UMA君のお部屋

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硫黄岳~東天狗縦走

2011-01-19 20:09:32 | 山歩き…八ケ岳
山域:硫黄岳~東天狗(八ケ岳)

山行目的:冬の八ケ岳を歩く

山行日:2011年1月17日(月)~19日(水)

天気:17日晴れ一時くも 18日晴れ 19日晴れ

山行者:単独です。

CT:17日 美濃戸口11:19⇒途中でトラックに乗せてもらう(作業小屋まで)⇒

       堰堤広場11:52…赤岳鉱泉12:46(小屋泊)

   18日 赤岳鉱泉6:00(起床)/7:20…赤岩ノ頭8:41…硫黄岳9:00…

       夏沢峠9:45…根石岳11:00…東天狗11:37…

       黒百合ヒュッテ13:10(小屋泊)

   19日 黒百合ヒュッテ5:55(起床)/7:56…奥蓼科登山口9:24

残雪期登山は昨年デビューした。

今年は積雪期登山を目論み年明けに花房山へ向かったが、

集落から登山口まで伸びる

除雪されていない林道のラッセルに撃沈、

タイムオーバーし泣く泣く撤退した。

人が入っていて、トレースがあって、ラッセルに泣かなくて…

と良さそうな山を探していたら昨年11月に発売した山渓12月号に辿り着いた。

山渓12月号の特集は“本気の八ヶ岳!”

ピークハントに縦走、岩稜、氷曝登り、

入門向けコースからバリエーションまでよりどりみどりだ。

美濃戸口から硫黄岳往復が入門向けコースとして紹介されている。

次のページには硫黄岳から天狗岳への縦走が!

八ヶ岳は冬季でも登山者が入っているから、トレースが期待できる。

山小屋も赤岳鉱泉と黒百合ヒュッテが通年営業しているから心強い。

ここで自然と美濃戸口⇒赤岳鉱泉⇒硫黄岳⇒天狗岳⇒黒百合ヒュッテ⇒渋ノ湯

というコースが思い浮かんだ。というかこれも紹介されていたコースですが。

ただ、八ヶ岳はとんでもなく寒く、北西から絶えず強風が吹いているらしい。

不安要素はあるがそれも楽しみの一つ!?良いか悪いか機会があったので行ってみた。

17日(月)

出発前々日から当日に掛けて日本全国に寒波が襲った。

自宅付近も15cmの積雪、はたして八ヶ岳は大丈夫か!?


ネットで調べてみたら、八ヶ岳がある長野県南部と山梨県は月曜から暫く好天気。

八ヶ岳も月曜から天候が回復するようだ。

結構雪が降ったので心配だったが、そこは風の山八ヶ岳、

強風がある程度吹き飛ばしてくれるだろう淡い期待を胸に家を出た。

今回は電車とバスで登山口へ、下山口から自宅も然りバスと電車で。

雪の影響はそれなりに出ていて、

自宅最寄り駅から茅野駅まで2回乗り換えたがそれぞれ数分の遅れが出ていた。

茅野駅からバスの乗り換え美濃戸口へ、平日だからか登山客は自分を含め3人だけ。

2人は夫婦?僕より大きいザック、聞いてみたらテント泊とのこと、なるほど。

終点美濃戸口で降り、バス停前の八ヶ岳山荘で準備して出発。


堰堤広場までは林道を行く。車が入っているのか轍が続いている。

轍は圧雪されており、おまけにツルツル。

下り坂でおもわず転びそうになったので轍の間を歩くことにした。

最初の橋を渡ってヘアピンカーブをショートカットできるところで後ろから声を掛けられた。

途中まで乗せてってやるから荷台に乗れとトラックの運ちゃんいう。

ありがたく荷台に乗せてもらう、さらに途中で3人グループを乗せる。

乗り心地は悪いが、楽チン!

追い越される登山者が羨ましそうな眼をこちらに向けてくる、いい気分だ。

途中までとのことだったが、堰堤広場手前の作業小屋まで乗せてもらうことが出来た。

お礼を言って荷台から下りる。

堰堤広場まではチョイチョイで、橋を渡って登山道へと入っていく。


やはり多くの人が入っているからかトレースばっちり、ラッセルの必要なし。

赤岳鉱泉から下りてきたのか単独からパーティまで色々、

十数名程の登山者とすれ違った。

前日までは悪天候であったろう八ヶ岳、はたして登頂は出来たのだろうか?

麓は晴れ渡っているが、上の方はガスっている。

今日は赤岳鉱泉までだから、それ程天候は心配しなくてよい。

登山道沿いの北沢の底は赤い色をしていた。




温泉が流れ込んでいるのだろうか?

堰堤広場から1時間弱で赤岳鉱泉、


まず最初に目に飛び込んできたのは名物アイスキャンディーだ。


人工のアイスクライミング場で、中には外国人も交じってクライミングを楽しんでいた。

岩登りの方はあまり興味ないですが、アイスクライミングには興味あり。

誰かビレイしてくれる人が居るならやってみたいなぁ~としばし眺めておりました。

この日は結局1時間程歩いただけ。

受付を済まし、寝床の大広間を案内される。

今日はお客さん少ないので好きなところで寝て下さいとのこと。

大広間は両端に2段の寝床、真ん中にストーブとテーブルが配置。

好きなところと言われたので2段の端に陣取った。

ベッドメイキングを済ましたら貴重品だけ持って食堂へ。

丁度昼時なので、カレーライスを注文する。もちろん缶ビールも。

お腹を満たしいい気分、することがないので本棚から漫画を持ってきて読む。

読んだのは“孤高の人”

新田次郎の同名小説は読んだことがあるが、

この漫画はそれを原案として描かれたようだ。

なぜか1と2巻はなく3巻から読み始める。

時代背景は現代だが主人公の森文太郎を中心として進む

話の内容には新田次郎の“孤高の人”とシンクロするような内容もあり。

夕食を挟んで13巻まで一気読みした。

赤岳鉱泉の夕食は結構有名でステーキが出ることもあるらしい。

今夜はビーフシチュー、他にサラダ、フルーツにごはんとポトフだ。


ビーフシチューはよく煮込まれた大きめお肉がゴロゴロ、濃いめの味でご飯が進む。

量が少なかったのが残念。贅沢をいうとパンを浸して食べたかった。

ごはんとポトフはおかわり自由。もちろんおかわりして腹を満たした。

18日(火)
朝食を済まして7時過ぎに出発、

朝から天気はいいが稜線にまとわりつく雲は物凄い勢いで流れて行く、

風が心配だ。

硫黄岳への登山道は北沢を渡って急斜面をジグザグに登っていく。






トレースは付いていてラッセルの必要はほぼ無し。

GPSで確認すると夏道と同じようだ。

南斜面がぱっと開けて急峻な阿弥陀岳と赤岳が見える。とても立派だ。

(阿弥陀岳)

一時間程登ると森林限界上に出ると北東に目指す硫黄岳が見える。

南側が崖のように切り立っているが頂はなだらかに見える。

木々が無くなると急に風が強くなったようだ。

頂に向かって稜線上を先行パーティが歩いている。

しかし先行パーティが残した?と思われるトレースが風で消えかかっている。

すべて消えないうちに稜線上にでる。

稜線上に出ると一気に視界が開けた。

左手に赤岩ノ頭、右手には硫黄岳へと道が続いている。

(赤岩ノ頭付近から硫黄岳望む)

稜線上は北西の強風、まるで台風の真っただ中にいるようだ。

この強風のせいか稜線上は積雪が全くなく地面はガチガチに凍りついている。

体をきもち風上側に傾けて進む、気を抜くと風に流されそうだ。

稜線に出て20分程でなんとか硫黄岳に辿り着く。

社のようなものがあるガチガチの雪で埋もれている。

硫黄岳と書かれた標柱を風上にして小休憩をとるがとても長居出来るような状況ではない。


(あっちの方に最高点・三角点がある。)

天狗岳へ向かうためまず夏沢峠へ下っていく。

(奥に双耳峰の天狗岳が見える)

東斜面は落ちたらヤバいくらい切り立っている、崖ってやつだ。

西斜面はやや緩やか、風に流されたら崖から落ちるので慎重に下る。

相変わらず風は強い、完全防備だがやや露出した肌(頬とか)は寒いを通り越して痛い!

やがて樹林帯に入る。

樹林帯に入ると大量の積雪、

トレースが全くないので先行パーティは硫黄岳からこちらの方向には着ていないことに気付く。

股下のラッセルだが下りなので比較的楽チン、登りだったら…ゾッとする。

緩やかになって目の前が開けた。夏沢峠だ。

山小屋があるが冬期は閉まっているようだ。

建物を風よけにして小休憩、チョコレートを食べたらパリパリだった。

ふと、硫黄岳を見る。荒々しい爆裂火口が見える。


北稜から巻き上げられた雪が爆裂火口を飛び越えそのまま真横に飛んでいく。

荒々しい八ヶ岳を感じた。

夏沢峠を出発し再び樹林の中へ、部分的だがうっすらだがトレースが残っている。

しかし脛下ラッセル、トレースをちょっとでもはずすと股下までズボッ。

トレースの無いところは道探しゲーム?それとも爆弾探し?

雪の下に隠れている踏み固められた場所を考えながら足を置く。

ここは普通に真っ直ぐだろうと余裕ぶっていると股下までズボッ…

思わず笑ってしまう。

根石山荘南にあるピークを越えると樹林帯を抜け吹きさらしのコルに建つ根石山荘。

根石山荘を通り過ぎ根石岳に登ると目の前に双耳峰の天狗岳が現れる。

目指すは天狗岳の東峰、東天狗。

根石岳とのコルから見上げる東天狗は二つピークがあるように見えるが、


登っていくにつれ違うことに気付かされる。

頂上直下まで来て向こう側から東天狗の頂に登山者2人が現れた。

赤岳鉱泉からここまで誰にも会わなかったから、

さすがに人恋しくなってしまってホッとさせられた。

登山者2人と頂上で標柱を背に撮りあっこして黒百合ヒュッテに向かって下る。


(東天狗から南を望む。かっちょいい山がいっぱい。)


(北八ツは天狗岳を除くとなだらかな山が多い。)

山頂直下のちょこちょこっとした岩場を下っていくと分岐。

北へ中山峠に向かう道と西へ中山峠を経由せず黒百合ヒュッテへ向かう道。

計画では中山峠経由で、東天狗に上がってくる登山者はこちらを登ってくる。

どちらも黒百合ヒュッテへ至るのあえて西へのルートをとってみる。

トレースはうっすら程度であるが尾根道なので外すことはない。

大きく下って尾根がなだらかになった頃、

この時期使われない理由がなんとなくわかった。

大きな岩がごろごろで、歩きにくい!

小ピークが幾つかあって登り返すのもめんどくさい!

計画から外れて歩いたのを暫く進んでから後悔した。

黒百合ヒュッテに至る最後の下り斜面は全くトレース無し。

シリセードで下ろうかと思ったが雪がふかふかで滑らない!沈んでしまう。

仕方なしに雪まみれになりながら腰までラッセルして下り立った。

黒百合ヒュッテは薪の暖炉があったり建物の外も中もクラシカルな感じ。






でも建物の横と屋根には立派なソーラーパネル、

トイレの入り口には発電した電力量や気温、風速が表示されたモニターもあり、

トイレも超綺麗。

小屋は古い感じなんだけど何処かにドラえもんが隠れているような気がした。

この日の黒百合ヒュッテの宿泊客は4人とテント泊が1人。

人数が少なかったからか夕食(翌日の朝食も)はこたつで!


お互いの気持ちも近くなって?すぐに意気投合し山の話に花咲いた。

夕食は5時半からだったが消灯の8時半までがあっという間の楽しいひと時であった。

19日(水)
この日の行程は奥蓼科登山口(渋ノ湯)に下るだけ。2時間程の行程だ。

登山口近くには渋御殿湯という温泉宿があり日帰り入浴も出来る。

2日間入ってないので熱々のお湯を求め意気揚々で下山する。

1時間半程で渋ノ湯に下山。真っ先に温泉へと向かう。


渋御殿湯の玄関前に登山者はザックを持ち込まないで!

と張り紙があったので必要な元と貴重品だけ持ち込む。

お風呂の方は酸性単純硫黄泉、冷泉なので源泉は冷たい(冷たい源泉の風呂もある)。

加温・加水している方はもちろん温かいが色は無色透明、ほんのり硫黄の匂いがする。


源泉の方は加水していないのでほんのり濁っていて、湯の花が浮いている。

お風呂は浴槽、壁、床すべて木。

綺麗な現代の風呂場を見慣れているので、昔にタイムスリップした感じを覚える。

とはいってもジャグジーはちゃんとありますが。

ちょっと困ったのが!?石鹸とボディーシャンプーはあるのに

髪を洗うシャンプーは無いということ。

男だから?堂々とボディーシャンプーで髪を洗いましたが、

ボディーシャンプー(石鹸もあるのに!)は置いてあるのにシャンプーが無いのは不思議!

ぜひ置いてもらいたい(ボディーシャンプーか石鹸かどちらかを無くしてもいいから)

温泉をでて玄関のソファーで休憩。

だけど、暖房が無く温度は5℃前後。

せっかく温まったのにみるみる体温が奪われていく。

玄関先に置いたザックからフリースを取りに行った。

暫く待っているとバスが入ってきた。

バスは暖房が掛かっているだろうと、荷物をまとめてバスに飛び乗った。

正解!!暖房が掛かっていてこれ以上冷やされることが無くなりました。

しかし、温泉入ったのにブルブル…変な話ですね。

帰りは雪による遅れも無く予定通り帰宅できました。

いつも単独で歩いてますけど、

今回は積雪期、2000m台後半の中級山岳、

小屋泊まりと今までやったこと無い事にチャレンジしました。

まあ、どうにか成功を収めました。

山の神様の機嫌が比較的良かったのでしょうけど。

ただ、アイゼンでスパッツやパンツを引っ掛けてしまったり、

転倒しそうになったりと未熟な部分があります。

ここら辺のアイゼンワークですか?向上させなければと思います。

今回の登山は雪山登山のいい勉強になったのでは?と思いました。


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