交響曲第一番から九番「合唱」までトータル6時間弱の演奏。
ベートーベンというと「運命」ということでその名を知らない人はいないと思うがどんな人だったのか?運命や田園、第九などは定番だが他の交響曲はどんなのかと思い立ち筑紫野図書館でCDを借りて聞くことにした。たまたま小沢征爾指揮のサイトーキネンオーケストラの演奏になるものを毎日1曲聞くことにした。
ところでベートーベンは1770年神聖ローマ帝国ボンで生まれ1827年オーストリア帝国ウイーンで56歳の時、肝硬変で亡くなったクラッシック音楽市場極めて偉大な作曲家の一人。同時代にハイドン、モーツアルトがいる古典派音楽の偉大な作曲家である。
祖父、父親も宮廷歌手で幼少より音楽的才能を期待され、16歳の時、ウイーンでモーツアルトに弟子入りを許されたが母の死でボンに帰り、父のアル中化で苦労、22の時ハイドンに認められピアノの即興演奏の名手として名声を博したが26歳の時中途失聴者となり聴覚を失い自殺も考えたが強靭な精神力でのりこえ芸術の道を進んだとある。
<交響曲第一番>はそんなときに生まれた最初の4楽章からなる管弦楽の演奏になる交響曲となる。1824年の交響曲第九番合唱に至るベートーベンの一大歴史モニュメントがスタートするわけである。
クラッシック音楽は作曲家自身の時代背景が反映されるのであろうが聞くほうはどんな姿勢で聞くのだろうか。自分を鼓舞してくれる好きな旋律があり、その中に自分をおきたいから聞くのか、演奏会場ではみなまじめな顔つきで聞いているが何をおもい聞いているのか。この第一番は5番の運命や6番の田園、9番の合唱のように日本人向け副題が付いていない。専門家からみればこの1番はハイドン、モーツアルトの作曲技法を引き継いだ交響曲として完成された逸品らしいが印象は薄かった。
<交響曲第二番>
1803年に完成、初演はウイーンで翌年行われた
随所に9番を思わせるフレーズが登場するね。第二楽章は田園的雰囲気。旋律の美し出有名らしい。だが感銘レベルに至らず。
<交響曲第三番 変ホ長調作品55「英雄(エロイカ)>
1804年の作品。フランス革命の影響、ナポレオンを尊敬して書いたとか?
第二楽章の葬送行進曲が有名。
<交響曲第四番>
1807年、ベートー円37歳の時の作品。シューマンが二人の北欧神話(3、5番)に挟まれたギリシャの乙女と伝えたらしいがそれらしい副題がついていたらもっとポピュラーになったかもしれない旋律を含んでおり又聞きたいと思った。
<交響曲第五番ハ短調作品67(運命)>
日本で一番知られている交響曲。しかし運命交響曲といっているのは日本だけ。最初の「ダダダダーン」の出だしが運命の扉をたたく音だとベートーベンが弟子に言ったとか言われ日本では副題に運命がつけられたとか。五番だけは第一楽章から第四楽章まで主だったメロディは覚えてしまっているくらいよく聞いた。中年男の願望の一つに大オーケストラを指揮してみたい、指揮者になりたいという夢をもっているとか。五番を聞いているとついつい指揮棒をふるしぐさをしてしまう。いろんな指揮者の五番を聞いたが小沢征爾指揮のサイトウキネンオーケストラはカラヤンのベルリンフィルに似て、スピーディで華やかな演奏であった。なかなかグーだ。
初演は第六番と一緒に演奏され5番と6番が逆で、もろもろの状況が重なり失敗に終わったがその後、評判がたかまり5番は後世の作曲家のモデルともなるベートーベンの最高傑作となった
<交響曲第六番(田園)>
1807年から8年にかけて五番とともに作曲され、8年に同時初演、当初は田園が5番であとに「運命」が演奏された。通常の交響曲と異なり5楽章からなる。平和な気分にさせられるなじみの曲だ。
各章にタイトルがつけられ、第一楽章は「田舎に到着した時の晴れやかな気分」。なじみの軽い叩く動機づけの親しみやすいなじみのメロディではじまる。
第二楽章は「小川のほとりの情景」終結部はオーボエやクラリネットで鳥の鳴き声が表現される。第三楽章は「農民たちの楽しい集い」その集いを打ち破るがごとく第四楽章「雷雨」が短く激しく演奏される。そして第五楽章「牧人の歌―嵐のあとの喜ばしく感謝にみちた気分」自然への畏敬と感謝の牧歌が奏でられ、おだやなかホルンで終曲となる。ストーリーがあり、目をつぶってイメージしながら聞ける典型的なクラシックだね
<交響曲第七番>
1812年、ベートーベン42歳の作品、13年ベートーベン自身の指揮で初演。伝統駅作曲手法に戻った作品とされ、第二楽章が圧倒的支持を得たとされる。全体にスピーディでエンディングでクライマックスに達する。小沢征爾の髪ふりみだした指揮をみて聴衆はスタンディングオベーションしている姿がうかぶ。バレーボールの試合でサーブ、レシーブ、トス、スパイク、ブロック、トス、スパイクと盛り上がってゆく感じに似ている。
<交響曲第八番>
1814年の作品。重厚なベートーベンに似合わないような明るい感じ、ユーモアのあるとぼけたような感じがする交響曲。
<交響曲第九番ニ短調作品125(合唱)>
ベートーベンが20代の頃からシラーの詩「歓喜に寄せて」に感銘をうけいずれ曲をつけてみたいと思っていたらしいが実際に作曲にとりくんだのは1820年くらいからで初演は1825年に行われた。第四楽章に合唱をくみいれた画期的な交響曲でワーグナーやリストなどロマン派の作曲家におおいなる影響をあたえたベートーベンの偉大な交響曲だがこの時すでに耳は完全に聞こえなかったと言われている。
第九と言えば年末の定番、恒例行事ともなった。これも一度は合唱に参加してみたいと思う人が多いのではないか。私もその一人だが・・・いつぞやのTV番組で第九のフィナーレで演奏が終わった瞬間、「新年あけましておめでとうございます」となる感動の演出をしたことがあったが大晦日はほとんど第九を聞いて締めをするようになっている。
とにかく時間貴族の特権をいかしてまずはベートーベンの交響曲をみんな聞いてみたが聴くサイドの心象風景と曲の構成、メロディ、楽器個々の個性などのフィーリングがあえば一体化できていいのではないかと思った次第。