株式交付による譲受けの対象となる株式交付子会社の株式が譲渡制限株式であるときは,譲渡承認手続により譲渡人以外の株式交付子会社の株主の保護が図られるものとされている(竹林俊憲編著「一問一答 令和元年改正会社法」(商事法務)211頁)。
株式交付による株式譲渡は,実質的には有償の株式譲渡であることから,原則どおり譲渡承認手続(会社法第136条以下)を経ることになるのである。
なお,株式交付子会社が株券発行会社である場合には,効力発生時に株式交付子会社の株式に係る株券の授受が必要である(会社法第128条第1項本文)。
ところで,株式会社の事前の承認なしにされた譲渡制限株式の譲渡は,株式会社に対する関係では効力を生じないが,譲渡当事者間では有効である(最判昭和48年6月15日民集27巻6号700頁)と解されているが,株式交付親会社が効力発生日後に株式交付子会社に対して譲渡承認手続をとったところ,株式交付子会社がこれを承認しない旨の決定(会社法第139条第1項)をしたときは,どうなるのか。
基本的には,株式交付は有効に成立したことを前提として,株式交付親会社は,株式交付子会社又は指定買取人による買取り(会社法第140条)に対応していくことになるであろう。とはいえ,株式交付親会社にとって,好ましい事態とはいえない。
あるいは,株式交付親会社と譲渡人との個別の契約において,「譲渡承認を得られないときは,株式譲渡を解除する」旨の約定がある場合には,株式譲渡は個別に解除されることになる。このような場合,株式交付子会社は,全ての株式譲渡を承認しないであろうから,全ての株式譲渡が解除され,結果として株式交付計画において定めた下限(会社法第774条の3第1項第2号)の数に満たないこととなり,株式交付全体の無効事由になると考えられる(会社法第774条の11第5項第3号)。
この場合,株式会社の株式交付の無効は,訴えをもってのみ主張することができる(会社法第828条第1項第13号)。
よって,敵対的株式交付である等により,譲渡承認を得られるかが確実でないときは,株式交付親会社は,株式交付による変更の登記の申請を留保して,譲渡承認請求(会社法第137条)を行い,万一承認が得られない場合には,株式交付全体が無効であるとして,株式交付により形成された関係を解消するということになるであろう。この場合には,上記株式交付の無効の訴えによらないこともできそうであるが,法律関係の早期安定や画一的処理を図る観点からは,無効判決を得るのが相当であるのはもちろんである。
というわけで,株式交付の効力発生日前に,譲渡人から株式交付子会社に対して株式の譲渡に係る承認の請求(会社法第136条)をして,承認を得ておくのが望ましいと考えられる。
株式交付による株式譲渡は,実質的には有償の株式譲渡であることから,原則どおり譲渡承認手続(会社法第136条以下)を経ることになるのである。
なお,株式交付子会社が株券発行会社である場合には,効力発生時に株式交付子会社の株式に係る株券の授受が必要である(会社法第128条第1項本文)。
ところで,株式会社の事前の承認なしにされた譲渡制限株式の譲渡は,株式会社に対する関係では効力を生じないが,譲渡当事者間では有効である(最判昭和48年6月15日民集27巻6号700頁)と解されているが,株式交付親会社が効力発生日後に株式交付子会社に対して譲渡承認手続をとったところ,株式交付子会社がこれを承認しない旨の決定(会社法第139条第1項)をしたときは,どうなるのか。
基本的には,株式交付は有効に成立したことを前提として,株式交付親会社は,株式交付子会社又は指定買取人による買取り(会社法第140条)に対応していくことになるであろう。とはいえ,株式交付親会社にとって,好ましい事態とはいえない。
あるいは,株式交付親会社と譲渡人との個別の契約において,「譲渡承認を得られないときは,株式譲渡を解除する」旨の約定がある場合には,株式譲渡は個別に解除されることになる。このような場合,株式交付子会社は,全ての株式譲渡を承認しないであろうから,全ての株式譲渡が解除され,結果として株式交付計画において定めた下限(会社法第774条の3第1項第2号)の数に満たないこととなり,株式交付全体の無効事由になると考えられる(会社法第774条の11第5項第3号)。
この場合,株式会社の株式交付の無効は,訴えをもってのみ主張することができる(会社法第828条第1項第13号)。
よって,敵対的株式交付である等により,譲渡承認を得られるかが確実でないときは,株式交付親会社は,株式交付による変更の登記の申請を留保して,譲渡承認請求(会社法第137条)を行い,万一承認が得られない場合には,株式交付全体が無効であるとして,株式交付により形成された関係を解消するということになるであろう。この場合には,上記株式交付の無効の訴えによらないこともできそうであるが,法律関係の早期安定や画一的処理を図る観点からは,無効判決を得るのが相当であるのはもちろんである。
というわけで,株式交付の効力発生日前に,譲渡人から株式交付子会社に対して株式の譲渡に係る承認の請求(会社法第136条)をして,承認を得ておくのが望ましいと考えられる。