歴歩

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飯塚市・山王山古墳 石室に装飾を確認、馬具も出土

2010年06月10日 | Weblog
 飯塚市教委は9日、同市西徳前の山王山古墳の横穴式石室から円形に描かれた装飾が見つかり、装飾古墳であることがわかったと発表した。存在は江戸時代から知られていたが、これまで詳しく調査していなかった。
 市教委によると、市内で装飾が確認されたのは川島古墳、城腰横穴墓に続いて3例目。
 山王山古墳は直径約18mの円墳で、石室は前室と後室で構成されている。このうち、後室は高さと奥行きが2・4m、幅2・2mで、室内の壁面には直径約15cmの円形模様が14個あり、硬い物体で突くようにして描く「敲打(こうだ)技法」で模様を描いたとみている。この技法は有明海沿岸や筑後川流域の古墳で確認されているが、遠賀川流域では初めて見つかった。室内からはガラス玉や金銀の耳環、馬具なども出土した。古墳時代後期(6世紀末~7世紀)の有力者の墓とみられるという。
 現地説明会が12日午前10時~午後1時に開かれる。出土した馬具やガラス玉など約30点を展示し、調査に当たった職員が解説する。飯塚市横田の飯塚第2体育館駐車場集合。古墳は14日以降に埋め戻す。
[参考:西日本新聞、毎日新聞]

過去の関連ニュース・情報
  飯塚市・川島古墳群5号墳 6世紀後半築造の横穴式石室が見つかる



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京都府京丹波町・井脇城跡 「曲輪」跡の土塁が見つかる?

2010年06月10日 | Weblog
 府埋蔵文化財調査研究センターは9日、井脇城跡(船井郡京丹波町井脇井壁谷)で土塁や室町時代後期の土器の一部が見つかったと発表した。周囲に土塁がめぐる曲輪の全容が明らかになるとしている。
 丹波綾部道路の建設に伴い、昨年度から調査を実施していた。標高約300mの城跡の中心部から東側の3地区を調査。そのうち最も南側の地区(約1400㎡)に人為的に作られた南北16m、東西18mの平坦地があり、西側の縁にコの字形の土塁(高さ約80cm、最大幅2・5m)が見つかった。また、東側斜面から室町時代後期(16世紀前半)の土器のすり鉢の一部が出土。この平坦地は見晴らしもよい場所であることから、「曲輪」であったとみられる。
 今回の調査で室町時代後期の築城とみられる。近くの三宮地域には山内一豊の祖父、久豊の居城跡もあり、井脇城やその周辺の山城は三宮を守るための見張りなどが置かれた施設であった可能性があるという。
 現地説明会が12日(土)午後2~3時に開かれる。集合場所は井脇公民館。
[参考:毎日新聞、京都府埋蔵文化財調査研究センターHP]



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大津市・真野廃寺跡 白鳳期の特殊形式の瓦窯を発掘

2010年06月10日 | Weblog
 大津市教委が9日、道路建設に伴い昨年12月から約800㎡を初めて発掘調査していた真野廃寺跡(同市真野一丁目・三丁目)で、白鳳時代(7世紀後半)に瓦を焼いた窯跡が見つかったと発表した。「登り窯」と「平窯」の要素を兼ね備えた珍しい形式の窯で、堂舎に葺く瓦の工房だったとみられる。登り窯から平窯に変遷したとされる瓦窯(がよう)の歴史を探るうえで貴重な発見であり、近くに古代の有力豪族が建てたとされる真野廃寺があったことを裏付ける資料になるとしている。また、古墳時代後期の古墳2基が見つかった。
 真野廃寺は、窯跡から北200m付近で南北方向を向き、柱を支えた巨大な礎石が見つかっており、6世紀中頃から7世紀前半にかけての白鳳時代の大規模な寺院跡として知られているが、文献に記載がなく、堂舎の配置など実態は不明だがこれまで本格的な調査は行われていなかった。
 窯跡は全長約7m、幅約1・4m、高低差2mで、寺の中枢部の推定地から南約200mで見つかった。6世紀初めの円墳(直径約17m)の傾斜を利用して構築。「焚き口」を墳丘の裾に築き、墳丘の斜面をトンネル状に掘って瓦の焼成部を造っていたが、焼成部の奥は天井部分が粘土や瓦で作られており、途中で突き抜けて地上に口が開いた平窯の形式で、屋根などを別に備えたらしい。
 壁面の裏込めとして積まれた瓦には、白鳳期の特徴である格子目の模様があったが、この窯で焼かれた瓦かどうかは不明。また、検出した瓦の大半は平瓦や丸瓦で、文様から制作年代や特色を探りやすい軒丸瓦などは出土していない。
 また、窯跡の約30m北には、南北に並ぶ古墳時代後期の円墳2基(直径約17mと26m)が見つかった。6世紀初め頃の円墳と見られており、このうち直径26mの円墳からは木棺(長さ3・6m、幅約1m)に塗られた朱色のベンガラ跡や、刀と見られる鉄製品(長さ約70cm)、20個以上のガラス玉などの副葬品が見つかった。
 ほかに弥生時代の土器や碧玉製の管玉、古墳時代の土坑墓とみられる跡、鎌倉時代の集落の溝も出土した。
 現地説明会は12日午後1時半に開かれる。
[参考:読売新聞、BBCびわ湖放送、NHK滋賀、毎日新聞、中日新聞、朝日新聞]


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