能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

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ランボー あんな男、ちょっといない 砂漠の商人に転身した天才詩人 サントリー「ローヤル」CF

2013年08月04日 | 本と雑誌

書斎のデスクの奥から、一冊の本が出てきました。

「ランボー詩集」


堀口大學訳、新潮文庫から出されている一冊。

おそらく高校時代に買ったものだと思います。

難解ながら、どことなく魅了されるランボーの詩。


アルチュール・ランボー(1854~1891)は、フランスに生まれ、小さなときから秀才。

15歳から詩作をはじめ19歳で創作活動を止めます。

そう、天才詩人ランボーは10代後半しか詩を創っていないのです。

その後、欧州を放浪、そしてアフリカに渡り砂漠の商人となります。

なかなかの商才があったらしく、王室御用商人になって一財産を作った翌年、大病を患い、片足を切断。37歳の時に生涯を閉じます。


そのあとに続く、タダイズム、シュールレアリズム、実存主義に多大な影響を与えます。

凡人の自分としては、天才詩人の世界に入りきれず、でも、その言葉の魔法に惹き込まれていったことを覚えています。


そんな中、出てきたコマーシャルフィルム。

サントリー「ローヤル」のCFです。

マーク・ゴールドバーグの音楽に合わせて展開されるシュールな世界。

たちまち虜になりました。

そこで入るナレーションのコピーは、ランボーの全てを語りつくしていました。

 

その詩人は底知れぬ渇きを抱えて放浪を繰り返した

限りない無邪気さから生まれた詩

世界中の詩人達が青ざめたその頃

彼は砂漠の商人

詩なんかよりうまい酒をなどとおっしゃる

永遠の詩人ランボー

あんな男・・・・・・ちょっといない。


http://www.youtube.com/watch?v=hy-z421FwGQ

(ユーチューブで当時のフィルムを発見しました)


1982年に放映されたこのコマーシャルフィルム。

芸術作品です。

まさに広告界の金字塔だと考えています。

ランボー編の後、アントニオ・ガウディ編(こちらも優れた秀作です)、李白編があったように記憶しています。

当時は、バブル前・・・サントリー宣伝部の時代を切り取る切り口の鋭さ、無謀にもランボーを取り上げた勇気・・・スタンディングオベーションです。

なぜ、今、ここまで踏み込んだCFが出てて来ないのでしょう?

残念でなりません。


この作品は、自分自身、その後、広告業界を目指した起点となったようにも思います。

ランボー詩集は、わずか157ページ。

初期詩編、後期詩編、地獄の一季、イリュミナシオンから構成されています。


代表作の「地獄の一季」、次の世代に大きな影響を与えた「イリュミナシオン」・・・。

哲学者ウィトゲンシュタインが「語りえぬものの前では沈黙」と吐き捨て一時哲学の世界を去ったように、

ランボーも詩作からエスケープしていきます。


ランボーの詩で最も愛すべき詩「永遠」から・・・・・・

 

永遠


もう一度探し出したぞ。

何を?永遠を。

それは、太陽とつがった

海だ。

 

待ち受けている魂よ、

いっしょにつぶやこうよ、

空しい夜と烈火の昼の

切ない思いを。

 

人間的な願望から

人並みのあこがれから、

魂よ、つまりお前は脱却し、

そして自由を飛ぶという・・・。

 

絶対に希望はないぞ、

希いの筋もゆるされぬ。

学問と我慢がやっと許してもらえるだけで・・・。

刑罰だけが確実で。

 

熱き血潮のやわ肌よ、

そなたの情熱によってのみ

義務も苦もなく

激昂ぶるよ。

 

もう一度探し出したぞ。

何を?永遠を。

それは、太陽とつがった

海だ。

 

ウイスキーとランボー。

なんでこんなに合うのでしょうか?

琥珀色の液体を見るたびに、ランボーの世界に惹き込まれていきます。


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