2016/05/11
「あながちにくれなゐならぬ紅葉哉
(橘仙
/紅葉でも黄色も赤もありましてくれないだけと言い切れません
/あながちという言葉かな新鮮は黄色や緑も楽しもうよと)」
「古寺に狂言会や九月尽
(雁宕
/古寺で狂言だけの会があり九月末日わびしさもあり
/狂言は能のあいだに滑稽なしぐさ伴う幽玄さなし)」
「又或日扇遣ひ行く枯野かな
(暁台
/冬の日に夏の扇を取り出して煽りて行ける枯野かな
/旧暦は十月頃に冬にいるたまにありたり暑い日のあり)」
「出代デガワリや稚心は物あはれ
(嵐雪
/年季あけ奉公人の新人が動き回るがあわれなり
/いまはもうテレビの中の出来事で去りしを思いあわれ催す)」
「君見よや我手入るゝぞ茎の桶
(嵐雪
/『茎の桶』漬物桶のことなりし手を突っ込める嵐雪がいる
/自虐的口調もなにか本心は自慢げでありやもめ生活)」
2016/05/11
「漱石は『猫』書くまえは俳人として少しだけ名を知られけり
(1905年に小説家)」
「ラフカディオ・ハーンの後の教師とて熊本に行く英語教師で()」
「漱石が住みし訪ねたりかの住居でも句は作られし
(1896.04~1900.07半ばまでいて約900句を作る)」
「駄馬つづく阿蘇街道の若葉かな(1896.05.03知人に宛てた手紙にある)」
「若葉して手のひらほどの山の寺()」
「青葉勝に見ゆる小村の幟かな()」
「菫程な小さき人に生れたし()」
「草山に馬放ちけり秋の空()」
「秋の川真白な石を拾ひけり()」
「海嘯ツナミ去って跡すさまじや五月雨(1896.06三陸沖地震で大津波)」
2016/05/11
「幸せの知らせのように今朝ひらくカキツバタああ母よと呼びぬ(鳥海明子)」
「カキツバタ美人の形容に使われど何か儚く感じられたり
(花言葉:幸福が来る)」
「杜若語るも旅のひとつかな(芭蕉)」
「かきつばたべたりと鳶のたれてける(蕪村)」
「古溝や只一輪の杜若(子規)」
「杜若切ればしたゝる水や空(虚子)」
「泉州の名産なりし水なすび読んで字のごと水分多し(『水なすのぬか漬け』)」
「ぬか漬けはさっぱりとして美味しくて夏の暑さに体を冷やす()」
「水茄子は季語にはないがおかしけれ季語扱いで名句を作れ()」
「長茄子長ササゲなで笊の中(虚子)」
「採る茄子の手籠にきゆアとなきにけり(蛇笏)」