風・感じるままに

身の回りの出来事と生いたちを綴っています。

あれから50年

2013-09-02 | 日常
8月28日は、1963年に有色人種に対する人種差別撤回を求め「雇用と自由」をスローガンに20万人以上が参加したデモ行進「ワシントン大行進」の記念日。
この運動の指導者であった、故マーティン・ルーサー・キング牧師(1929年1月15日 - 1968年4月4日)の著書「自由への大いなる歩み――非暴力で闘った黒人たち」(岩波書店)を手にしたのは、たぶん17歳(1963年)の時だったと思う。
働きだして2年目、もちろん、このような本を手にするのも読むのも初めて。えらく衝撃を受けたことを思い出す。

当時、働きながら夜間高校(定時制)に通っていて、クラブ活動として、社研(正式な名前は社会問題研究同好会?)に入っていた。社研では、政治問題をはじめ、さまざまな社会問題について話し合ったり、部員それぞれが記事を持ち寄り機関紙も発行していた。この本を買って読んだのは、たぶん記事を書くためにだったと思う。

あれから50年。人種差別撤廃活動は、63年のこの「大行進」の影響を受けて65年には投票権法が成立するなど、黒人の権利は少しずつ拡充されてきた。当時、黒人の75%が高校を卒業していなかったが、今では85%が高校を卒業している状態になり、黒人の企業経営者や政治家も多く生まれ、米国史上初の黒人大統領が誕生した。

しかし、差別、格差はいっこうに解消されていない。50年前の失業率、白人5%、黒人10・9%が現在でも白人6・6%、黒人12・6%と差が開いたまま。収入の格差も過去30年間に、平均的な白人世帯の収入と黒人世帯の差は5倍から6・5倍に拡大しているという。

8月24日、リンカーン記念堂で行われた50周年の記念集会に集まった数万人の参加者は「すべての人に平等な権利を」「自由、雇用、正義」などと書いたプラカードや横断幕、風船を掲げて行進したと報道されている。
キング牧師が生きていたら、どのような演説をしたであろうか。