能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

GAFA、FANGの時代 少数の支配者と多数の農奴が生きる世界 20歳代の若者たちへのメッセージ

2019年01月04日 | 本と雑誌
最近、若い人から質問を受けることが多くなってきました。
年の功なんでしょうかねえ(笑)。
経験則で語るおじさんは、もう終コンです・・・笑。

就活をひかえる大学3年生や大学院で修士の学位を目指す人たち・・・。
「どんな業界に入れば、将来有望ですか?」
「A社であれば内定を取れそうなのですが、どうでしょうか?」
キャリア教育を受けた若人だちは、問題意識もあり、アタマも良く、とても優秀・・・。

そんな彼彼女に答えます。
「絶対に、安全、安心な就職先は、今、ありません。自分の好きなこと、得意なことが出来る可能性の高い組織を選んだ方でいいですよ。」と。

かって、昭和の時代、損保やメガバンクや公務員といった、安定している組織は確かにありました。
でも、今では、どのような組織でも絶対大丈夫ということはありません。
年収の高さと、安定性で知られた損保や海上火災保険の会社ですら、自動運転、CASEの時代になれば、たぶん一瞬にして存在意義を失うことになります。

世界経済、資本主義社会は、スピードをあげながらどんどん進化を重ねています。

弱肉強食の経済社会の勝ち組企業・・・GAFAFANG、そしてBAT
GAFA(ガーファ)とは、Google、Apple、facebook、amazonの頭文字をとった造語。
そして、最近では、FANGという造語も日経新聞で見られるようになりました。
FANG(ファング)は、facebook、amazon、Netflix、Googleの頭文字をとった造語。
新たに、ネットフリックスが入ってきました。

米国S&Pダウ・ジョーンズとMSCIが9月末に、フェイスブック、グーグル、ネットフリックスを情報技術サービスからコミュニケーションサービスセクターに変更しました。

米国の投資信託の世界で、高い成長を続けてきたGAFA、FANG。
この数十年、株高を支え続けてきました。

いっぽうの中国では、BAT
百度、アリハバ、テンセントの三つのIT起業の頭文字をとった造語です。

20世紀のものづくり、製造業を中心とした経済社会から全く違った世界になった錯覚?を覚えます。


今年、ベストセラーになっている「GAFA 四騎士が創り変えた世界(東洋経済刊)」。
ベンチャー企業経営者でニューヨーク大学スターン経営大学院教授のスコット・ギャロウェイが書いた本です。

ギャロウェイさんは、同書の結論部分に「少数の支配者と多数の農奴が生きる世界」となると指摘します。
天才はとてつもない富を手中におさめ、その他は農奴になるという格差社会の拡大を予測しています。
トマ・ピケティさんの指摘とも重なる部分があり、ちょっと暗い気持ちになってしまいます。

しかしながら、ギャロウェイさんは、「GAFA以後の世界で生きるための武器」を教えてくれます。
農奴になりたくない日本の20歳代の若者に、ぜひ読んでいただきたい部分です。
ちょっとコンサバティブな感じもしますが、今の20歳代に求められるスキル、キャリアは次のようなものだそうです。

・心理的成熟
・好奇心
・当事者意識といった内面的要素
・一流のブランド大学に行くこと
・資格や証明

・何かを成し遂げた経験
・大都市に出ること
・自分のキャリアをよく見せる努力
・新しいものを受け入れる
・株購入

・好きなことではなく得意なことでキャリアを磨く
・不満を口にしない
・頑強さ
・一社に固執しない

なるほど。
日本のデキる若者たちも、これと近い行動を取っているように思い、ある意味、ちょっと安心した次第です。


ただ、多くの若者が保守的傾向にある日本・・・このままでは、第二の敗戦、植民地化のリスクも高し!です。
若き「農奴」ばかりの国にしてはいけません。

日本発の、NEXT GAFA、第五の騎士を産み出したいものです。

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ビジネスを揺るがす100のリスク 日経BP総研2030展望 研究員80人の英知を集めた近未来予測本

2019年01月04日 | 本と雑誌
年末年始になると経済予測本やビジネス環境変化予測本が書店の店頭を賑わします。
そんな中で輝いているのが、日経BP社の「ビジネスを揺るがす100のリスク」。
2030年展望というのが、ミソ。
日経BP総研の研究員80人の英知を集めた予測本と言えます。


ビジネスを揺るがす100のリスク 
日経BP総研編著  日経BP社刊  2000円+税

リスク、リスクで身動きの取れなくなっている会社や個人。
リスクというコトバを聞くだけで嫌になっちゃいますが、リスクの隣にチャンスがあるということを忘れてはいけません。リスクとチャンスは、コインの表と裏の関係。
リスクなしに成功はあれません。
昔の公務員や銀行員のように、リスクを避けながら、保身第一で日々を過ごすという事が、実は最大のリスク、クライシスに陥る危険があるということを知っておくことが必要だと思います。
5%でも10%でもいい・・・リスクテイクしていくことは、明るい未来につながると信じています。

目次
第1章 日経BP社が選ぶ十大リスク
第2章 オープン化のリスク 世界は繋がり何が起こるか分からない
第3章 ゲームチェンジングテクノロジーのリスク 競争条件を一変させる新技術

第4章 ESGのリスク 環境・社会・ガバナンスの新ルール
第5章 人財不足のリスク 質量ともに足らない働き手

ルール急変、GAFA落日、中国の開発独裁優位、ホワイトハラスメント、社員大流出・・・実にショッキングなリスク予測が綴られています。
また、後半では、新車販売不振、保険商品不要、中間層消滅、火葬渋滞、響かない中計、学習データ汚染、AI傍観・・・といったキーワードが出てきます。


第6章 自動運転のリスク デジタル化、サービス化が産業を再定義
第7章 格差社会のリスク 中間層はもういない
第8章 都市スラム化のリスク インフラ老朽化がもたらすもの

第9章 コミュニケーション不全のリスク ネット時代に存在感ゼロ
第10章 AI利用のリスク ITに伴う懸念
第11章 リスクをチャンスにするために アサンプションマネジメントの勧め

最終章では、地球温暖化、食料不足、東京五輪にも触れています。
同書では、正しい想定を常に持っておくこと・・・アサンプションマネジメントの重要性を提唱。
自分自身のアサンプション(思い込み、前提)が妥当なのか、そうではないのかを問い続けておくことは大切だと思った次第です。
仕事はじめに読みたい一冊です。

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