日本経済、日本のものづくり論について、具体的な議論が出始めました。
今まで、どちらかというと大学の偉い先生が、アジアに学べ、モジュラー技術を打ち出せとか、すり合わせ技術を研ぎ澄ませ、おもてなし、ホスピタリティが日本の武器・・・といった抽象論が中心でしたが、ここにきて、かなり具体的な議論が出始めました。
ひとつははNHK特集。
ジャパンブランドと称して、日本の持つ独自技術を海外に輸出せよという問題提起。
交通インフラ、水の浄化技術などを丁寧に分析し、スーパー銭湯やスイカカードどいった日本では当たり前の技術にスポットライトを当てています。
なるほどです。
もう一つは、日経ビジネス誌。
2014.1.14号では「Made with JAPAN」特集。
戦後、安かろう悪かろうと言われた「Made in JAPAN」が、
品質管理やすり合わせ技術で世界的な評価を得た軌跡を前提として、
今度は、海外のリソースもフル活用してV字回復を目指そうというものです。
なるほどです。
「さらば、自前主義」というくくりで、今までの負けパターンを陽転させる観点を紹介しています。
ファミリーマート・・・日本式コンビニの上海戦争 強いのは中華系資本
楽天・・・英語公用語化で日本と働きたい外国人
LINE・・・多国籍で作る和製アプリ 三億人の会話を紡ぐ
五輪招致・・・英国人が引き出したTOKYOの魅力
資生堂・・・きめ細かい女性の肌はベトナムから作る
ホンダ・・・空洞化を超えて得た五割超の国内シェア タイ
公文・・・教えない教育法支える二万人の経営者兼先生
大相撲・・・幕内力士の1/3は外国人
こういった流れの中で、大きく二つの提言をしています。
1.世界の中間層に照準を当てる
BOPもターゲットになりうるが、それよりも日本の工業品質の形成に繋がった中間層にスポットを当てるという主張。世界で50億人というマーケットということです。
2.「諦め」で強くなれ
武田薬品の外国人社長、JTの年功序列廃止、ニコンの多能工要請廃止など、今までの日本の常識を覆し、成功した事例を紹介しています。まさに、創造的破壊です。
3.開国宣言
世界を巻き込む5つのステップを紹介しています。
「開く・・・知る・・・対話する・・・融合する・・・拡げる」。
2020年のオリンピック、TPPといった契機に、日本の価値や強みを残すために、
日本の心を世界に向けて「開国」していけと提言しています。
まさにそのとおりだと思います。
わたしたち産業人も、視点、視座を切り替え、世界に向けての発信ができるようにしていかなければならないと思います。
また、国をあげたジャパンパワーが発揮できるよう国家的な取り組みも求められていると思います。