毎年、憲法記念日には、憲法全文を読むようにしています。
わずか103条の条文。
小中高校の社会科や公民、政治経済の授業で学び、法学部法律学科でも憲法を学んできました。
憲法を一言で言うと、国家権力の抑止装置。
権力の暴走や横暴を止めるための仕組み。
これは、近世のイギリスのマグナカルタに始まり、フランス革命、ワイマール憲法などにつながっていきます。
基本的には私人間の法律関係には関係しません。
友人の弁護士が言うのは、「法律の中で最もとっつきやすいのは憲法、一番奥深いのも憲法」。
同じ実体法の民法や刑法は、手間と時間をかけて現場での法律実務で何とかなる世界なのに対し、
憲法は歴史、哲学、人権など無限の深みを持っているといいます。
日本国憲法が施行されて68年。
この間、戦争や国際紛争を引き起こすこともなく、平和が維持されたことは、日本の歴史の中でも輝かしいことだと思います。
1894年の日清戦争、1904年の日露戦争、そして、日中戦争、1941年の太平洋戦争・・・51年の間に4回の戦争を起こした国が、それ以上の期間、平和を保っているのです。
憲法9条の国家権力の抑止というのもあるでしょう。
昨今では、憲法改正論議、新しい日米ガイドライン、NPT会議など新しい動きが出てきています。
しかしながら、全ては現行の日本国憲法に縛られた中で行わなければなりません。
今年、改めて感動したのが前文。
日本国憲法の第1条の前に置かれた憲法の理念を高らかに示されています。
その中で次のフレーズが目にとまりました。
(前略)
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、
その権威は国民に由来し、
その権力は国民の代表者がこれを行使し、
その福利は国民がこれを享受する。
(後略)
当たり前のことなのですが、日本国憲法のコア・コンセプトになる部分です。
単なる「住民」ではなく、知性と教養とバランス感覚をもった「市民」でなければならないと訴えかけていると感じた次第です。
毎年、新たな発見がある、憲法記念日の憲法読み。
続けていきたいと思います。