🌸トッド理論のあらましを知る2
⛳遺産相続が示す兄弟間の平等・不平等
☆トッドの家族人類学理論の勘どころ
*家族の分類としては核家族と大家族が区別ポイントだった
*トッドは、兄弟間の遺産相続という問題に注目して、
*兄弟の平等・不平等というパラメータを配した点
*結果決定的にちがう家族システムが現れてきた
☆トッドは、四つの類型に整理しました
①親子関係が「権威主義的」か「非権威主義的」か
*「子どもが結婚後にも同居」か「結婚後は別居」の変数
➁兄弟関係が遺産相続で「平等」か「不平等」か媒介変数を加えて
*この二つの変数をX軸Y軸に配すると
*似たものどうしに見える家族四つに分類される
⛳家族類型とイデオロギーには相関関係がある
☆四類型の分布世界地図
*イデオロギー分布地図とを重ね合わせると
*トッドは「家族類型とイデオロギーは相関関係がある」のを発見した
☆四類型は、これに外婚制/内婚制、イトコ婚の禁止/許可の
*パラメータが加わることでもう少し複雑になる
① 絶対核家族「イングランド・アメリカ型」
*結婚した男子は親とは同居せず別居して別の核家族を構成する
*親の権威は永続的ではなく、親子関係も権威主義的ではない
*子どもは独立する傾向にあり、親はあまりこれに干渉しない
*親の財産は、兄弟のなかの誰か一人に相続される
*それが誰かははっきりとは決められていない
*子どもの早期の独立が奨励されますから教育には不熱心
☆女性の地位は比較的高く、女性識字率も高く出る
*女性識字率は高く、出産調整の開始も比較的早い
☆【主要地域】イングランド オランダ デンマーク アメリカ合衆国 等
☆【イデオロギー】自由主義 資本主義、二大政党、小さな政府、株主資本主義
② 平等主義核家族「フランス・スペイン型」
*核家族が原則で、子どもは早くから独立傾向を示す
*結婚後に親と同居することはない
*親の権威は永続的でなく非権威主義前
*この点はイングランド型と同じ
*兄弟間、とくに遺産相続が完全に平等である
*遺産は正確に均等に分割される
*識字率は低く出て、教育への関心も低い
*家庭内の女性の地位は直系家族や絶対核家族に比べると低い
☆【主要地域】フランスのパリ盆地一帯 スペイン中部 ポルトガル南西部 等
☆【イデオロギー】共和主義 無政府主義、小党分立、大きな政府
③直系家族「ドイツ・日本型」
*結婚した子どもの一人と両親が同居するのが原則
*親の権威は永続的で、親子関係は権威主義的です
*兄弟間は不平等で、財産はそのなかの一人のみに相続される
*次男以下と女子は相続に預かれないか、
*財産分与を受けて、結婚後は家を出る
*長男の嫁は、未婚の兄弟姉妹に権威を持つ
*識字率、とくに女性の識字率は高く、教育熱心
☆【主要地域】ドイツ 、オーストリア 、韓国 、北朝鮮、 日本等
☆【イデオロギー】自民族中心主義 社会民主主義、ファシズム
*政権交代の少ない二大政党制、土地本位制、会社資本主義
④ 外婚制共同体家族「ロシア・中国型」
*男子は長男、次男以下の区別なく、結婚後も両親と同居する
*父親の権威は強く、兄弟たちは結婚後もその権威に従う
*父親の死後は、財産は完全に兄弟同上で平等に分割され
*兄弟はこのときにそれぞれ独立した家を構える
*父親の強い権威と兄弟間の平等が
*ロシア・中国型の共産主義、 マルクス主義を生んだ
*家庭内における女性の地位も低い
*兄弟の完全平等要素も姉妹を排除することで成り立つ
*女性の識字率は低く出て、教育への関心も低い
*【主要地域】ロシア 中国 フィンランド 等
*【イデオロギー】スターリン型共産主義、 一党独裁型資本主義
「少子高齢化」「識字率」「四類型」
(『読み解く世界史の深層』記事より画像引用)
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