久しぶりに たわいもないような 肩の凝らない ものを
仕事がら 古い手書き文書にお目にかかる ということもあり
四苦八苦しながら なんとかかんとか 意を探る などということもあります
なぜか そうした折に
どういう加減なのか
明治の大家さんの本を眺めたくなったりして・・・
久しぶりに 一葉さまの 【大つごもり】を手にしたので・・・
リバイバル 編集記事で ゴメンコウムリマス
[・・・よき事には大旦那が甘い方ゆえ、少しのほまちは無き事も有るまじ、
厭やに成ったら私しの所まで端書一枚・・・・]
2003年に手に入れなおした岩波文庫版
独特の味があるなあ 明治の文(もちろん その当時そのものの表記
というわけにはいかないが・・・第一 自分には読めないだろう)
なんて思いながら 読み始めて
“ ン なんか ひっかかっているな ・・・そうか あのときの
あの言葉 ”
ほまち
主人に内密で家族・使用人が開墾した田畑、また、たく
わえた金
役得
へそくり
個人の所有となる臨時収入
20歳代 公務員であった頃 ある夜 勤務を終えて帰ろうと
役所の外塀を曲がろうとするとき
闇から 若い? 男の声
“どうです ほまち なんですが どうです・・・ ほまち ”
とかなんとか そうか もしや
彼はあの時 ほまち
と言ったのでは・・・
あきらかに 独り者の役所勤め男の帰りを待ち伏せていたようなシーン
カードか写真か よくわからなかったが そのようなものを片手にチラツカセ
こちらの気を誘っていました
闇の中で男に勧めるもの たぶん あのてのもの ? だったのでしょう か・・・
そんなところで お硬い実務参考書はセールスしないでしょうから
わたしも まだまだ初心(うぶ)でしたね
“ こんな寒い 暗い場所で しかもヒソヒソ声で 変わったセールスなんだな
もっとハッキリ 売り物を眺めさせてくれればいいのに ”
なんてことを心の中で呟いていたのでした
想像ですが 小遣いに困っていたのか 親分への上納金が足りなかったのか
惚れた娘さんとの駆け落ち代をつくろうとしていたのか・・・
まだ 雪道だったかもしれません いかにも薄い 大きめの背広だけで
寒かっただろうなあー
とにかく お金が要だったんでしょうね
相手が悪すぎました よりによって野暮な貧乏書生に
もっと機転を利かして察してあげればよかったのだけれど・・・・なにしろ
わたしときたら 30年以上後に ァ そうだったのかな
ですもんね
ゴメンナサイね オア兄さん
そういえば オア兄さんの その場からの去り台詞
『どうしょうもない 世知らず男め』 という感じだったなアー
でも わからないな 素人の男さんだったかも
遠い昔の記憶が ひょっこり と 登場しました
ありませんか 皆さんにも
ん十年来の ?
それにしても
いい題ですね
大つごもり
これだけで 小さな文机と一葉さん と 明治の巷が浮かんできそうな・・・
他にも とても素敵なタイトル ありますね
私のお気に入りを 二つ
≪ 私 鉄 沿 線 ≫
ある歌謡曲の題
この4文字 だけで 絵になりそう
街並と 巷の人々の声 と 遠く汽笛が聞こえて きそうな
≪ 中 世 の 秋 ≫
20世紀最高といわれる歴史家
ホイジンガの傑作
4文字 だけで
幽かな灰色の大気
騎士に降りかかる落ち葉を感じます
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