★NHK「平清盛」。
主役の松山ケンイチが出てから、何かガクッと来た。
NHKというのは伝統的にキャスティングがヘタだな。
その例外は渡辺謙と(宮崎あおい)だが、あとは役者不足というか器量不足。
宮本武蔵の市川海老蔵は当初期待したが、回を追うごとに薄っぺらな感じになったのは、海老蔵の中身の無さから来るものだったことが、例の泥酔事件で立証された。
前回の江姫の主役女優もひどかったが、あれは本人の問題というより、致命的なキャスティングミス。それに加えて、脚本が滅茶苦茶。篤姫と同じ女性脚本家だったが、完成度に雲泥の差があったのは、片や余り知られていない幕末大奥の歴史秘話と、誰もが知っている豊臣、徳川時代の歴史性の理解の差だったのか。
平たく言えば、「江姫」は少女マンガの世界だった。
さて話を戻す。松山ケンイチを見ていると、小泉チルドレンの杉村太蔵そっくりだから笑ってしまうし、その父親役の中井貴一も迫力が無いから魅力に欠ける。
平安の貴族政治の中で、武力勢力が台頭し平氏が武士の棟梁になった訳だが、その実態は武士といっても山賊ゴロツキと余り変わらず、江戸時代のエリート武士とは似ても似つかぬものだった。そういう治安の悪い世相において、コワモテの武士団を束ねる棟梁が銀行員風の中井貴一では決してあるまい。
次に、平清盛の中で、天皇を「王家」と呼んでいることに違和感がある。
王というものは「皇帝」に仕える有力豪族であり、徳川慶喜などは幕末、フランス、英国などから「王、KING」と呼ばれ、「天皇emperor」とは区別されていた。
そもそも源氏、徳川家などの歴代幕府の最高権力者の官職は征夷大将軍という天皇に任命される将軍家であり、その名の通り、夷を征伐する軍事指揮官であり、天皇の臣下にしか過ぎなかった。
時代考証を行ったのは東大准教授の本郷和人だという。本郷は「王家」を使った理由について、「当時、天皇イコール王だったから」。
おいおい、歴史学説の主流は天皇であり、平安時代には天皇を帝(みかど)と呼ぶのが慣わしであり、広義には「朝廷」と呼んだ。
NHKもダメだが、この本郷という輩も勉強不足だな。
(ムラマサ、鋭く斬る)