土崎線とともに設けられた。上記の通り循環線は廃止済み、寺内経由と新国道経由も年々経由便が少なくなり、2022年には寺内経由が寄らなくなって、新国道経由が平日2往復だけ残っていた。
時刻表上、土崎駅入口~港中央五丁目間を、立ち寄らない系統では下り1分・上り0分のところ、経由便では7分・5分かかっている。実際には、国道7号を2度越えることになるので、信号待ちが長く、この区間の乗降はとても少ないと思われる。
キタスカは、土崎の市街地からはやや離れており、車がない市民には行きにくい場所なのだが、実態としてバスの需要がないのだから、やむを得ないだろう。冬季などの買い物や通院の足としても含めて、何らかの交通手段が提供されてもいいと思うけれど。
151 新港線(しんこう線)新屋高校発着系統廃止
※告知では「新港線」のみの記載なので、新港線全部が廃止になると受け取ってしまう人が出てしまうかもしれない。実際には系統の1つの廃止。
新港線は、西部市民サービスセンター(新屋案内所)と飯島北を結ぶのが基本(150系統=現在はなし)で、西部市民SCから新屋高校まで足を伸ばす151系統、飯島から新屋へ向かわずに仁井田の秋田南高校へ向かう152系統、さらに2018年には飯島まで行かず土崎駅前を起終点とする153系統が誕生していた。
現行は(平日のみ)、
151 新屋高校15:52→西部市民SC16:00→飯島北16:39
153 西部市民SC17:15→土崎駅17:47
152 飯島北6:55→南高校7:33
151 飯島北7:10→西部市民SC7:55→新屋高校8:03
10月からは151系統が両方向とも廃止・代替なし。152系統はそのまま、153系統は5分繰り上げで存続。
新港線は、飯島→南高校と新屋→土崎が片方向ずつという、なんともいびつな路線になってしまう。南高校行きは新港線から独立させてもいいのでは?
523 御所野発 県庁市役所経由大川反車庫行き廃止
平日のみ 御所野7:15→目長田→牛島東五丁目7:28→北都銀行前7:37→県庁市役所前7:43→大川反車庫前7:51
御所野方面の地理に疎い者には難解で存在意義もよく分からないが、イオンモール秋田や御野場団地は通らない路線。「御所野」というおおざっぱな命名の始発バス停が廃止される。
【14日補足・廃止代替として、仁井田御所野線 西口・県庁経由車庫行きの上り始発便をイオンモール秋田7:25→6:55発に繰り上げ。】
以下は、中央交通では廃止として告知しているが、それでは誤解を招きかねないもの。
702 県庁経由 割山線 上り便のみ廃止、下り便は存続
平日 南浜回転地7:30→商業高校グラウンド前7:35→勝平新橋→県庁市役所前7:46→秋田駅西口7:58
通勤にいい時間帯。新屋西線通りには遠い一帯から山王方面への需要がありそうなものだけど。
120 寺内経由土崎線 飯島北発 上り便のみ廃止、下り便は存続
平日 飯島北発9:20、18:20
寺内経由は減便と土崎駅止まりへの短縮が、年々進んでいた。
542 秋田高校線(いわゆる秋田高校スクール線。誰でも乗車可能) 千秋・保戸野~手形の経路変更
平日 イオンモール秋田(御所野)~御野場団地~国道13号~イオン秋田中央店前~北都銀行前~鷹匠橋~北高校前~東中学校前~秋田大学前(テニスコート側)~秋田高校入口
前述の大回り線と重複する北高付近、鷹匠橋~秋田大学前を通らなくなる。
新経路は、千秋トンネル~手形陸橋~手形山崎町交差点~秋田大学前(県道側)【14日補足・廃止区間にバス停は9つあるが、新経路上には、大学前と手形山崎の2つしかない】。ダイヤは変わらないが、所要時間は御所野発で5分、秋田高校発で1分、それぞれ短縮。
狭隘路を避けた安全運行目的なのだろうが【冒頭の理由についての別記事も参照】、この路線の存在意義に立ち返ると疑問も生じる。
通称・秋高スクール線と呼ばれるように、沿線に多い学校への通学が主目的の路線。夏場は空いていることが多いようだが、冬は全席が埋まる程度の乗車率(高校生が多そう)のこともある。
沿線の学校は、秋田高校を除けば、北高のほか附属各学校はすわ町(千秋トンネル通り側)と、バスが通らなくなる区間内にある。そして、代替となるバス停は新設されないので、最寄りバス停はどの学校も千秋矢留町となるだろう(矢留町の次は、手形山崎までバス停がない)。数百メートルは余計に歩くことになる。学校や利用者に対して、周知がなされているのか、気になる。
以上は、運行本数が少ない路線・系統で、廃止されるとしても影響を受ける人はさほど多くはないかもしれない(それでも困る人は困ってしまうわけですが)。今回、影響を受ける人が少なくないのではないかと思われる変更を最後に。
220 泉ハイタウン線 泉駅前広場発着に短縮
市営バス時代1992年運行開始(当初は泉・保戸野線や泉・秋操線と呼称)。末端部で環状運行を行い、往路(下り)の最後と復路(上り)の最初が重複する。2021年春にJR泉外旭川駅が開業すると、上り便のみが「泉駅前広場」として駅前に乗り入れている。
秋田駅西口側から、現状のバス停通過順を示すと、
秋操近隣公園入口→泉北三丁目→泉ハイタウン団地前→泉北二丁目(時刻表上は待機時間が設定されており、路上で時間調整。上り始発点=ここから秋田駅行きに乗車可能)→秋田貨物駅入口(下り終点=秋田駅始発でここまで乗車可能)→泉ハイタウン団地前→泉駅前広場→泉北三丁目→秋操近隣公園入口
【2024年12月8日補足・下り終点バス停は、当初は「秋操駅入口(あきそうえき~)」という名称(場所は同じ)。市営バスから中央交通への移管は2006年春。1年後の2007年春に、路線名が泉ハイタウン線、下り終点が秋田貨物駅入口と改称。この記事も参照】
2023年10月からは、環状運行区間(ハイタウン~北ニ丁目~貨物駅入口~ハイタウン)を廃止、北三丁目から泉駅前広場に入って下り終点。折返し上りはそのまま逆方向に、駅前広場→北三丁目→近隣公園。
泉北二丁目が廃止。泉八橋環状線は変わらないため、泉ハイタウン団地前と秋田貨物駅入口の両バス停は存続。
廃止区間の距離は、のべで約1400メートル。下りで920メートル、上りで960メートルほど。
現行では、秋田駅→北二丁目が15分、北二丁目→駅が21分。北ニ丁目の待機時間は1~3分設定されているので、秋田駅西口を出て西口へ戻るまで、36~39分かかる=それだけ乗務員が拘束されることになる。
変更後は、駅→駅前広場が12分、駅前広場→駅が17分。折返し待機は3分なので、往復合わせて32分の拘束。
30年前に秋田市交通局が知恵を絞って、環状運行のルートを設定したのだろうが、泉北二丁目バス停周辺は狭い道で、スーパーやホームセンターに出入りする一般車両や歩行者の通行もあって(冬はマンションの前がツルツルに凍結して怖い)、バスでの通行は大変だと思っていた。
また、上り側の泉ハイタウン団地前バス停は、道路から離れた位置にあり、いったん左折して入り、再度左折で道路へ出る形。加えて泉駅前広場も同様に信号機がないところで出入りする構造。充分な安全確認と、遅延の発生がありそうだった。
さらに、泉ハイタウン団地バス停前では、新しいアンダーパスの建設工事が進んでいて、いずれは現行の運行経路でなくなりそうでもあった。
一方、利用状況を見ると、泉ハイタウン線では、秋操近隣公園入口と、泉ハイタウン団地前、泉北ニ丁目バス停で、乗降が多い傾向がある。泉北二丁目や秋田貨物駅入口は少なめ。
また、泉ハイタウン線は、奥羽本線と競合し、終点近くが泉外旭川駅なわけで、鉄道とバスの乗り継ぎの役は果たさない性格の路線。それを半ば強引に駅前に乗り入れたようなもので、実際、泉駅前広場バス停から乗る人はかなり少ない(当然、降りる人も)。
ICカードが導入されたので、こうした乗降実態は把握できていると思う。少なくとも「利用者が少ないため区間廃止」という理由にはならないはずである。それでもあえて、今回の変更に踏み切ったのか。【冒頭の理由についての別記事も参照】
そんな状況なのに、今回のような経路変更というか区間短縮をしてしまうと、不便になったと感じる利用者が多くならないだろうか。例えば、泉北二丁目バス停(跡)から泉駅前広場までは500メートル歩かないといけなくなる。
泉外旭川駅まで歩いてしまえば、いっそ駅から列車に乗ったほうが、早くて安い(高齢者を除く)と、JRへ流れてしまうおそれもあろう。※泉北二丁目~泉北三丁目から西口までのバス運賃は280円。泉外旭川~秋田のJR運賃は190円。
中央交通としては、秋田市の交通政策に寄与し、運行時間短縮により運転士の労働時間削減と安全運行につながるという目論見かもしれない。だけど、この改変をするのならば、地域や乗客に対して充分な説明をしてからでないといけないようにも思う。中央交通独断で進めてはいまいか。乗務員不足・労働環境改善と言っても、乗客の視点でも考えてほしい。
【28日画像追加】(再掲・EVバス)行き先表示はどうなるか?→この記事参照
というか、泉ハイタウン団地前には行かなくなるのだから「泉ハイタウン線」の路線名のままでいいのでしょうか?
その他、ダイヤ改正の詳細は続きにて。
公式ホームページには、昨年より遅い9月9日、土曜日の朝という意表を突いた掲載。昨年同様、「路線バスの廃止について(2023.9.30)」「2023年10月1日ダイヤ改正について(2023.10.1)」「路線バスの運行系統の変更について(2023.10.1)」の3つに分けている。
昨2022年の改正(この記事など参照)では、本数が少ない系統の廃止、秋田駅経由車庫発着系統の駅止め化、秋田営業所担当路線を中心として減便も目立った。
今回も、昨年同様、改正を「乗務員不足の解消と乗務員の労働負担軽減のために実施いたします。」としていて、傾向は似ているようだが、昨年ほどは減便はないようにも見える(
これまでの改正では、路線ごとの時刻表に、変更点を朱書きしてくれたりくれなかったり、年によってまちまちだったが、2023年は残念ながら朱書きなし。したがって、詳細な分析には時間を要するので後回し【リンクはこの記事末尾】にして、今回の記事は路線・系統の廃止と経路変更についてのみまとめます。※廃止や区間変更の理由、さらに廃止したかったのに廃止されなかった路線について、新たな情報が分かったので別記事にしました。
※以下、掲載順、路線名、バス停名は、運行事業者による告知とは異なるものがあります。
※利用の際は、各自、公式な情報で充分に確認してください。
系統番号610 楢山大回り線廃止
平日のみ片方向 秋田駅西口7:15→築地下丁7:19(170円)→楢山本町7:20(200円)→牛島橋7:23(200円 ※有楽町経由では260円)→刈穂橋7:25(230円)→大町五丁目7:28(230円)→大町西交差点前7:31(260円)→菊谷小路7:33(300円)→北高校前7:37(340円)→東中学校前7:43(340円)→秋田大学前7:45(350円)→手形山崎7:47(350円)→秋田駅西口7:58(350円)
秋田市営バス時代から存在し、秋田市の環状バス路線の草分けであった大回り線がなくなる。
昭和末~平成初期頃までは、反対方向の「手形回り」も存在し、昼や夕方にもそこそこの本数が運行されていた。昭和末頃までは、縮小版の「手形小回り線」も存在したかと思う。
(再掲)1988年の大回り線時刻表
その後、約30年、朝の楢山回りだけが細々と、しぶとく存続していた。
廃止されないからには、一定の需要、すなわち保戸野・千秋地区の各学校への通学需要があるのではないかと推測していた。2021年や2022年にはバス停の表示板が新しくされていた。
それが突然の廃止。
市街地だから、乗り継いだり多少歩いたりで、何とかなる場合が多そうではあるが、利用者(がいるとすれば)が困ってしまわないのだろうか。
廃止の一因としては、千秋地区での一方通行の逆走区間、狭い坂道、横断歩道と重なる北の丸バス停、踏切での運行を回避する目的もあると考えられる(上記、2021年の表示板更新の記事参照)。後述のように、秋田高校スクール線でも、同区間で経路変更が実施されるので。
(再掲)保戸野新橋東側の一方通行入口には「路線バスを除く」の補助標識
冒頭では駅からの運賃をカッコ内に示したが、その他の区間をいくつか示しておく。
牛島橋~大町五丁目から 大町五丁目170、菊谷小路190、北高230、手形山崎320、西口340
菊谷小路から 北高170、手形山崎250、西口300
北高から 手形山崎210、西口250
また、大回り線の廃止により、明田地下道西交差点から秋田南中学校前にかけての区間を、路線バスが通らなくなる。かつては築地経由として小型バスが多く通っていた(徐々に減って2018年まで)のだが。
111 新国道・土崎経由 秋田厚生医療センター線廃止
平日のみ 秋田駅西口~新国道~土崎の旧道~虎毛山踏切~相染七区~秋田高専前~サンパーク入口~秋田厚生医療センター前
駅発 6:50、7:35、9:00、14:40、17:35 所要29分
医療センター発 7:55、8:40、9:55、15:45
(再掲)秋田組合総合病院だった当時の行き先表示
(再掲)2014年に名称変更後
医療センターは2000年4月に、土崎から飯島へ移転(当時は秋田組合総合病院)した。
秋田駅からの路線バスは、ルートがまったく異なる3路線が乗り入れ。神田線(関連記事)と県庁・寺内経由将軍野サンパーク線は、既存路線の延伸。
【14日追記・今回の廃止区間のバス停を、旧上新城線の廃止代替である秋田市マイ・タウンバス北部線 上新城コースが引き継ぐことになっていた。予約式ワゴン車で新国道・秋田駅方面へは行かないが、いちおう存続。】
駅→医療センターの所要時間と運賃は、神田線35分・480円、サンパーク線39分・520円、新国道経由38分・600円。
港北~飯島にかけては貴重な路線バスかに見えるが、サンパーク線や市民生協入口発着将軍野線沿線も遠くはなく、本数もいくぶん多い。また、秋田工業高等専門学校の通学には、ほぼ使われなかったと思われる【12日補足・上記追記のように、かつては同じ経路で上新城線が一定の本数運行されていた。その当時は、もしかしたら通学に使われていたかも】。
2021年秋までは土日祝日にも運行があった。
2022年秋までは、朝にサンパーク団地へ立ち寄る112系統もあった。
バスが通らなくなる、虎毛山踏切~高専~サンパーク入口の区間は、2018年までは天王グリーンランド~飯島~医療センターの追分線の1系統が、2010年から2014年までは「土崎循環線」も通っていた。
117 土崎・東口線廃止
平日のみ片方向 飯島北7:00→土崎→新国道→高陽幸町交差点前(旧・幸町交番前)→附属校園前7:21→鷹匠橋→千秋トンネル→手形陸橋→大学病院7:34→南団地→秋田駅東口7:48
「土崎・ノースアジア大学線」を2015年に片方向化・行き先変更したもの。
片道になってしまっては、帰りのことがあるし、あまり利用されていなかったのか。秋田市北部方面から秋田大学教育文化学部附属各学校への通学は、本数がある新国道の高陽幸町交差点での乗降が主流のようだし、大学病院へ通院する人もそんなにいないのかもしれない。
ちなみに運賃は、
飯島北から附属500円、大学病院620円、東口710円(西口行きだと580円)。
自衛隊入口から附属290円、大学病院440円、東口530円(西口370円)。
すわ町から大学病院230円、東口340円(西口170円)。
118 新国道・北部市民サービスセンター経由 土崎線廃止
秋田駅西口~飯島北の新国道経由土崎線のうち、秋田市北部市民サービスセンター「キタスカ」へ立ち寄る系統。
キタスカが2011年春に開所した際、土崎循環線、県庁・寺内経由土崎線とともに設けられた。上記の通り循環線は廃止済み、寺内経由と新国道経由も年々経由便が少なくなり、2022年には寺内経由が寄らなくなって、新国道経由が平日2往復だけ残っていた。
時刻表上、土崎駅入口~港中央五丁目間を、立ち寄らない系統では下り1分・上り0分のところ、経由便では7分・5分かかっている。実際には、国道7号を2度越えることになるので、信号待ちが長く、この区間の乗降はとても少ないと思われる。
キタスカは、土崎の市街地からはやや離れており、車がない市民には行きにくい場所なのだが、実態としてバスの需要がないのだから、やむを得ないだろう。冬季などの買い物や通院の足としても含めて、何らかの交通手段が提供されてもいいと思うけれど。
151 新港線(しんこう線)新屋高校発着系統廃止
※告知では「新港線」のみの記載なので、新港線全部が廃止になると受け取ってしまう人が出てしまうかもしれない。実際には系統の1つの廃止。
新港線は、西部市民サービスセンター(新屋案内所)と飯島北を結ぶのが基本(150系統=現在はなし)で、西部市民SCから新屋高校まで足を伸ばす151系統、飯島から新屋へ向かわずに仁井田の秋田南高校へ向かう152系統、さらに2018年には飯島まで行かず土崎駅前を起終点とする153系統が誕生していた。
現行は(平日のみ)、
151 新屋高校15:52→西部市民SC16:00→飯島北16:39
153 西部市民SC17:15→土崎駅17:47
152 飯島北6:55→南高校7:33
151 飯島北7:10→西部市民SC7:55→新屋高校8:03
10月からは151系統が両方向とも廃止・代替なし。152系統はそのまま、153系統は5分繰り上げで存続。
新港線は、飯島→南高校と新屋→土崎が片方向ずつという、なんともいびつな路線になってしまう。南高校行きは新港線から独立させてもいいのでは?
523 御所野発 県庁市役所経由大川反車庫行き廃止
平日のみ 御所野7:15→目長田→牛島東五丁目7:28→北都銀行前7:37→県庁市役所前7:43→大川反車庫前7:51
御所野方面の地理に疎い者には難解で存在意義もよく分からないが、イオンモール秋田や御野場団地は通らない路線。「御所野」というおおざっぱな命名の始発バス停が廃止される。
【14日補足・廃止代替として、仁井田御所野線 西口・県庁経由車庫行きの上り始発便をイオンモール秋田7:25→6:55発に繰り上げ。】
以下は、中央交通では廃止として告知しているが、それでは誤解を招きかねないもの。
702 県庁経由 割山線 上り便のみ廃止、下り便は存続
平日 南浜回転地7:30→商業高校グラウンド前7:35→勝平新橋→県庁市役所前7:46→秋田駅西口7:58
通勤にいい時間帯。新屋西線通りには遠い一帯から山王方面への需要がありそうなものだけど。
120 寺内経由土崎線 飯島北発 上り便のみ廃止、下り便は存続
平日 飯島北発9:20、18:20
寺内経由は減便と土崎駅止まりへの短縮が、年々進んでいた。
542 秋田高校線(いわゆる秋田高校スクール線。誰でも乗車可能) 千秋・保戸野~手形の経路変更
平日 イオンモール秋田(御所野)~御野場団地~国道13号~イオン秋田中央店前~北都銀行前~鷹匠橋~北高校前~東中学校前~秋田大学前(テニスコート側)~秋田高校入口
前述の大回り線と重複する北高付近、鷹匠橋~秋田大学前を通らなくなる。
新経路は、千秋トンネル~手形陸橋~手形山崎町交差点~秋田大学前(県道側)【14日補足・廃止区間にバス停は9つあるが、新経路上には、大学前と手形山崎の2つしかない】。ダイヤは変わらないが、所要時間は御所野発で5分、秋田高校発で1分、それぞれ短縮。
狭隘路を避けた安全運行目的なのだろうが【冒頭の理由についての別記事も参照】、この路線の存在意義に立ち返ると疑問も生じる。
通称・秋高スクール線と呼ばれるように、沿線に多い学校への通学が主目的の路線。夏場は空いていることが多いようだが、冬は全席が埋まる程度の乗車率(高校生が多そう)のこともある。
沿線の学校は、秋田高校を除けば、北高のほか附属各学校はすわ町(千秋トンネル通り側)と、バスが通らなくなる区間内にある。そして、代替となるバス停は新設されないので、最寄りバス停はどの学校も千秋矢留町となるだろう(矢留町の次は、手形山崎までバス停がない)。数百メートルは余計に歩くことになる。学校や利用者に対して、周知がなされているのか、気になる。
以上は、運行本数が少ない路線・系統で、廃止されるとしても影響を受ける人はさほど多くはないかもしれない(それでも困る人は困ってしまうわけですが)。今回、影響を受ける人が少なくないのではないかと思われる変更を最後に。
220 泉ハイタウン線 泉駅前広場発着に短縮
市営バス時代1992年運行開始(当初は泉・保戸野線や泉・秋操線と呼称)。末端部で環状運行を行い、往路(下り)の最後と復路(上り)の最初が重複する。2021年春にJR泉外旭川駅が開業すると、上り便のみが「泉駅前広場」として駅前に乗り入れている。
秋田駅西口側から、現状のバス停通過順を示すと、
秋操近隣公園入口→泉北三丁目→泉ハイタウン団地前→泉北二丁目(時刻表上は待機時間が設定されており、路上で時間調整。上り始発点=ここから秋田駅行きに乗車可能)→秋田貨物駅入口(下り終点=秋田駅始発でここまで乗車可能)→泉ハイタウン団地前→泉駅前広場→泉北三丁目→秋操近隣公園入口
【2024年12月8日補足・下り終点バス停は、当初は「秋操駅入口(あきそうえき~)」という名称(場所は同じ)。市営バスから中央交通への移管は2006年春。1年後の2007年春に、路線名が泉ハイタウン線、下り終点が秋田貨物駅入口と改称。この記事も参照】
2023年10月からは、環状運行区間(ハイタウン~北ニ丁目~貨物駅入口~ハイタウン)を廃止、北三丁目から泉駅前広場に入って下り終点。折返し上りはそのまま逆方向に、駅前広場→北三丁目→近隣公園。
泉北二丁目が廃止。泉八橋環状線は変わらないため、泉ハイタウン団地前と秋田貨物駅入口の両バス停は存続。
廃止区間の距離は、のべで約1400メートル。下りで920メートル、上りで960メートルほど。
現行では、秋田駅→北二丁目が15分、北二丁目→駅が21分。北ニ丁目の待機時間は1~3分設定されているので、秋田駅西口を出て西口へ戻るまで、36~39分かかる=それだけ乗務員が拘束されることになる。
変更後は、駅→駅前広場が12分、駅前広場→駅が17分。折返し待機は3分なので、往復合わせて32分の拘束。
30年前に秋田市交通局が知恵を絞って、環状運行のルートを設定したのだろうが、泉北二丁目バス停周辺は狭い道で、スーパーやホームセンターに出入りする一般車両や歩行者の通行もあって(冬はマンションの前がツルツルに凍結して怖い)、バスでの通行は大変だと思っていた。
また、上り側の泉ハイタウン団地前バス停は、道路から離れた位置にあり、いったん左折して入り、再度左折で道路へ出る形。加えて泉駅前広場も同様に信号機がないところで出入りする構造。充分な安全確認と、遅延の発生がありそうだった。
さらに、泉ハイタウン団地バス停前では、新しいアンダーパスの建設工事が進んでいて、いずれは現行の運行経路でなくなりそうでもあった。
一方、利用状況を見ると、泉ハイタウン線では、秋操近隣公園入口と、泉ハイタウン団地前、泉北ニ丁目バス停で、乗降が多い傾向がある。泉北二丁目や秋田貨物駅入口は少なめ。
また、泉ハイタウン線は、奥羽本線と競合し、終点近くが泉外旭川駅なわけで、鉄道とバスの乗り継ぎの役は果たさない性格の路線。それを半ば強引に駅前に乗り入れたようなもので、実際、泉駅前広場バス停から乗る人はかなり少ない(当然、降りる人も)。
ICカードが導入されたので、こうした乗降実態は把握できていると思う。少なくとも「利用者が少ないため区間廃止」という理由にはならないはずである。それでもあえて、今回の変更に踏み切ったのか。【冒頭の理由についての別記事も参照】
そんな状況なのに、今回のような経路変更というか区間短縮をしてしまうと、不便になったと感じる利用者が多くならないだろうか。例えば、泉北二丁目バス停(跡)から泉駅前広場までは500メートル歩かないといけなくなる。
泉外旭川駅まで歩いてしまえば、いっそ駅から列車に乗ったほうが、早くて安い(高齢者を除く)と、JRへ流れてしまうおそれもあろう。※泉北二丁目~泉北三丁目から西口までのバス運賃は280円。泉外旭川~秋田のJR運賃は190円。
中央交通としては、秋田市の交通政策に寄与し、運行時間短縮により運転士の労働時間削減と安全運行につながるという目論見かもしれない。だけど、この改変をするのならば、地域や乗客に対して充分な説明をしてからでないといけないようにも思う。中央交通独断で進めてはいまいか。乗務員不足・労働環境改善と言っても、乗客の視点でも考えてほしい。
【28日画像追加】(再掲・EVバス)行き先表示はどうなるか?→この記事参照
というか、泉ハイタウン団地前には行かなくなるのだから「泉ハイタウン線」の路線名のままでいいのでしょうか?
その他、ダイヤ改正の詳細は続きにて。