日経ビジネス2013.8.12号の特集は、「ロボット vs 職人社長」。
サブタイトルが、「30年後、消える仕事・残る仕事」。
IT化、コンピュータ化、ロボット化の波は、まさに現代の産業革命・・・いやはや大変な時代になってきました。
昔であれば、ラッダイト運動(機械打ちこわし運動)やストライキなどの抵抗の手段がありましたが、
いまは会社側の「ファイア!(クビ!)」の一言でジ・エンドの時代です。
わたしが広告代理店に新卒で入社した頃、タイプ室というのがありました。
お客さんに提出する請求書や文書を、タイピストが写植のように一字一字拾ってきて組み合わせて印字するという職人芸。
年配の女性が担当しており、先輩のパシリとしてタイプ室に頻繁に出入りしていた私をかわいがっていただきました。
当時は、富士通オアシスのワープロが出始めた頃、しかも親指シフトというガラパゴス的シロモノ。
コンピュータは、メインフレームがあり、IBMのPL-1という言語で動いていました。
タイプ室のこの女性。
自分の仕事がなくなるという危機感の中、空き時間を見つけてはオアシスのマスターに取り組んでいました。
その真摯さ、真剣さに「自分の仕事」という概念を強く意識したことを覚えています。
今回の日経ビジネス誌は、五人の職人と五台のコンピュータが戦うというもの。
「人間」代表は、一風堂の創業者、星野リゾート社長、投資家ジム・ロジャース、宮大工、そしてジャパネット高田社長。
職人が5勝ということで一安心ですが、これから先のことを考えると結構深刻です。
弁護士でさえ、判例分析ソフトや債務整理ソフトで職域が狭まったり、中高の先生もiチューンUなどの出現で人数が減少してくるかもしれないということなのです。
将棋の世界でもプロの棋士がコンピュータに負ける時代・・・。ホントーに大変な状況です。
同誌では、数十年後も「残る」仕事として、四つのカテゴリーに分けて例示しています。
それは、
「ロボットに代替が難しい仕事」
「自動化のニーズがない仕事」
「機械化社会の維持に必要な仕事」
「ロボットがやってほしくない仕事」です。
1.ロボットに代替が難しい仕事
ラーメン職人、パン職人、ソムリエ、映画監督、工芸家、お笑いタレント、金型職人、すし職人、医師、作家、宮大工、落語家など 「職人芸」を極められる仕事。
2.自動化のニーズがない仕事
経営者、政治家、プロスポーツ選手、アイドル、冒険家など いわゆる「人気商売」で人生のアップダウンが激しい仕事。
3.機械化社会の維持に必要な仕事
コンピュータ技術者、ロボット技術者など。コンピュータ、ロボットの開発やメンテナンスに携わる仕事。
4.ロボットがやってほしくない仕事
美容師、理容師、医師、歯科医、看護師、保育士、俳優、キャビンアテンダント、介護福祉士、ケアマネなど 「人間味」ある仕事。
こういった時代の流れを受けて、われわれが意識し行動しなければならないこと・・・。
それは・・・
経営者は、自動化、ロボット化を可能な限り進めることと、ロボットには出来ない業務に人的資源を集中すること。
そして、個人は、どんな職業であれ、機械化されないスキルをひたすら磨き続けることが必須という結論で同誌は結んでいます。
生涯学習が生涯現役に直結する・・・
そんな厳しくも、働き続ける人にとってはヤリガイのある時代になったと考えた次第です。