ジャック・マー アリババの経営哲学
張燕編著 永井麻生子訳
ディスカバー・トゥエンティワン刊 1600円+税
1998年12月に開設したアリババ・オンライン。
中国初の電子商取引サイトです。
そして、15年後のニューヨーク証券取引所に上場。時価総額、25兆円。
15年前には、タクシーにも乗れなかった馬雲(英名・ジャック・マー)は、チャイニーズ・ドリームを実現しました。
そのジャック・マーの経営哲学を解説したのが本書。
ちょっと持ち上げすぎといった感もありますが、一人の小さな中国人が、様々な困難を乗り越えながら、起業し、成功と言われる所までに到達したレジェンドは、それはそれで、なかなか面白いです。
イケメンではない、大学には二回も落ちる、就職に苦難、資金調達の壁・・・。
インターネットという、少し怪しげな業界・・・。
それを、乗り越え、泳ぎ続けるジャック・マー。
全体的には、とても日本的な経営思想という感じがしました。
実際、ソフトバンクの孫正義さん(アリハバの株主)、トヨタ式経営、稲盛和夫さんの経営哲学、ソニーなどが同書の中に出てきます。
ジャック・マーの使命は、たった2つ。いたってシンプルです。
1. 世界中のあらゆる商売をやりやすくする
2. 中小企業を助ける
目ざとい商売人でありながら、自分の本分や信条に合わない分野には手を出さない・・・この潔さがジャック・マーの魅力であり、アリハバの歴史的成功の秘密であると、訳者は指摘します。
品質よりスピード、愚かであれ・・・このあたりは、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツからも大きな影響を受けています。
目次
第1章 成長の哲学 左手で右手を温める
第2章 継続の哲学 初恋のように理想を貫く
第3章 起業の哲学 小賢くあるより愚かでいろ
第4章 チャンスの哲学 男の才能は往々にして容姿と反比例する
第5章 ビジネスの哲学 ビジネスはコネに頼らず、アタマを使え
第6章 リーダーの哲学 リーダーは模倣的労働者になるな
第7章 マネジメントの哲学 社員には本当のことを言う
第8章 イノベーションの哲学 成功と勉強量は関係ない
第9章 競争の哲学 三流のアイデアに一流の実行力を加える
第10章 戦略の哲学 協力、提携こそが王道
第11章 富の哲学 他人をもうけさせろ
第12章 生活の哲学 若者に道を譲れ
同書では、ジャック・マーの講演、スピーチが紹介されています。スタンフォード大学や母校でのスピーチです。
中でも、2014年11月「世界インターネット大会」での講演では、6つのキーワードを揚げています。
1. 商売人は政治と関わるな
2. アリババは幸運な企業だ
3. 失敗から学べ
4. 3Wを心がけよ・・・顧客、パートナー、自分
5. 今日は昨日の総括だ
6. データテクノロジーの時代に対応せよ
若い人たち・・・特に、ITビジネス、インターネットビジネスに関わっている人には、ぜひ一読いただきたい一冊です。