私が小学生の頃、五十年前の事でした。
庭のはずれに大きな柚の樹があり、
晩秋になると、竿(さお)でもぎました。
確か記憶をたどれば、一家の春先までの
楽しみな食べ物のひとつでした。
27年前に家を建てて、付近を家内とよく散策した。
ある時、ちょっと離れた都立公園に行き、帰路、苗木屋さんに立ち寄り、
『旦那さん、これお買い得よ・・』と声を掛けられた。
中年の主婦が、鉢に入った柚を指していた。
『お姉さん・・柚、小さくない?』と私は言った。
『あらぁ、旦那さん、伊予柚なの、だから小振りなの』と言った。
『小振りは、解ったけれど、成るかなぁ・・』と私は言った。
『心配なしよ・・数年したら、食べきれなく程、成ります』と力強く言った。
『そうしたら、家から出荷するか・・』と私は調子よく言った。
お互い、笑いあった。
これが間違いだった《笑》
庭に植え、水をたっぷり上げた。
その後、肥料を施し、数年過ぎた。
花が咲かず、実も成らなかった。
『XXちゃん、地植えが駄目なのかなぁ』と家内に言った。
『貴方、柚は時間が掛かると言うじゃ、ありませんの・・柚の馬鹿・・』と家内は笑っていった。
『苗木の姉さん、調子よすぎだったなぁ・・』と家内に言った。
『・・』家内は笑ってばかりだった。
『だまされたかなぁ・・』と私は未練たらしく言った。
こうして7年が過ぎた・・。
白い花が咲いた。
その晩秋、三つの収穫があった。
翌年の五月になると、若芽が伸びたので、刈り込んだ。
栄養分を主木から枝に行き渡らす為だった。
この秋、収穫ゼロだった《笑》
それから数年、何もしなかった。
晩秋は、確実に十数個、収穫があった。
昨年は豊作だった。
『XXちゃん、やっと念願どおりになったょ・・』と家内に言った。
『だけどね、貴方、この付近の家、柚の成り年、ですって・・』と家内は言った。
私はたわわに成った柚を観ていて、家内の言葉は通り過ぎていった《笑》
私は柚に関しても、苦節十何年であった。
庭のはずれに大きな柚の樹があり、
晩秋になると、竿(さお)でもぎました。
確か記憶をたどれば、一家の春先までの
楽しみな食べ物のひとつでした。
27年前に家を建てて、付近を家内とよく散策した。
ある時、ちょっと離れた都立公園に行き、帰路、苗木屋さんに立ち寄り、
『旦那さん、これお買い得よ・・』と声を掛けられた。
中年の主婦が、鉢に入った柚を指していた。
『お姉さん・・柚、小さくない?』と私は言った。
『あらぁ、旦那さん、伊予柚なの、だから小振りなの』と言った。
『小振りは、解ったけれど、成るかなぁ・・』と私は言った。
『心配なしよ・・数年したら、食べきれなく程、成ります』と力強く言った。
『そうしたら、家から出荷するか・・』と私は調子よく言った。
お互い、笑いあった。
これが間違いだった《笑》
庭に植え、水をたっぷり上げた。
その後、肥料を施し、数年過ぎた。
花が咲かず、実も成らなかった。
『XXちゃん、地植えが駄目なのかなぁ』と家内に言った。
『貴方、柚は時間が掛かると言うじゃ、ありませんの・・柚の馬鹿・・』と家内は笑っていった。
『苗木の姉さん、調子よすぎだったなぁ・・』と家内に言った。
『・・』家内は笑ってばかりだった。
『だまされたかなぁ・・』と私は未練たらしく言った。
こうして7年が過ぎた・・。
白い花が咲いた。
その晩秋、三つの収穫があった。
翌年の五月になると、若芽が伸びたので、刈り込んだ。
栄養分を主木から枝に行き渡らす為だった。
この秋、収穫ゼロだった《笑》
それから数年、何もしなかった。
晩秋は、確実に十数個、収穫があった。
昨年は豊作だった。
『XXちゃん、やっと念願どおりになったょ・・』と家内に言った。
『だけどね、貴方、この付近の家、柚の成り年、ですって・・』と家内は言った。
私はたわわに成った柚を観ていて、家内の言葉は通り過ぎていった《笑》
私は柚に関しても、苦節十何年であった。