多くの人が「いつまでも若々しくありたい」と望んでいます。
老いと深い関係にある、脳。
脳科学者の茂木健一郎氏は、「思考力が低下すると言われる70歳を超えても、
脳の働きが、若いころとあまり変わらない人もいる」といいます。
そこで、年齢を重ねても「若い脳」でいるための秘訣を聞きました。
☆若々しい脳の「スーパーエイジャー」になる!
毎朝、顔を洗うたびに、鏡に映った自分の顔を見て、
「もうずいぶん歳をとってしまったな・・・」
と、ガッカリしていませんか?
「いつまでも、心身ともに健康でありたい」
「元気で若々しい脳を手に入れたい」
これは、多くの人が望むことではないでしょうか。
人生100年時代といわれる昨今、
日本人の平均寿命は、男性が81・47歳、女性が87・57歳(厚生労働省2022年)、
今後も私たちの平均寿命は、伸び続けるといわれています。
とはいえ、誰にでも平等に訪れる老い―― 。
それは脳も例外ではありません。
つい物忘れが多くなり、「もしかして認知症なんじゃないか・・・」
と、不安に感じたことがあるかもしれませんが、
年齢を重ねるにつれて認知力が低下していき、思考が遅くなり、忘れっぽくなり、
新しいことを学ぶのが、苦手になっていくのは普通のことです。
しかし、脳の老化には個人差があり、
歳をとっても思考力が、あまり低下しない人がいるのも事実です。
なかには70歳を超えても、脳の働きが若いころとあまり変わらないという人がいることも、
最新の脳科学研究ではわかっています。
平均寿命が伸びて、長生きするのが当たり前になった現在において、
年齢を重ねても若々しい脳を持っている人は、
いったいどのような生活を送っているのか。
その秘訣を探る研究が世界中でおこなわれています。
有名な研究をご紹介すると、ハーバード大学関連医療機関のなかでも
代表的な存在といわれるマサチューセッツ総合病院の神経科医、ブラッドフォード・ディッカーソンは、
「スーパーエイジャー」の研究をおこなっています。
スーパーエイジャーとは、70歳以上のシニアのなかでも、
同世代と比較すると、圧倒的に高い認知能力を持つ人のことを指します。
ときには20代、30代の若者に匹敵する脳の働きを持つともいわれています。
その理由のひとつとして、ディッカーソンは、
常に新しいことへチャレンジすることを挙げています。
これは脳科学的な視点からも理にかなっており、
新しいことへのチャレンジが脳の萎縮を少なくするので、
思考力、記憶力、判断力など脳の重要な働きが衰えず、
たとえ年齢を重ねても、いつまでも若々しい脳の状態を保つことができるからです。
☆「脳トレ」よりも効果がある“秘策”
近年、脳の老化を防ぐべく、「脳トレ」と呼ばれるトレーニングメソッドが
シニアの間でブームになっているようですが、
残念ながら「脳トレ」は、認知症予防という観点からはほとんど意味がないということが、
最新の脳科学の研究で明らかになっています。
カナダ・ウェスタン大学の研究チームの最新研究では、
脳トレゲームが、記憶や言語能力などをどのくらい向上させているかを調査したところ、
それらの能力は、脳トレゲームをしない人と変わらないことが判明したといいます。
また、クロスワードや数独といったパズルを解いても、
知力低下は避けられないかもしれないと、イギリス発の最新研究が示唆しています。
つまり、与えられた課題のトレーニングにはなっても、
脳全体のトレーニングには、まったくなっていないことが確認されたというわけです。
たしかに、脳トレが認知症を予防すると証明している研究を私は知りませんので、
断言しておきましょう。
「脳トレをする必要は、まったくありません!」
実際、私の周りにいるスーパーエイジャーといえる元気で活発なシニアの方々を見ていても、
脳トレをしている様子はまったくありません。
もちろん、脳の専門家である私でさえ、
これまでの人生で一度も脳トレをやったことはありません。
では、いったいどうやって若々しい脳を手に入れればいいのか。
私の経験上、もっとも効果が高いと感じられるのは、次の3つです。
2. 常にお金の出入りがある
3. ストレスのない生活習慣
どんなに長生きしても、脳の健康を維持できなければ、
誰もが例外なく、人生の質を保つことはできません。
脳が老化し、認知症になってしまえば、
せっかく楽しい体験をしても記憶に残りません。
それはもったいないことです。
そこで、いつまでも脳を若々しく保つために、
この3つのポイントを意識することで、たとえ何歳になっても脳の若さを持続できるのです。
脳の若さを保つ秘訣は、まだまだあります。
それは、脳の前頭葉を活性化して「ドーパミン」をたくさん出すことです。
ドーパミンとは、脳内の神経伝達物質で、
うれしいことや楽しいことがあると分泌されることから、
「脳内報酬」とも呼ばれ、さらにはやる気や幸福感を高めたり、
ポジティブになるなどの効用もあります。
このドーパミン、実は私たちの日常生活のなかで、出る機会はたくさんあります。
それは、生まれて初めてのことを経験したときや、
ドキドキわくわくしたり、感動したりしたとき。
つまり、好奇心が刺激されると、出ることがわかっています。
子どもの脳が元気なのは、こうした好奇心をくすぐられる初めての体験が多く、
ドーパミンが出る機会が多いからです。
ところが、大人になるにつれて、知識が増え経験値が高くなるぶん、
脳がさまざまな物事に動じにくくなってしまうのです。
また、新しいことをするときや今までできなかったことが
できるようになったときにも、ドーパミンが出ます。
これは、先に述べたスーパーエイジャーの研究結果が裏付けていますが、
幸いなことに新しいことにチャレンジするのに、年齢制限はありません。
私も、52歳のときに初めて東京マラソンに挑戦しましたが、
完走できた瞬間というのは、間違いなくドーパミンが出ていたはず。
脳のたくましさとは、ドーパミンが放出される前にやっていた行動の回路が
強化されることにあるのです。
人間の脳は、いくつになっても完成形などありません。
そして、脳には皆さんが想像する以上の底力があるのです。
何歳になっても、自分にとって新しい経験に興味を持って向き合うことで、
脳はいつまでも成長し続けることができるからです。
☆「昔話」をすると、脳は若返る
一方で、「新しい経験」ではなくても、
シニアの方が昔の思い出話をしたり、若いときの話をしたりしているときに、
とてもイキイキしているのを見かけます。
これは、一般にいわれる「回想法」というもので、
回想法とはアメリカの精神科医のロバート・バトラーによって確立された心理療法です。
昔の懐かしい写真や、昔使っていた馴染み深いものなどに触れながら、
そのときの経験や思い出を語り合うことで、
精神的な安定感が得られ、認知機能にもよい影響を与えるとされています。
現在、回想法は認知症の症状に対する、薬を使わない療法として活用されています。
自分の過去を話すことで、記憶をより鮮明に思い出すことができるためです。
私たちの記憶というのは、感情と深く結びついています。
これを脳科学的にいえば、シニアの皆さんが昔を思い出すことは、
脳機能の活性化に有用だということです。
昔の記憶がよみがえるというのは、
情動反応の処理と記憶において、主要な役割を持つ扁桃体が活性化し、
さらには、前頭前野の血流量を増加させ、
モチベーションの向上といった効果が期待できるといわれています。
前頭前野は脳全体に指示を出し、脳のほかの部分を働かせるといった機能も持っているため、
ここを刺激してあげることが、脳全体の活性化にもつながります。
また、自分自身について見つめ直す機会ができることで、
「メタ認知」を立ち上げるという意味でも有効です。
ちなみに、メタ認知とは、自分自身に対して客観的な視点から観察し、評価する能力のことです。
こうした回想法を用いた脳科学的な観点からおすすめしたいのが、
幼少期や若いときにやっていたことを、もう一度やってみることです。
さらに付け加えると、半永久的に終わりが来ないものがいいでしょう。
「子どものときに昆虫採集をしていた」
「若いころはバンドマンでギターを弾いていた」
もし、それが歳を重ねて離れてしまっていたら、
それはもう一度脳の若々しさを取り戻すチャンスだと考えてください!
☆夢中になった時、脳の老化は食い止まる
では、なぜそうした幼少期や若いときにやっていたことを、
もう一度やることで、若々しい脳を手に入れることができるのか。
それは、「三つ子の魂百まで」ではありませんが、
幼少期や若いときに好きでやっていたことは、
たとえ何歳になっても好きであり、楽しく取り組めることが多いからです。
シニアの皆さんは、ビートルズの世代だと思いますが、
ジョン・レノンはこんな名言を残しました。
「Life is what happens to you when you're making other plans.
(人生とは、別の計画を立てているのに起こる事柄である)」
これは、人生とは他の計画を練っている間に、
どんどん過ぎてしまうという意味が込められています。
そこで、「今さら・・・」、「そんなのムリ」などと思わずに、
とにかくタイムマシンにでも乗ったつもりで、やってみてはいかがでしょうか。
シニアになった今だからこそ、より楽しめるということもあるかもしれません。
それに加えてもうひとつ、長生きをしていつまでも脳を若々しく保つために必要なこと。
それはずばり、生きるうえでの「意欲」です。
歳を重ねても、元気な人生の大先輩に時々お目にかかります。
そうした大先輩に共通しているのは、生きるということに関する意欲の強さ、
あえていえば「貪欲さ」であるように思うのです。
歳を理由にあきらめず、チャレンジしましょう!
歳を理由に遠慮せず、アクティブになりましょう!
自分が本当に夢中になれることを追求し、本気で取り組んでみましょう。
皆さんが本気になったとき、脳の老化を食い止め、
若々しい脳を手に入れることができているはずです。‥ 》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
今回、多彩な方法で、脳の老化を食い止め、若々しい脳を手に入れる方法、
遅ればせながら私は学び、やがて微笑んだりした・・・。
私は2004年(平成16年)の秋に民間会社を定年退職後、
多々の理由で年金生活を始めて、早や19年生の身ですが、
今年の9月の誕生日を迎えると、恥ずかしながら79歳となります。
過ぎし年にゴールデン・イヤーズと称される60代を卒業し、
定年退職をするまで、何かとつたないサラリーマン航路を歩んだ為か、
我が人生として、予測した以上に安楽な期間を享受できましたので、
ときには60代の日々に愛惜を重ねたりしてきました。
或いは70代を過ごし始めると、ときおり物忘れもあり、
やむなく人生は気合だ、と自身を叱咤激励する時もあります。
こうした中、70代を迎えてからは、心身共に自立し健康的に生活できる健康寿命を意識して、
確かな『生きがい』と『健康』、そして『気力』を持続できるようにと願いながら
プラス思考で過ごしているのが実態です。
このような心情を重ねてきた私は、
《・・長生きをしていつまでも脳を若々しく保つために必要なこと。
それはずばり、生きるうえでの「意欲」です‥》、
と今回学びながら、そうですよねぇ・・と微笑んだりしている。