萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

花木点景:Savage Garden, 菊の森

2015-11-20 08:30:26 | 写真:花木点景
廃園の秋



花木点景:Savage Garden, 菊の森

住んでる近所に、菊の咲く森があります。



住宅街に残されている森なんですけど、その片すみ秋くるごと菊が咲きます。
どれも自生種ではなく園芸種の菊、どう見ても人の手が植えた花です。



誰か作りあげた菊花園、けれど蜘蛛の巣がはり柵も古びて壊れかけ。
もしかしたら昔は家が建っていたのかもしれない?そんな気配を遺しながら庭園は朽ちて森に還ります。



荒廃って言葉がにあってしまう空気、それでも花は森の底あざやかです。



撮ったのは雨あがり秋の午後、弱めの斜陽×森の底=うす暗い薄明は廃れた花園をわびしくも映します。



こういう↑曇天の撮影はあまり得意じゃありません、が、雨あがりの雫×廃園の空気はいいなあと撮ってみました。
で、個人的な好みですけど・朽ちかけの柵と花のコントラストは絵になるなーと、笑
自然の花を撮るほうが好みなんですけど、こういうのも惹かれます。



住宅街どまんなかの森×菊園、けれど人の気配は遠く閑寂にしずみます。
ソンナトコでひとり撮っていたら「菊慈童」の伝説を久しぶりに思い出しました。
中国・周の時代に山へ流罪に処された慈童という少年が、経文を書きつけた菊の露を飲み八百歳まで少年の姿のまま生きた、って物語です。
ようするに菊が不老不死の仙薬となる伝説で、菊の薬効で長寿を願う年中行事「重陽の節句」の原典でもあります。

この伝説は能楽の題材にもされてるんですけど、謡曲「菊慈童」では寿命七百歳となっています。
通過儀礼の七五三や歌の七五調などあるように日本で7は特別な心性がある数字です、8も八=末広がりで好むんですけどね、笑
月行事でも元旦・桃の節句・端午の節句・七夕・重陽の節句=奇数月で月と同数の日=奇数重なる日は節句とされています。
そこらへんツッコむとおもしろい話あれこれあるんですけど、長くなるのでまた気が向いたときに、笑



忘れられてしまった廃園の秋、それでも雨の一滴に花は輝きます。
ぬれてほす山ぢの菊の露のまにいつか千とせを我は経にけむ 素性法師




余談ですが・Savage Garden=廃園、野生花園、原野庭園、なんて意味ですけど自分が好きなバンドの名前でもあります、笑
オーストラリア出身の二人組なんですけど女声みたいな独特のボーカル、曲も歌詞も英国詩みたいな明度×哀調があって好みです。
もう解散していて1990年代に人気すごかったんだとか、自分も知ったのは解散後なんですけどね。笑

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2 コメント

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Unknown (dan)
2015-11-20 16:49:14
この廃園の菊の花こころに染みました。
とくに壊れかけた垣根からのぞく白菊。
こんな所あるのですね。
何だか創作意欲が湧いてきました。
返信する
danさんへ ()
2015-11-20 19:12:32
創作意欲の刺激になるなら光栄です、たしかに廃園って物語の空気ありますよね。笑
この菊たちの場所はちょっと不思議なカンジのところです、近所でも知らない人が多いかもしれません。

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