1月25日12時30分からCSテレビのザ・シネマで観た。
『キング・コング』(King Kong)は、2005年のアメリカ映画であり、ラブロマンスとホラーの要素の入ったアクションアドベンチャー映画である。
1933年の映画『キング・コング』の2度目のリメイクであり、同作を見て映画製作を志したというピーター・ジャクソンの悲願の企画であった。
本作の邦題は、1作目と同じく(そして2作目と異なり)「・(中黒)」が入る。
2005年のアカデミー賞においてアカデミー視覚効果賞、アカデミー音響編集賞、アカデミー録音賞の3部門で受賞した。
役名 |
役者名 |
アン・ダロウ |
ナオミ・ワッツ |
カール・デナム |
ジャック・ブラック |
ジャック・ドリスコル |
エイドリアン・ブロディ |
イングルホーン |
トーマス・クレッチマン |
プレストン |
コリン・ハンクス |
ジミー |
ジェイミー・ベル |
ブルース |
カイル・チャンドラー |
キング・コング/ランピー(2役) |
アンディ・サーキス |
ナオミ・ワッツ
- ストーリー
1933年、世界恐慌下のニューヨーク。
映画監督のカール・デナムは度重なる予算超過やスケジュール遅延に愛想を尽かされ、スポンサーたちから出資の打ち切りと製作途中のフィルムを没収されそうになってしまう。
危険を察知したデナムはフィルムを持って逃亡し、映画を完成させるためキャスト・スタッフを引き連れて海外撮影に出発しようとするが、助手のプレストンから主演女優が降板したことを知らされる。デナムは出発の準備を進めるようにプレストンに指示し、自分は代役の女優探しを始める。
同じころ、ヴォードヴィル劇場で活動する女優アン・ダロウは興行主が夜逃げしたことで仕事を失ってしまう、新たな職探しに困っていたアンはデナムと出会い、彼に誘われ映画に出演することになる。
デナムはアンを連れて港にいるプレストンたちと合流し、脚本家のジャック・ドリスコルを言い包めて密輸船ベンチャー号に乗せ、海外撮影に出発する。デナムは撮影地はシンガポールと説明していたが、本当の行き先は地図に載っていない謎の島「髑髏島」だと判明し、船員たちに警告される。さらにスポンサーたちが手を回したことでデナムに逮捕状が出されたため、船長のエングルホーンは航海を中止し、ラングーンでデナムを警察に引き渡すことを決定する。しかし、ベンチャー号は霧の中で方向を見失い、髑髏島に到着する。
座礁したベンチャー号の修理を行う船員たちを尻目にデナムは撮影チームを引き連れて髑髏島に上陸するが、そこで先住民に襲われ、録音技師のマイクが殺される。
エングルホーンたちに救出されたデナムたちは修理を終えたベンチャー号に戻り髑髏島から離れようとするが、船に侵入した先住民にアンを連れ去られてしまう。アンの不在に気付いたジャックはエングルホーンたちと共に彼女を救出しようとするが、アンは先住民が崇める巨大猿キングコングの生贄として差し出され、ジャングルに連れ去られてしまう。ジャックは一等航海士ヘイズと共にジャングルに向かい、デナムもコングを撮影するため撮影チームを連れてジャングルに向かう。
しかし、捜索チームは髑髏島に生き残っていた恐竜たちに遭遇して多くの犠牲者を出してしまい、恐れをなした主演俳優のブルース・バクスターたち数名が捜索を中止して引き返してしまう。
一方、連れ去られたアンはコングを拒絶していたものの、やがてコングはアンの立ち振る舞いに強い興味と理解を示し始め、アンもまたコングの内なる優しさに心惹かれていく。ジャックやヘイズたちはアンの捜索を続けるが、ヘイズはコングに殺される。
ジャックたちもコングによって谷底に落とされ、そこで巨大昆虫に襲われ追い詰められるが、駆け付けたエングルホーンやバクスターたちに救出される。捜索チームがベンチャー号に戻る中、ジャックは一人でアンを探しに向かい、コングの襲撃でカメラを破壊されたデナムはエングルホーンを言い包めてコングの捕獲を計画する。
コングの住処でアンを発見したジャックはベンチャー号に向かうが、追いかけてきたコングがエングルホーンたちに捕獲される。捕獲から逃れたコングはアンを取り戻すため船員たちに襲い掛かるが、デナムの投げつけたクロロホルムによって意識を失ってしまう。
ニューヨークに戻ったデナムは、ブロードウェイ劇場でコングを見世物とした舞台を開催するが、アンは舞台への出演を拒否する。舞台は大勢の観客が集まるが、アンの不在とカメラのフラッシュに興奮したコングが暴れ出し、会場はパニックとなる。劇場を出たコングはアンを探して街中を暴れ回り、ジャックの誘導でアンと再会する。
そこにコング駆除のためアメリカ軍が攻撃を開始したため、コングはアンを守るためにエンパイア・ステート・ビルディングに登り、ジャックもエンパイア・ステート・ビルディングに向かう。コングは6機の飛行機を相手に戦い3機を撃墜するが機銃掃射を受けて重傷を負い、地上に落ちて転落死する
。最上階に辿り着いたジャックがアンを慰める中、転落死したコングの周囲には群衆が押し寄せてくる。記者が「飛行機のお陰だ」と語る中、デナムは「飛行機じゃない、美女が野獣を殺した」と呟き、その場を立ち去る。
ニューヨークのヴォードヴィル劇場で喜劇に出演していたが、雇い主が逃亡し失職。
オリジナル版と同様にリンゴを万引きしようとしたところをカールにスカウトされ、当初は乗り気ではなかったものの、脚本家のジャックに憧れて出演を承諾する。髑髏島では先住民によってコングへ捧げられ、コングにさらわれる。
オリジナル版と大まかな設定は変わらないが、芯の強い女性として描かれており、コングに強気で接したり、手話を教える描写がある。またストーリーが進むにつれ、コングに対して愛情を抱くようになる。
カール・デナム(英語版)
演 - ジャック・ブラック
映画監督。
失敗作が続いており、どこからか手に入れた髑髏島の地図を使い、未開の地を撮影することで一発逆転を狙う。髑髏島の撮影中にカメラが壊されたことで、映画撮影からコングの捕獲へと関心がシフトしていく。
オリジナル版では設定や性格描写が希薄だったが、本作では映画の撮影への野心やコング捕獲に至るまでの心理が描かれる。
ジャック・ドリスコル(英語版)
演 - エイドリアン・ブロディ脚本家。
デナムから映画の脚本を書くように打診され、当初は適当に切り上げて帰る予定だったが、デナムの計略により撮影にまで同行することとなる。
アンとは航行中に恋仲となり、アン救出時は率先して救助に向かおうとする。
オリジナル版とは設定が大きく異なり、職業は一等航海士から脚本家へ、性格はキザな二枚目から純粋な良識者へと変更された。
恋敵となるコングとの直接的な対決シーンや、オリジナルでジャックを演じたブルース・キャボットに毒づくシーンが存在する。
カールの助手。業界人としての日が浅く、気弱なところがある。髑髏島上陸後、数多くの犠牲に接するうち、次第にカールに不信感を抱くようになる。
エングルホーン船長
演 - トーマス・クレッチマン
密輸船ベンチャー号の船長。
裏ではアフリカで密猟された野生動物たちを動物園やサーカスに卸している。経験豊富で、危機的な状況に際して活躍する。
ジミー
演 - ジェイミー・ベル
ベンチャー号の船員を務める少年。幼い頃に船の中で発見され、それ以来ヘイズに育てられてきた。ヘイズを父のように慕っており、彼のような一流の航海士になることを夢見ている。『闇の奥』を愛読しているが私物ではなく、図書館からの長期借り出しで持ち歩いている。
ベン・ヘイズ
演 - エヴァン・パーク(英語版)
ベンチャー号一等航海士。ジミーの育ての親でもある。良識人な指揮官的な役割でグループのまとめ役も努め、銃の無駄弾もそんなに撃たないなど軍隊経験者らしく頼もしい隊長として描かれてる。ジミーの将来を案じ、船から降りて真っ当な仕事に就くことを願っている。軍隊経験者でもある彼は隊長的役割も果たして、最も頼りになる存在といえる。コングに襲撃され死亡。その後、ヘイズの帽子はジミーが受け継ぐ。
ブルース・バクスター
演 - カイル・チャンドラー
映画俳優。気障な二枚目で、スクリーンではタフガイぶりを披露するが実際は気が弱く、ベナートサウルスの襲撃の後アンを顧みずに真っ先に逃げた。だが戻ると直ぐにエングルホーンらを説得してジャックたちの救助に向かい、トンプソンを片手に谷底の虫たち相手に大立ち回りを演じた。
オリジナル版でジャック・ドリスコルを演じたブルース・キャボットをモデルにしたキャラクター。オリジナル版のジャックとアンをそのまま再現したシーンが存在する。
演じたチャンドラーは2021年公開の『ゴジラvsコング』にて、16年ぶりにコングとの再共演を果たした。
ランピー
演 - アンディ・サーキス
ベンチャー号のコック。荒くれ者で迷信深く、デナムに髑髏島の噂話を語り警告する。コングによって谷へ落とされ、カルニクティスの餌食となる。
演じるアンディ・サーキスは、当初はコングのモーションキャプチャーのみを担当する予定だった。ランピー役に抜擢されたことで、役作りのために料理から牛の捌き方まで会得した。
チョイ
演 - ロボ・チャン(英語版)
ベンチャー号の船員でランピーの親友。上陸クルーの一員であり、コングの襲撃で死亡。
オリジナル版に登場した中国人船員チャーリーをそのまま再現したキャラクター。なおオリジナル版と小説版では上陸クルーから外され、最終的に生き残っている。
ハーブ
演 - ジョン・サマー
撮影技師。アラスカでデナムの映画を撮影中にアザラシに片足を喰われ、義足となっている。ベナートサウルスの襲撃時、カメラをカールに託したが、直後にベナートサウルスに引き摺り下ろされ食い殺された。
マイク
演 - クレイグ・ハル(英語版)
録音技師。当初アンからジャックと勘違いされる。ジャックからアンは彼が後ろから刺されているのも気づかないと嫌味を言われるが、結果的に先住民に後ろからヤリで襲われ、ジャックの皮肉が現実となる。
マーニー
演 - ジェイムズ・ホイットモア
アンとヴォードヴィルで舞台に立っていた喜劇俳優。失職して故郷へ帰る際、アンに映画業界への売り込みを打診する。
コング及び髑髏島の生物たち
テーマパーク「スカル・アイランド」のコングを模したエントランス
キング・コング/Megaprimatus kong
演 - アンディ・サーキス
詳細は「キングコング (架空の怪獣)」を参照
体長7.5m、体重3.6tのゴリラに似た巨大類人猿。
年齢は100歳から150歳の間と推定されている。ギガントピテクスの進化系であり、髑髏島の最後の生き残り。
顔や身体には熾烈な戦いの跡がある。笹を食べるなど、現代のゴリラと似た食性が描かれている。
島民から生贄として贈られたアンを連れ去り、それまで贈られた生贄と同じく殺そうとしたが、次第にアンに心惹かれていく。
知能が高く手話を覚える描写もある。またアンが宥めるためにヴォードビルでやったダンスと道化を披露した際にはじゃれることもあった。
バスタトサウルス・レックス
ティラノサウルスが独自進化を遂げた髑髏島の生態系の頂点に立つ生物。劇中には女家長の雌、雄、雄の子の3頭が登場。高低差の激しい髑髏島の環境に適応した結果、柔軟性に富んだ骨格をしており立体的な行動も可能、また頭骨も祖先より頑強で、前足は3本指である。体表はワニのようなウロコで覆われている。群れでも狩りを行ない、3頭でアンとコングに襲いかかる。
ベナートサウルス
ドロマエオサウルス類が進化した肉食恐竜で、ユタラプトル並みの体格を誇る。ブロントサウルスに群れで襲い掛かり、たまたまその場に居合わせた撮影クルーに甚大な被害を与える。
ピットブルのような顔つきは1996年版のコンセプトアートが基となっている。
テラプスモルダックス
髑髏島で飛翔生物に進化した齧歯類で、コウモリとハダカデバネズミを足して2で割ったような姿をしている。オリジナルのプテラノドンに当たるクリーチャーであり、群れでアン達を襲い、多くはコングに迎撃されながらも、アンとジャックをさらっていく。
プテラノドンだと群れで羽ばたくことが不可能と考えコウモリをモチーフに制作された。
ブロントサウルス
髑髏島に生息するアパトサウルスで、全長は最大で37mに達する。獰猛な肉食恐竜として描かれたオリジナルとは逆に、本作では本来の姿である温厚な巨大草食恐竜として描かれている。
外見は、尾こそ引きずっていないものの、旧復元をバランス型にしたような姿で描かれている。
フェルクタス
髑髏島に生息する角竜。頭部はパキリノサウルスに、体型はペンタケラトプスに酷似している。オリジナルのステゴサウルスに当たるクリーチャーであり、ディレクターズカット版ではクルーたちに襲いかかったが、ヘイズによって射殺された。
フィートドン
四足歩行するワニのような肉食爬虫類。劇中では2体登場し、鉢合わせしたアンに襲いかかり、1体が朽木の中に追い詰めるが、バスタトサウルスに捕食されてしまう。
ピラニアドン
髑髏島の沼の主として君臨する巨大魚で、オリジナルのブロントサウルスに当たるクリーチャー。ディレクターズカット版では、ブルースたちと別れた後、筏で沼を渡るクルーたちに襲いかかった。
オムニマテルシメックス ハルペフォルセプス
腐った樹木の中に棲んでいた巨大ムカデ。アンの身体を這い回り、彼女を嫌悪させる。
ウェタ・レックス/Weta-rex
谷底に生息する巨大カマドウマ。夥しい数の群れでジャックの身体を覆いつくすが、ジミーがトンプソン・サブマシンガンで狙撃して除去した。
なお、『Weta』とはニュージーランドに生息するカマドウマの一種であり、本作のクリーチャーデザインを担当したWeta Workshopの社名の由来でもある。
カルニクティス
谷底の泥沼に棲息するミミズのような生物。その実態はサナダムシのような寄生性の線虫が地熱で温められた泥の中で巨大化したものである。チョイの死体を捕食しようとしたことでランピーの怒りを買い、鉈で数匹が斬り殺されるが、群れでランピーの四肢と頭に食らい付いて殺害した。
SFドラマ『プライミーバル』の「オフィス街の霧」(2008年)に登場した先カンブリア時代のワームと類似するが、これは両作のコンセプトアートをダレン・ホーレイが担当しているため[7]。
デカルノシメックス
谷底を徘徊する巨大なケラのような生物。鋭利な前脚でデナムに襲い掛かるが、激昂した彼が振り回したライフルで撲殺された。
デプレプター
谷の亀裂の中に潜む陸蟹。巨大な鋏でクルーを亀裂の中に引きずり込んだ。
アラクノ・クラウ
谷の壁面を徘徊するサソリモドキのような巨大節足動物。ジャックらを追い詰めるが、救援にやってきたブルースたちによる銃撃で次々に射殺された。
ジャイアントモア
ディレクターズカット版に登場。大人しい雌の草食巨大鳥。驚いて林から飛び出し、ランピーに誤射されて死亡する。その死体は後にフィートドンの餌になった。
登場する兵器及び乗り物
カーチスF8C-5ヘルダイバー
1930年代当時のアメリカ海兵隊の主力戦闘機。複葉機。主に機銃によってコングに攻撃を行う。
制作段階では当時の資料が少なくプラモデルも販売していなかったが、ジャクソンの入念なリサーチでレプリカが制作された。
ベンチャー号
蒸気船。密猟のたちに設計された船で内部には動物収監のための檻と捕獲用のクロロホルムが装備されている。
フォードA型
1930年代当時ニューヨークを走っていた車。本編中メインの登場人物が乗車するのは全てA型。クライマックスではドリスコルがタクシーに乗り込みコングとバトルを行う。
ピーター・ジャクソン
ピーター・ジャクソンは9歳の時に初めてオリジナル版『キング・コング』をテレビ放送で鑑賞し、キングコングがエンパイア・ステート・ビルディングから落下する姿を見て涙を流した。彼は12歳の時に両親のスーパー8mmフィルムを持ち出し、針金とゴムで作ったコング人形に母親の毛皮のコートを着せて映画を再現しようと試みたものの挫折している。
ジャクソンにとって『キング・コング』はお気に入りの映画となり、彼が10代で映画製作者を志すきっかけとなった。彼は『キング・コング』に関連する書籍や『フェイマス・モンスターズ・オブ・フィルムランド(英語版)』に掲載された記事を読み、記念品を集めていた。1992年に監督を務めた『ブレインデッド』では、『キング・コング』に敬意を表して作中に髑髏島(英語版)を登場させている。
『さまよう魂たち』のデイリーズ(英語版)を見たユニバーサル・ピクチャーズはジャクソンの撮影技術と視覚効果技術に感銘を受け、ジャクソンの次回作への協力を申し出た。1995年末、ユニバーサルはジャクソンに『大アマゾンの半魚人』のリメイク企画の監督就任を打診した。ジャクソンは辞退したものの、彼が『キング・コング』に執心していることを知ったユニバーサルは、『キング・コング』の著作権が失効していたこともあり、新たに『キング・コング』のリメイク版の監督就任を打診した。
この打診もジャクソンは辞退したが、「すぐに他の誰かがオファーを引き受けて、酷いリメイクをして『キング・コング』を台無しにするのではないかと不安に駆られた」ため、ユニバーサルのオファーを受け入れた。同時期にジャクソンはハーヴェイ・ワインスタインのミラマックスと共に『ホビットの冒険』『指輪物語』の映画化権取得に動いており、一方で20世紀フォックスはジャクソンに『猿の惑星』のリメイク版の監督就任を打診していた。
ジャクソンは20世紀フォックスからの打診を辞退し、また『指輪物語』の映画化権取得交渉が想定以上に時間がかかっていたことから『キング・コング』の製作に取り掛かった。しかし、ジャクソンの態度にワインスタインが激怒したため、ジャクソンは『キング・コング』の製作に関してユニバーサル、ミラマックス、ウィングナット・フィルムズが共同出資することを提案した。この結果、『キング・コング』のアメリカ配給はユニバーサル、海外配給はミラマックスが受け持つことになり、ジャクソンは最終編集権(英語版)と総収益の一部、アーティスティック・コントロール(英語版)の権利を所持し、ユニバーサルは撮影と視覚効果の製作をニュージーランドで行うことを許可した。
1996年4月に契約が成立し、ジャクソンは妻フラン・ウォルシュと共同で脚本の執筆を始めた。初期案では、アン・ダロウは「スマトラ島の古代遺跡を調査する英国人考古学者リンウッド・ダロウ卿の娘」と設定されており、映画の撮影を巡りカール・デナム(英語版)と対立し、秘匿されていたコング像や髑髏島の地図を発見することになっていた。
また、ジャック・ドリスコルは一等航海士で、「第一次世界大戦で戦死した親友の喪失感に苦しむ元戦闘機パイロット」と設定されており、撮影技師のハーブは初期案から最終稿まで設定が変更されずに残った唯一のキャラクターとなった。また、コングと3頭のバスタトサウルス・レックスの戦いも初期案から存在していたが、初期案ではアンはバスタトサウルス・レックスに嚙まれ、コングに救出された後に熱病にかかる予定だった。
ユニバーサルは脚本を承認し、ロバート・ゼメキスを製作総指揮に迎えてプリプロダクションが始まった。撮影は1997年中に開始され、1998年夏に公開が予定されていた。WETAデジタルとWETAワークショップ(英語版)はリチャード・テイラー、クリスチャン・リヴァースの主導で初期の視覚効果テストに取り掛かり、1933年のニューヨークのCGIでの製作作業を進めた。ジャクソンとウォルシュは第二稿の執筆を進め、同時に撮影セットの準備やスマトラ島、ニュージーランドでのロケハンを開始した[10]。
1996年末、ジャクソンは『タイタニック』の撮影地メキシコに向かいケイト・ウィンスレットとアン役の起用について交渉した。また、同時期にミニー・ドライヴァーとも出演交渉を行っていたという。ジャック役とデナム役の候補にはジョージ・クルーニーとロバート・デ・ニーロが検討されていた。
1997年1月、ユニバーサルは『GODZILLA』『マイティ・ジョー』『PLANET OF THE APES/猿の惑星』などの怪獣映画、猿を題材にした映画の公開が控えていたことに懸念を示し、『キング・コング』の製作が一時停止した。同年2月にユニバーサルは『キング・コング』の製作凍結を発表した。
この時点でWETAデジタルとWETAワークショップは、6か月間かけてデザインのプリプロダクションを進めている状態だった。製作凍結後、ジャクソンは『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』の製作に取り掛かった。
ジャクソンたちは1996年版ではなく、1933年のオリジナル版をベースに物語を構築することに決め、ジェームズ・アシュモア・クリールマン(英語版)のオリジナル脚本で削除された部分や省略された部分を補完する方向で脚本執筆が進められた。
1933年版のコングが追いかけてきた人間たちを丸太から谷底に振り落とすシーンでは、当初メリアン・C・クーパーとアーネスト・B・シュードサックは崖の中から巨大なクモが現れて人間たちを食い殺すシーンを描くつもりでいたが、完成版ではカットされていた。
このシーンは『フェイマス・モンスターズ・オブ・フィルムランド』に掲載されたスチール写真でしか知られていなかったが、ジャクソンはこのシーンを取り入れて詳細に描写している。
また、デロス・W・ラヴレス(英語版)が1931年に執筆した小説版『キング・コング』からもインスピレーションを得ており[10]、小説版に登場した料理人ランピーを映画にも登場させている。
さらに、アンとコングの関係に説得力を持たせるため、数時間かけてゴリラの映像を研究している。ヴォードヴィルの演者ジューン・ハヴォック(英語版)が執筆した回顧録『Early Havoc』の使用契約を結び、ウォルシュとボウエンがアンのキャラクター設計のために役立てた。カール・デナムはオーソン・ウェルズをイメージしてキャラクター設計されている。2004年2月に新しい脚本が完成した。
キャスティング
主要キャストのナオミ・ワッツ、ジャック・ブラック、エイドリアン・ブロディは指名起用され、他の候補者は検討されなかった。
ナオミ・ワッツは役作りのために1933年版でアン役を演じたフェイ・レイと面会している。また、ジャクソンはフェイ・レイに「ラストシーンにカメオ出演して欲しい」と懇願しており、初めて面会した際には「絶対に嫌です」と断られたものの、交流を重ねるうちに「出演できないことはないですよ」と前向きな姿勢を見せるようになったが、彼女がプリプロダクション中に死去したため実現しなかった。
ブラックは『ハイ・フィデリティ(英語版)』での演技をジャクソンに認められてデナム役に起用され、役作りのためにP・T・バーナムとオーソン・ウェルズを研究した。髑髏島の先住民役はアジア人、アフリカ人、マオリ人、ポリネシア人がエキストラとして参加しており、肌の色を統一するためにブラックフェイスを施している。
カメオ出演としてメイクアップアーティストのリック・ベイカー(1976年版『キングコング』のコング役)が飛行機パイロット役[20]、『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』の共同プロデューサーのリック・ポラス(英語版)と『ショーシャンクの空に』の監督フランク・ダラボンがジャクソンと共に飛行機の射撃手役、ボブ・バーンズ3世(英語版)と彼の妻がニューヨークの群衆役を演じている。
2004年9月6日からニュージーランドのミラマー(英語版)にあるキャンパーダウン・スタジオで主要撮影が始まった。
キャンパーダウン・スタジオでは髑髏島の先住民集落や巨大な壁のセットが作られ、ロワー・ハットにはニューヨークの街並みのセットが作られた。ベンチャー号のシーンの大半はキャンパーダウン・スタジオの駐車場に作られた実物大のセットで撮影され、背景の海はポストプロダクションでデジタル合成している。コングがブロードウェイ劇場から逃亡するシーンはウェリントンのオペラ・ハウス(英語版)とオークランドのオークランド・シビック・シアターで撮影されている。
小説
本作のノベライズと前日譚『King Kong: The Island of the Skull』が発売された他、日本でも田中芳樹による本作のノベライズが行われ、映画公開前の2005年12月17日に集英社より発売されている。なお、小説では細部の設定が映画のものから変更されているおり、ストーリー上の最大の違いは「終盤のニューヨークでの話が全てカットされている」ことで、コング捕獲後にアンのモノローグでコングが死んだことを簡潔に語っている締めになっている。また、時代設定が『キング・コング』第一作が公開された1933年だと明言されている。