「東大がつくった高齢社会の教科書」
東京大学高齢社会総合研究機構 ベネッセ刊 1、890円
超高齢社会に突入した日本。
年老いた国になるのか、それとも老熟したナレッジ国家になるのか・・・。
年金保険や医療保険、介護保険は・・・?
同書は、ジェロントロジー(老年学、加齢学)を基本コンセプトに編集された一冊。
東大の16名の先生方によって学際的テーマを分かりやすくまとめられています。
ジェロントロジーは、長寿学、高齢学、熟年学、創齢学、人間年輪学、長寿社会の人間学、人生の未来学としてのとらえ方もあるとのことです。
目次
1.超高齢未来の姿
2.超高齢未来の課題
3.超高齢未来の可能性
4.長寿時代の理想の生き方、老い方
5.高齢者の活躍の仕方 就労、社会参加、生涯学習など
6.高齢者の住まい
7.高齢者の移動
8.高齢者の暮らしとお金
9.高齢者の暮らしを支える資源
10.老化の理解とヘルスプロモーション
11.認知、行動障害への対応
12.最期の日々を自分らしく
13.超高齢社会と社会保障
14.医療制度の現状と改革視点
15.介護、高齢者福祉の現状と改革視点
16.年金政策の現状と改革視点
17.住宅政策・まちづくり
18.交通、移動システム
19.ジェロンテクノロジー
20.高齢者と法
文系、理系を問わず、各分野の専門家が統計データを示しながら、簡易な用語で解説を加えています。
また、日本生命、セコム、大和ハウスからも寄付金が提供されたということです。
今回、驚いたのが、このテキストに基づいて検定試験を行うということ。
これも、東大初の取り組みではないでしょうか?
教育サービスとしての収益事業として、うまく軌道に乗ればいいなあと考えています。
この検定試験のキャッチコピーに、今から必要なリテラシーは「英語・ICT・高齢社会知識」と銘打っていました。
思わず笑ってしまいました(ゴメンナサイ。以前経営コンサルタントの大前研一さんがビジネスパースンに必要なスキルとして、「英語・IT・財務」を上げていました・・・)。
が、これからのわが国の行く末を考えた場合、総合科学的、学際的なテーマである高齢社会に対する理解というのは大切なジャンルだと思います。
ビジネスパースンとして、被雇用者としてのサラリーパースンとして、将来大きな負担をさせられるかもしれない学生として、医療介護に取り組んでおられる方として・・・それぞれの立場で高齢社会知識は役立つものと考えています。
検定試験は、今月の14日の昼から東大駒場キャンパスで行われるとのことです。
主催は、一般社団法人高齢社会検定協会。
試験は、「個人」「社会」「総論」から選択。合格者には、高齢社会エキスパート合格認定証が授与されます。
わたし自身も高齢社会テーマについては、独自の研究を続けており、社労士として中小企業診断士として何らかの貢献活動を続けていきたいと考えています。
年金保険、医療保険やシルバービジネスなど超高齢社会ニッポンの潜在力を引き出すマネジメントが必須だと考えているところです。
このテーマで、ちょうど3年前に地方の新聞社の懸賞論文で最優秀をいただき、長寿社会をより良くしていくための切り口として、さまざまな方との交流、ネットワークに加わることが出来ました。
論文(学術論文ではありませんが)のタイトルは「長寿ルネサンス中国2020」。
全国で高齢化が進む中、中国地方を老人のパラダイスにしようというコンセプト。
長寿は、人間にとって最大の幸福・・・。
世界トップの長寿国日本、それは世界で一番幸せな国でなければならないと考えています。
超高齢化社会・・・。
どちらかと言うと、触れたくないネガティブなテーマのように見えますが、
長寿というハピネスを獲得した日本のポテンシャルをホジィティブにとらえれば大きな可能性があるように思います。
今回の東大発の意欲的な情報発信。
本のお値段も手ごろ。
多くの方に読んでいただきたい一冊です。