<しゃぼんだま>
幼いころに見たしゃぼんだまは
麦のストローで生まれていた
虹色に輝いて音もなく消えてゆく
あのしゃぼんだまは
どこへ行ったのだろう
子供のころに見たしゃぼんだまは
麦のストローで生まれていた
ほろほろと青い空へ消えてゆく
あのしゃぼんだまは
どこへ行ったのだろう
公園の広場で見たしゃぼんだまは
青と白のしましまのストローで
生れていた
虹色の記憶とともに消えてゆく
あのしゃぼんだまは
どこへ行ったのだろう
虹色のしゃぼんだまは
魔法のように生まれて
すぐ消えてゆくものと思っていたし
しゃぼんだまの短い命を
自分の記憶の糸と
よりあわせてみて
そんなものだったと
結んではひとつづつ消えてゆく
しゃぼんだまを目で追っている