「まんが 哲学入門 生きるって何だろう?」 森岡正博+寺田にゃんこふ著
講談社現代新書 780円+税
著者の森岡さんは、大阪府立大学教授。
1958年の生まれ。
生命学、生命哲学を専門としている学者。
今回のチャレンジャブルな試みは、新書でしか実現できなかったオリジナリティあふれる作品です。
森岡さんの書かれたマンガの原画をもとに、新書版の85%を漫画で構成するというもの。
あとがきで書かれているように、哲学と漫画の親和性というものは確かにあると思います。
ストーリーと絵で難解なテーゼを解き明かす・・・著者の落としどころがしっかりと伝わってきます。
テーマは哲学。
しかも、かなりディープな重たいテーマを扱います。
目次
第1章 時間論
第2章 存在論
第3章 「私」とは
第4章 生命論
難解な哲学的問題を、ポップな漫画でコミカルに描いていきます。
哲学者の名前や理論の話も、可能な限り絵解きしていくという努力のあとが随所に見られます。
ハイデカー、ウィトゲンシュタイン、ニーチェ、サルトル的な思想的背景がうまくまとめられています。
「哲学する」とは、どういうことか、この一冊でつかめることができると思います。
中高生が読んで良いと思いますし、今から哲学科を目指す学生にも必読な著作だと思います・・・。
だだし、哲学科は就職ないですよ~。
大人の絵本として、一度立ち止まって哲学的に考える機会をあたえてもらえる本。
・・・そういったポジショニングでしょうか?
意外と面白かったのが、巻末の「読書案内」。
1.哲学者の書いた哲学入門書
2.哲学史についての入門書
3.読み物のように読める哲学書
4.ちょっと難しい哲学書
ユニークな哲学者としての視点からチョイスされた哲学書の紹介は、なかなか興味深く楽しむことができました。
最後に、
サブタイトルにある「生きるってどういうこと?」に対するアンサー・・・
私は、生まれてきて本当に良かったと、心の底から思えるようになるために生きる・・・
まさに、そのとおりだと思います。
これが人生か?
それならば、もう一度!