珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

taoさんのお宅、再訪

2023-05-07 15:30:31 | オフ会
GWオフ会2日目はtaoさんのお宅訪問でした。前回訪問から、早いもので8年が経過しました。その時はチューバホーンさんとtaoさんのお宅にある古きタンノイをハシゴでき聴く企画でした。少し慌ただしいオフ会だった記憶がありますが、今回はじっくり聴くことができました。東村山駅でチューバホーンさんと私をピックアップいただき、狭山丘陵にあるご自宅に向かいました。連日の好天で、住宅街の新緑と青空が眩しかったです。奥様への挨拶を済ませた後、早速、オーディオルームに案内いただきました。

前回訪問からシステムは大きく変化していました。最大のポイントはSPの変更です。タンノイのコーナー型GRFからソナスファベールのガルネリ・メメントに替わっていました。これと組み合わせる上流機器は、従来のビンテージ路線から現代オーディオ路線へ舵を切られていました。大型のGRFがいなくなり、部屋が広く感じられるとのチューバホーンさんのご指摘もありました。しばしばオーディオは部屋の音を聴くとも言われます。無理の無い機器配置は、結果的に良い音につながるように思います。


本日の主役、ガルネリ・メメントです。フランコ・セルブリンの息のかかった古きソナスファベールの名機ですね。90年代半ば、オーディオ誌を通じてを羨望の眼差しを向けたオーディオファイルは多いと想像します。前オーナーが大切に使われていたようで、良い状態で入手できたそうです。スタンド、ベース共に専用品です。大理石のベースにはテーパがついていて、SP本体はやや仰いだ状態となっています。SP配置はいわゆる交差法です。見た目の配置とは裏腹に、声はビシッとセンターに定位していました。


上流の機器群です。前回訪問時は英国系でしたが、3極多国籍(日・英・米、カナダ、スイス)となっていました。デジタル、アナログ共にオラクルで揃えられていて、両翼に配置されています。絵になります。デジタルはナグラのCLASSIC DAC、アナログはザンデンのフォノイコライザーModel 120 を経て、英国コードのプリアンプCPA-5000 とつながります。パワーアンプはジェフローランドModel 2です。ガルネリ・メメントとの相性も踏まえて、段階的に導入されたようです。これらが一体となってヤマハのGTラックに納まっています。


taoさんは、数少ないオラクルユーザー仲間です。お持ちのDELPHI 6 は、拙宅よりも1世代新しいです。世代が変わる都度に改良がなされていますが、デザインに一貫性があり、個人的には見慣れたフォルムです。ブログ、別のオフ会を通じてオラクルを導入されたことは伺っており、訪問を楽しみにしていました。


デジタルの最上流、CD 2000です。私がオラクルに関心を持ったきっかけは、オーディオショウで見たCDプレイヤーでした。その後、私自身がファイル再生に移行したこともあり導入は無くなりましたが、宇宙船のようなフォルムと闊達なサウンドのインパクトが大きかったです。taoさんは二兎を得られたことになりますね。


デジタル、アナログの順に進行し、taoさんのお薦めを聴かせていただいた後で、持ち込み音源を聴く流れとなりました。普段はクラシック中心で聴かれているtaoさんですが、ゲストの好みにも配慮いただき、ジャズやPOSの選曲も多めでした。クラシックはtaoさんの解説つきで、音楽に入り易かったです。ジョン・ラターの「レクイエム」、フルニエのチェロソナタ等をかけていただきました。フランスのピアニスト、エリック・ル・サージュは初聴きでした。フランス風にアレンジされたモーツァルトのピアノ協奏曲です。


ソナス、ガルネリと来れば、弦そして声を期待したくなります。このコーナーでは、イタリアのオペラ歌手マリア・レベカに加えてオーディオオフ会でよくかかる女性ヴォーカルを聴きました。声は脚色がなくニュートラルです。中央奥に定位する声と向き合いました。意外だったのが、低音の太さです。チューバホーンさんはジェフローランドの音と言われてましたが、太くて粘り気のある低音が印象に残りました。声と低音のコントラストに、ガルネリの、更にはシステム全体の幅の広さを感じました。


休憩を挟んだ後半はアナログです。以前に訪問されたハンコックさんがアナログを絶賛されていたので楽しみでした。アンバートン、ミハエル・ナウラ クインテッドとヨーロッパジャズに浸りました。後者は初めて聴きましたが、60年代の作品とは思えない鮮度の高い音が印象的でした。サックスとビブラフォンの音にしばし浸りました。


往年の名チェリストの作品が続きます。私の好きなフルニエ再登場です。かけていただいたのは、バッハの無伴奏チェロ組曲(フルニエ)、チェロソナタ(デュプレ、バレンボイム)です。チェリストの個性や名演をその場で聴き比べする、贅沢な時間となりました。


締めはビーバーのヴァイオリンソナタ集でした。前日のHさん訪問に続いてのビーバーです。ちなみにtaoさんはHさんとも交流をお持ちで、この世界の狭さも感じます。個人的にこの日の一曲を挙げるならグリーグ「ペール・ギュント」です。名前こそ聞いたことはありましたが、実際に良い音で聴かせていただき、忽ち気に入ってしまいました。シベリウスは時々聴いてますが、また一つ北欧のクラシックの世界が広がりました。ドイツやオーストリアとは異なる空気感、透明感を感じます。


前回から機器は総入れ替えですので、当然、音は大きく変わっていました。ただし、前回はGRFを入れて間もない頃で、これから音作りという状況でした。音を比較するというより、純粋にtaoさんの新システムの音を楽しむことに専念しました。弦楽器や声の柔らかさにガルネリ・メメントの個性を聴きましたが、普段聴かれないジャンルもしっかりと再生されていて、システム全体の対応力を感じました。選定された機器群と部屋のマッチングがとれた成果でしょうか。8年間の長さも実感したオフ会となりました。

感想戦は前回も訪れた小平の中華料理店「長江宴 」でした。コロナ明けのGWということもあり、給仕さんが大変そうでしたが、お店に慣れたtaoさんのオーダーの下、美味しい中華料理に次々とありつくことができました。taoさん、チューバホーンさん、初夏の1日を楽しく過ごさせていただき、ありがとうございました。
コメント (2)
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Hさんを訪ねて

2023-05-05 09:38:46 | オフ会
連休オフ会の第一弾、江東区にお住いのHさん宅にお邪魔しました。Hさんは2021年の11月、ishiiさんと一緒に拙宅にお越しいただきました。英国GOODMANSのAXIOM 80 を使われているベテランの方で、一度伺いたいと思っておりました。連休前にishiiさんよりオフ会のお誘いがありました。Harubaruさんとも面識があるとのことで、ishiiさん、Harubaruさん、私で訪問する運びとなりました。東京方面のオフ会はそれなりにこなしていますが、江東区はなかなか訪れる機会がなく、新鮮な感覚となりました。

この日は終日、好天に恵まれ、雲一つない空に心地よくなりました。神保町での乗り換えついでに富士レコードに寄って、アルバムを物色しました。結局、伊東ゆかり『ゆかりの贈り物』、小林麻美『落ち葉のメロディー』で落ち着きました。軽いランチをドトールコーヒーで済ませ、都営新宿線に乗りました。



最寄駅に早めに着いてしまったのですが、既にishiiさんが来られていました。Harubaruさん、Hさんの順に集まり、全員集合したところでお宅へ向かいました。10分ほど歩いてご自宅に到着、早速、システムのある2階のお部屋に通していただきました。お部屋は10~12畳くらいでしょうか。短辺配置でAXIOM 80が平行法で置かれていました。上流機器は、ほぼ床に直置きのシンプルなセッティングです。お部屋にはシステム以外に、レコード、CD、書籍(バロック音楽関連)多数あって、正に音楽を楽しむ部屋、といった風情でした。


これまでタンノイを始めビンテージSPを聴く機会がありましたが、GOODMANSのAXIOM 80を聴くのは初めてです。再生が始まる前に内部構造を見せていただきました。コーン型フルレンジユニットで、口径は25cmです。いわゆるエッジが無く、カンチレバーでユニットを支えているそうですご自宅に向かう途中「チェンバロとリュートを理想の音で再生する」ことをテーマとされている旨、伺いました。求める音が揺らぐことなく、継続的にオーディオ経験を積まれてきたことが、想像できました。


上流の機器群です。以前はラックを使われていたそうですが、音を追求した結果、この形態に辿り着かれました。この日はCD再生が中心でした。CDプレイヤーはスチューダーA727です。スイスの業務用のCDプレイヤーで、ルボックスと共に憧れたオーディオファンは少なくないと思います。アナログは最後の最後で数枚かけていただきました。プレイヤーがガラード301、カートリッジはオルトフォンの組み合わせです。アンプはお知り合いの方が製作されたプリアンプ、ウエスギのパワーアンプという構成です。


Hさんのメインジャンルであるバロックを中心に、チェンバロ、ヴァイオリン、合唱等の作品を聴かせていただきました。初っ端はモーツァルトのピアノソナタでしたが、楽器は現代ピアノではありません。鍵盤の数が少なく、フォルテの出し方も異なるそうです。クープランによる声楽曲は、本来、深夜から早朝にかけて上われる音楽です。蝋燭の灯を1本ずつ消しながら進行する・・・そんな解説もいただきました。まず音楽への想いがあり、その上で再生にも拘る、Hさんならではのプログラムでした。


一方で、ゲスト側への配慮もいただき、声モノを中心にジャンルを超えて聴かせていただきました。アメリングの初期のCD、こちらでも登場です。SPの少し奥に優しい声とピアノが広がります。フルレンジ1発は声の再生に向いているイメージがありますが、実際、聴かせていただいた声はナチュラルで耳に馴染みました。ダイアナ・クラール他ジャズをいくつかけていただきました。低音が控えめな点は、仕方ないところかと思いました。「チェンバロとリュート」の再生を追求することとのバランスです。



今年に入ってアナログ再生は暫くされていなかったそうですが、ゲスト側の期待も汲み取っていただきました。中でも強い印象を受けたのが、こちらのビバルディの協奏曲でした。解説記事において録音風景が紹介されていました。洞窟での録音のせいでしょうか?非常に響きの豊かな再生です。荘厳でありつつも優しい不思議な音でした。他、ビーバーのヴァイオリンソナタ等、コレクションの中でも、特にHさんが最高と感じられている盤を聴くことができました。棚に詰められた多くのレコードも、きっと素晴らしい音楽として鳴るだろうと、感じました。


途中で、音場の広がりの話題になりました。音が左右に広がるか、上下に広がるかの違いです。リーナ・ナイバーグ(2つ上の写真左下)はトラック毎に表情が変わるようで、実際、声の高さが変わりました。Hさんはバロック音楽の再生において、教会が持つ高さを出すことをイメージされているようでした。オーディオでは聴いている音が同じでも、何が聴こえているかは人によって異なります。理想の音を追求する過程で、形成されるオーディオ耳は、確かにあるなぁと、再認識した次第です。勉強になりました。

結局、夕食までいただき恐縮しましたが、オーディオ談義を続けました。とりわけHさんのケーブル自作熱には驚きました。オーディオ趣味の多様さを感じた1日でもありました。Hさん、ishiiさん、Harubaruさん初夏の楽しい1日をありがとうございました。また、よろしくお願いします。
コメント (6)
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