2015年の動物の話題を少々。
まずは、なじみがあった2つの動物が世を去った。
会ったことはないけれど、全国的に知られた「たま駅長」。
1999年生まれで和歌山県の南海電鉄(当時)貴志川線貴志駅の売店で飼われていた三毛ネコ(三毛は基本的に全部メス)。
鉄道は、2003年に南海電鉄から岡山県の岡山電気軌道の子会社・和歌山電鐵として再スタートを切ることになり、一時はネコたちの居場所の立ち退きも迫られたという。
ところが、社長の目に留まって「駅長」として任命され、グッズや電車のキャラクターにもなり、全国各地・海外からたまに会うために鉄道や駅を訪れる人が相次いだ。親会社が経営する岡山市の路面電車にも、たまをデザインした車両が走っているが、その車両は元をたどれば廃止された秋田市電で使われていた車両だそう(実際には交換された部分・部品が多いはずで、書類上そうだというだけかもしれないけど)。
貴志駅では、たまの負担にならないよう、曜日限定で専用の部屋の中に入った状態での公開が多かったそうだが、イベントでマイクを向けられると「にゃあ」とあいさつ(?)するなど、堂々とした駅長ぶりだった。
鉄道の経営改善のみならず、11億円の経済波及効果があるとの研究もあり、生前、最終的には「社長代理」にまで昇進した。
貴志駅には“後継者”もいるそうだし、全国各地でネコ駅長のたぐいがいるけれど、そのきっかけがたまだった。
次はローカル。秋田市大森山動物園のカリフォルニアアシカの「スミコ」。
1987年に神戸市立王子動物園で生まれ、翌年に大森山に来た。
野生のアシカで20年以上生きる個体はまれ、飼育下では31歳が最高齢記録だそうで、27歳は大往生だったのだろう。
スミコさんが20歳を過ぎてから数度、お会いしたことがあった。
(再掲)2008年、21歳のスミコさん
11歳年下のオスの「マヤ」はプールを泳いだり、飼育員や入園者に愛想をしていたが、スミコさんはいつも、陸上のねぐらの穴の中から頭だけ出してキョロキョロしていた。
個体差(性格)なのか、メスだからなのか、それとも高齢のためかと思っていたが、大森山動物園の広報紙によれば、高齢になってもたまに泳ぐことはあったそうだけど、性格はドライだったとか。
4頭を出産し、最後の子がマヤとの間に生まれた娘「ナナミ」。
ナナミは、愛媛県立とべ動物園に移され、ジャンプ力と人懐っこさで人気だそうだけど、それは大森山の環境とスミコさんの子育てのおかげに違いない。
スミコさんの死後しばらく、マヤ1頭で過ごしてきたが、12月にとべ動物園から11歳のメス「アイラ」が来た。
アシカの生態からすれば、オス1頭に複数のメスが同居するハーレムが本来の姿のはずだけど、広いとは言えない大森山のアシカプールでは、雌雄1つがいが限度なのだろう。
最後は、今年話題になった動物。
春頃から、名古屋市の東山動植物園の19歳のオスのゴリラ「シャバーニ」が“イケメン”だとして注目された。写真集まで出版されたそうだ。
日本でゴリラを飼育する施設は少ないから見慣れない動物だし、ゴリラなんてどれも同じじゃ…と思ったものの、以前東山動植物園に行った時(過去の記事ではゴリラは出てきません)の記憶がよみがえった。
たしかに、ゴリラがいた。屋内で夫婦で食事中で、1頭がガラスの近くにいてこちらを一瞥して目が合った(ような気がした)。もう1頭は、奥のほうでこちらを向いて悠々と構えていた。ただ食事しているだけなのに、存在感というか迫力はあった。
映り込みで写りが悪いが、写真があった。
2009年 東山動植物園にて
名札には、
「シャバーニ」の名が!
当時、メスのネネが体重82キロ、シャバーニが190キロとあり、写真を見ると奥の個体のほうが大柄だから、そちらがシャバーニだと思われる。
ピントが合っていないですが
東山には、この他の個体もいて、公開日が交代制になっており、東山に行っても必ずシャバーニを見られるわけではないらしいが、知らずに運良くシャバーニに会っていたのだった!
名札に表示がある通り、正確な種名(亜種名)は「ニシローランドゴリラ」。
イケメンゴリラを取り上げる多くのサイトでは単に「ゴリラ」で済ませてしまっている。
また、東山動植物園側も、(ゴリラ以外も含めて全般に)積極的には宣伝をしないらしく、詳しい情報が分からない。(大森山のほうがずっと宣伝は上手だ。東山はせっかくハード面はいいものが揃っているのにもったいない。)
「イケメンだ」「かっこいい」と話題にするものいいし、それが興味を持つきっかけになるのだろうけれど、もう少し、学術的にというか多角的にというか、一過性のうわべだけでない情報や知識を広めることも必要だと思う。
3匹(頭)の動物たちを紹介したけれど、これ以外にもたくさんの動物たちが、人間といろいろな形で関わってくれている。多くの動物が(人間も)、幸せに過ごせるようになってほしいものです。
まずは、なじみがあった2つの動物が世を去った。
会ったことはないけれど、全国的に知られた「たま駅長」。
1999年生まれで和歌山県の南海電鉄(当時)貴志川線貴志駅の売店で飼われていた三毛ネコ(三毛は基本的に全部メス)。
鉄道は、2003年に南海電鉄から岡山県の岡山電気軌道の子会社・和歌山電鐵として再スタートを切ることになり、一時はネコたちの居場所の立ち退きも迫られたという。
ところが、社長の目に留まって「駅長」として任命され、グッズや電車のキャラクターにもなり、全国各地・海外からたまに会うために鉄道や駅を訪れる人が相次いだ。親会社が経営する岡山市の路面電車にも、たまをデザインした車両が走っているが、その車両は元をたどれば廃止された秋田市電で使われていた車両だそう(実際には交換された部分・部品が多いはずで、書類上そうだというだけかもしれないけど)。
貴志駅では、たまの負担にならないよう、曜日限定で専用の部屋の中に入った状態での公開が多かったそうだが、イベントでマイクを向けられると「にゃあ」とあいさつ(?)するなど、堂々とした駅長ぶりだった。
鉄道の経営改善のみならず、11億円の経済波及効果があるとの研究もあり、生前、最終的には「社長代理」にまで昇進した。
貴志駅には“後継者”もいるそうだし、全国各地でネコ駅長のたぐいがいるけれど、そのきっかけがたまだった。
次はローカル。秋田市大森山動物園のカリフォルニアアシカの「スミコ」。
1987年に神戸市立王子動物園で生まれ、翌年に大森山に来た。
野生のアシカで20年以上生きる個体はまれ、飼育下では31歳が最高齢記録だそうで、27歳は大往生だったのだろう。
スミコさんが20歳を過ぎてから数度、お会いしたことがあった。
(再掲)2008年、21歳のスミコさん
11歳年下のオスの「マヤ」はプールを泳いだり、飼育員や入園者に愛想をしていたが、スミコさんはいつも、陸上のねぐらの穴の中から頭だけ出してキョロキョロしていた。
個体差(性格)なのか、メスだからなのか、それとも高齢のためかと思っていたが、大森山動物園の広報紙によれば、高齢になってもたまに泳ぐことはあったそうだけど、性格はドライだったとか。
4頭を出産し、最後の子がマヤとの間に生まれた娘「ナナミ」。
ナナミは、愛媛県立とべ動物園に移され、ジャンプ力と人懐っこさで人気だそうだけど、それは大森山の環境とスミコさんの子育てのおかげに違いない。
スミコさんの死後しばらく、マヤ1頭で過ごしてきたが、12月にとべ動物園から11歳のメス「アイラ」が来た。
アシカの生態からすれば、オス1頭に複数のメスが同居するハーレムが本来の姿のはずだけど、広いとは言えない大森山のアシカプールでは、雌雄1つがいが限度なのだろう。
そういえば、秋田市大森山動物園には、いつの頃からか「ミルヴェ」という愛称があった。秋田弁で「見ましょう」という意味。
2004年に秋田駅東口にできた「アルヴェ」に便乗した命名(「あるでしょう」という意味のほか、七夕のアルタイルとヴェガに掛けている)だから、ここ10年ほどか。
「ミルヴェ」はさほど定着していないと思うし、個人的には好きではない命名。
同じ便乗命名でも、男鹿市商工会館の「オガルベ」はなんか好き。秋田弁で「(身長、髪、植物などが)伸びる、成長する」といった意味の「おがる」と、「男鹿」を掛けている。
と思っていたら、球技場や図書館で気を良くした秋田市は、動物園にもネーミングライツ(命名権売却)を実施。
来春から3年間、年額450万円で秋田銀行による「大森山動物園~あきぎんオモリンの森~」となった。
オモリンとは、従来からいた動物園のイメージキャラクターだが、認知度は高くないはず。
「ミルヴェ」はどこに行ったの? どっちみち「大森山動物園」と呼び続けられることでしょう。
2004年に秋田駅東口にできた「アルヴェ」に便乗した命名(「あるでしょう」という意味のほか、七夕のアルタイルとヴェガに掛けている)だから、ここ10年ほどか。
「ミルヴェ」はさほど定着していないと思うし、個人的には好きではない命名。
同じ便乗命名でも、男鹿市商工会館の「オガルベ」はなんか好き。秋田弁で「(身長、髪、植物などが)伸びる、成長する」といった意味の「おがる」と、「男鹿」を掛けている。
と思っていたら、球技場や図書館で気を良くした秋田市は、動物園にもネーミングライツ(命名権売却)を実施。
来春から3年間、年額450万円で秋田銀行による「大森山動物園~あきぎんオモリンの森~」となった。
オモリンとは、従来からいた動物園のイメージキャラクターだが、認知度は高くないはず。
「ミルヴェ」はどこに行ったの? どっちみち「大森山動物園」と呼び続けられることでしょう。
最後は、今年話題になった動物。
春頃から、名古屋市の東山動植物園の19歳のオスのゴリラ「シャバーニ」が“イケメン”だとして注目された。写真集まで出版されたそうだ。
日本でゴリラを飼育する施設は少ないから見慣れない動物だし、ゴリラなんてどれも同じじゃ…と思ったものの、以前東山動植物園に行った時(過去の記事ではゴリラは出てきません)の記憶がよみがえった。
たしかに、ゴリラがいた。屋内で夫婦で食事中で、1頭がガラスの近くにいてこちらを一瞥して目が合った(ような気がした)。もう1頭は、奥のほうでこちらを向いて悠々と構えていた。ただ食事しているだけなのに、存在感というか迫力はあった。
映り込みで写りが悪いが、写真があった。
2009年 東山動植物園にて
名札には、
「シャバーニ」の名が!
当時、メスのネネが体重82キロ、シャバーニが190キロとあり、写真を見ると奥の個体のほうが大柄だから、そちらがシャバーニだと思われる。
ピントが合っていないですが
東山には、この他の個体もいて、公開日が交代制になっており、東山に行っても必ずシャバーニを見られるわけではないらしいが、知らずに運良くシャバーニに会っていたのだった!
名札に表示がある通り、正確な種名(亜種名)は「ニシローランドゴリラ」。
イケメンゴリラを取り上げる多くのサイトでは単に「ゴリラ」で済ませてしまっている。
また、東山動植物園側も、(ゴリラ以外も含めて全般に)積極的には宣伝をしないらしく、詳しい情報が分からない。(大森山のほうがずっと宣伝は上手だ。東山はせっかくハード面はいいものが揃っているのにもったいない。)
「イケメンだ」「かっこいい」と話題にするものいいし、それが興味を持つきっかけになるのだろうけれど、もう少し、学術的にというか多角的にというか、一過性のうわべだけでない情報や知識を広めることも必要だと思う。
3匹(頭)の動物たちを紹介したけれど、これ以外にもたくさんの動物たちが、人間といろいろな形で関わってくれている。多くの動物が(人間も)、幸せに過ごせるようになってほしいものです。
多分に絵心のある飼育員の手作りだと思うのですが
こういう地味な努力が大森山動物園の持ち味なのかも知れません。
以前パンダ誘致?が話題になった時期があったと思いますがそんなコストがかかる動物より
可愛いので人気のあるカワウソをぜひ多頭飼育して欲しいなあと。
コツメカワウソなら欧米では個人で飼育している話もありますし
盛岡動物園でも飼育しているのでぜひ大森山動物園も。
タイトルの「かわうその自転車屋さん」。結構人気がある漫画のようです。
美短→美大も協力していますが、上手い下手とは別の、日頃接している人でないと作れないものでしょう。
僕もパンダはいらないと思います。
費用をかけるのなら、アシカプール拡大とか既存施設の充実に充ててほしいです。
コツメカワウソは、少々場違いな気もする安芸の宮島の水族館にもいました。ちょうど餌やり時間だったのですが、たしかにとてもかわいらしかったです。
ビーバーとかもそうですが、水辺の哺乳類ってどこか愛嬌があり、生態もおもしろく、展示方法次第では売り物できそうです。
「かわうその自転車屋さん」名前だけは聞いたことがあります。