「レジリエンス 復活力」
-あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か-
アンドリュー・ゾッリ他著 ダイヤモンド社 2400円
連休を活用して積読だった同書を、まったりと読書。
多少、学術的な重たい書籍かと思いきや、新しい事例も散りばめられており、なかなか興味深い一冊でした。
複雑性、相互依存性、不安定さを持つ現代社会。
いつ何が起こるか分からない時代、レジリエンス・resilience(復活力)というキーワードは、時代をサバイバルする重要なコンセプトであるように思います。
レジリエンスの定義
「システム、企業、個人が極度の状況変化に直面した時、基本的な目的と健全性を維持する能力」
そうです。
同書では、社会や組織だけではなく、個人の復活力にも焦点を当てているのです。
レジリエンスの条件
1.フィードバック
2.資源とプロセスの脱集中化
頑強性や冗長性、単なる元の状態への回復は、レジリエンスととらえていません。
また、最近、環境関連で多用されているサステナビリティについても否定的。
自然体系を後退させるとともに、方策を提供しないものとして評価していません。
同書を一言でまとめれば、レジリエンスは、リスク緩和に向けた事前の準備、ものの考え方、危険分散、複雑なものを単純にすることと言ったところでしょうか。
著者は、最後に、「何らかの適応手段を講じない限り、幾何級数的な単一の成長曲線を描くシステムは崩壊する」と喝破します。
これは、社会でも組織でも、個人でも・・・。
本当に怖いことです。
この対応策として例示しているのが、イノベーションとアドホクラシー。
アドホクラシーというのは、簡単に言うとフレキシブルな適応能力。
著者は、ジャズバンドを示しています。
指揮者のもと一糸乱れぬ統一の元で演奏するシンフォニーオーケストラではなく、アドリブも称賛されるジャズバンド。
スポーツで言えば、監督の指示で動く野球型ではなく、ピッチのプレイヤーが瞬時判断して動くサッカー型ということになると思います。
このアドホクラシーは、1970年代、未来学者アルビン・トフラーと経営学者ヘンリー・ミンツバーグが提唱したコンセプト。
単にロジカルだけではない、クリエイティビティが求められる時代になったような気がしています。