★宮尾登美子。
昨年の暮れ、宮尾さんが亡くなられた。88歳の老衰死とは。
戦前、若いときに開拓団に加わり満州に渡った。敗戦により流浪のごとく満州を追われ、日本にたどり着き故郷を目指したが、その姿形はムシロを身体に巻いて歩いたと、後に吐露されていた。そうであれば、口に入るものは川の水、まさに乞食同然の生き様であったろうとは想像に難くない。
しかし、小説家として成功されてからは、着物姿にほのかな色香が匂い、品の良さが滲み出ていたのは、生来の人徳から生じるものであったろう。
実は、個人的には宮尾登美子ファンであり、単行本はすべて揃えて、書棚に飾っている。その中の幾冊かには、流麗とした墨筆のサインを入れて頂き、宝物としている。
「篤姫」「序の舞」「藏」「きのね」などが個人的には大好きで、宮尾ファンがそうであるように、運命に翻弄されながらも高い志を持って生きる女の一生とか、日本の伝統楽器や絵画の芸の道を究める女の内面を描き切った宮尾文学に、すこぶる魅力があったことは言をまたない。
ご冥福をお祈り申し上げます。
★フランスの移民政策。
昨晩、古館の報道ステを観ていたら、古館が面白い事を言っていた。
2005年頃のフランスの移民政策は、移民(アフリカ系)にお金を支給する為に、ある広場にレンガを積ませる、完成すると壊す、また同じように積む、そしてまた壊す、まるで賽の河原のような「仕事」をやらせていたという。
あたかも労働をさせるかのような無意味な徒労、それは仕事ではなく、拷問のような罰ゲームであったろう。
それでカネを貰っても、誰が喜んで続けようとするのか。
文化大国のような顔をしていても、所詮は大国のエゴなんですね。
(じゅうめい)