10日~12日、さいたまスーパーアリーナを会場にNew Education Expo 2006 in SAITAMAというイベントが開かれていた。英語教育・情報教育に関係あるセミナーがあったので、勉強に出かけてきた。この中で、県内のSELHiに指定された3高校の計画・実施状況の発表があり、発表に対して感じたことを書こうと思う。
今回僕は若干批判的である。
発表は、南稜、伊奈学園、春日部女子各高校のSELHi担当の先生方からあった。
南稜に関しては前回ブログにもいろいろ書いた(2006.10.21「SELHi, NANRYO Upper Secondary School」)ので省略する。
伊奈学園総合高校は、ネゴシエーション能力の育成という観点からの授業展開改善、計画の進捗状況の報告があった。同校は平成17年度入学生全員を対象にこのプロジェクトを動かしていて、今年が2年目。2年次以降にOral Communication IIを履修する生徒が、卒業時どのようなネゴシエーション能力を身につけることになるのか。これは英語力の問題と言うよりも、理論的な思考力などを含め、母語の力の育成と不可分なことだろうと思う。どのような形になるのか、勤務校の比較的近所の学校なので、来年度是非見学などに行きたいものだと思った。
春日部女子高校は、今回が公の場において初の状況報告になる。僕はこの学校の実施計画が文部科学省のウェブサイトに4月に掲載されてから、非常に興味を持っていた。今年度埼玉県でSELHiに新規指定された学校は以下の3校である。学校名と研究課題は以下のとおり。並び順は文科省資料による。
【埼玉県立蕨高等学校】
日々の授業における、大学でも社会でも通用する高い英語力の育成のための指導方法の研究開発-ネイティブの英語とわたりあえるリーディング力・リスニング力の育成-
【埼玉県立松山女子高等学校】
国際的な視野を持ち、国際社会に貢献できる人材を育成するため、実践的コミュニケーションの手段としての英語運用能力を身に付けさせるための指導方法の研究開発
【埼玉県立春日部女子高等学校】
中高英語のギャップを埋め、生徒のモチベーションを高める英語基礎力指導についての研究-中高間の効果的ブリッジ指導について-
最初にこの研究課題を見た時、正直に言って、これはSELHiに指定される学校の研究課題なのと感じたことを覚えている。今回この点に注目をしてセミナーに参加したのだが、やはり疑問符が取れなかった。
発表を聞き、僕の頭で理解できたことは、同校のSELHi指定は…同校は外国語科設置校であるのに…対象学科(生徒)が、普通科(生徒)の教育実践であること。生徒の英語学習観(英語学習へのNeedsやWants)の検証、中高の英語学習の違いから来る生徒の学習上の躓き、とそれ対応するための授業改善であること。
SELHiだから、外国語科を核にしなければならないとはいわない。でも、外国語学科(生徒)が指定外というのもかなり不思議な感じである。また、中高英語のギャップを埋めて、スムーズな高校英語への導入がテーマでは、普通の学校か、ちょっと勉強が苦手な生徒が多めにいる学校である。同校は旧制女学校の伝統を引き継ぐ、間違えても普通の学校ではない。同じ県立高等学校の教師として、同校がなかなか現在では、ぶっちりちといえるほどの進学実績を残すことが出来ない場合もあることは、充分わかっているつもりである。発表者は本音の部分をはっきり言わなかったが、同校でも同一学年内で英語力(学力、モチベーション)にかなりの差が存在することは間違いないだろう。その改善をめざす意義もわかるし、必要だとも思う。でも、これはSELHiの研究テーマで全面に出てくるようなものではないだろうと感じた。埼玉県には県立高校進学指導アドバンスプランというものがある。読んで字のごとくの研究なのだが、実態としては英語を核に学習にてこ入れと言われるような印象だった。
…現に僕もそう感じている。
『英語が使える』の意味が、何か『読めて、意味がわかり』に収斂しているような印象だった。
3年後にどんなものになっているのか、興味深い。出来ればこのブログに僕が書いたことを蹴散らすようなスゴイ研究成果が実ればいいのだが。
さあ、後は蕨高校・松山女子高校の発表を待つのみだ。